せんてんせいふうしんしょうこうぐん

先天性風疹症候群

最終更新日:
2022年05月10日
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2022/05/10
更新しました
2017/04/25
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概要

先天性風疹症候群(せんてんせいふうしんしょうこうぐん)とは、胎児が風疹ウイルスに感染することで起こる事象の総称です。抗体のない、もしくは少ない妊婦が風疹にかかることで風疹ウイルスが胎児に感染し、先天性風疹症候群を発症することがあります。
先天性風疹症候群の主な症状は先天性心疾患難聴白内障であり、先天性風疹症候群の三大症状とも呼ばれますが、これらがそろわないことも多いです。

先天性風疹症候群は風疹が流行する年に増えることが分かっており、日本では10万出生あたり1.8~7.7の頻度で発生しているといわれています。妊婦が風疹に感染する時期によって発生頻度が異なり、妊婦に風疹の症状が現れる顕性感染(けんせいかんせん)の場合は、妊娠1か月での感染で50%以上、2か月で35%、3か月で18%、4か月で8%程度の胎児に先天性風疹症候群がみられるといわれています。

また、顕性感染に限らず、妊婦に症状が現れない不顕性感染の場合であっても胎児に先天性風疹症候群が発生することがあります。

原因

先天性風疹症候群の原因は、胎児期の風疹ウイルスへの感染です。特に、妊娠3か月以内の発生段階の初期に風疹ウイルスに感染することで、先天性風疹症候群にみられるさまざまな症状を引き起こすことがあるといわれています。

なお、母親が風疹にかかったとしても全ての胎児に先天性風疹症候群がみられるわけではありません。母親に発疹(ほっしん)がみられた場合の約3分の1で胎児への風疹ウイルスの感染がみられ、そのうち約3分の1が先天性風疹症候群を発症するといわれています。

症状

先天性風疹症候群の中でも特に頻度が高い症状は先天性心疾患難聴白内障です。そのほかに小頭症、低出生体重、肝脾腫(かんひしゅ)、血小板減少、精神発達遅滞(せいしんはったつちたい)網膜症糖尿病、小眼球などの幅広い症状がみられることがあります。

先天性風疹症候群の症状は、特に妊娠初期3か月以内の妊婦の風疹ウイルスへの感染で発生することが多いといわれていますが、難聴は妊娠4か月以降の感染でも発症し得ることが知られており、その場合は高度難聴になりやすいといわれています。

検査・診断

先天性風疹症候群の検査は、母親が妊娠時に風疹に感染した可能性がある場合や、胎児や新生児に先天性風疹症候群が疑われる症状があった場合に行われることがあります。また、新生児期以降であっても、乳幼児に原因不明の白内障難聴がある場合は先天性風疹症候群を疑い検査を行うことがあります。

胎児や出生児の風疹ウイルスの胎内感染の有無を調べる方法には、風疹ウイルスの抗体を調べる方法、風疹ウイルスを直接分離する方法、風疹ウイルス遺伝子の有無を調べる方法などがあります。胎児の場合の検査では、母親の胎盤絨毛(たいばんじゅうもう)臍帯血(さいたいけつ)、羊水などの胎児由来組織を用い、出生児の場合は血液、咽頭(いんとう)ぬぐい液、唾液、尿などを用います。

これらの検査の結果、風疹ウイルスの胎内感染が証明された場合は、心疾患、難聴、白内障などの合併症の有無を調べます。

治療

先天性風疹症候群の根本的な治療法はなく、それぞれの合併症に対する治療が行われます。

頻度が高い三大症状に対する治療法には以下のものがあります。

心疾患

心疾患の程度が軽い場合は成長とともに自然治癒することがあります。手術が必要な場合は手術可能な年齢になるまで成長を待ち、手術を行います。

白内障

成長を待ったうえで、手術で濁りを取り除く白内障手術を受けることができます。乳児期は視力発達に重要な時期であるため、症状が重い場合は早期に手術を行うことが望ましいとされています。

軽症の場合は、手術を行わずに経過観察や弱視の治療を行うこともあります。

難聴

聴覚特別支援学校や児童発達支援センターなどで聴能訓練や言語指導を受け、生活の質(QOL)の向上を目指します。

難聴の程度によっては、補聴器の装用が必要になることもあります。

なお、補聴器を使用しても聴力の改善が十分でない場合は、人工内耳埋め込み術が行われることもあります。

予防

先天性風疹症候群は根本的な治療法がなく、さまざまな障害の原因となり得るため、妊娠時の予防が重要です。

母親の風疹抗体価が十分であれば予防効果が高いことが知られているので、妊娠する可能性がある女性で風疹抗体がない場合は、積極的にワクチン接種を受けることが大切です。

なお、妊娠中は風疹ワクチンを接種することができないため、妊娠する可能性がある場合には事前にワクチン接種を受けるなどの注意が必要です。

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