ないじかく

内痔核

最終更新日:
2023年08月29日
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2023/08/29
更新しました
2017/04/25
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概要

内痔核(ないじかく)とは、肛門(こうもん)周辺にできるこぶ状に膨らんだ“核(いぼ痔)”のうち、直腸と肛門の境目より内側(直腸粘膜側)に生じたものをいいます。直腸にあるため、通常の状態では外から観察することはできません。

痔核には内痔核のほか、肛門の皮膚側に生じる“外痔核(がいじかく)”があり、両者が併存する“内外痔核(ないがいじかく)”もあります。

内痔核と外痔核を合わせると、肛門疾患の中ではもっとも頻度の高い病気であるといわれています。また、性差はなく、好発年齢は45~65歳です。痔核ができやすい人の特徴としては、排便回数が少なく排便時にいきむ必要のある慢性的な便秘の人や、重いものを持つことが多い人、座っている時間が長い人、食物繊維の摂取量が少ない人などが挙げられます。

原因

内痔核をはじめとする核の発症には、排便時のいきみによる肛門周辺の毛細血管のうっ血*、肛門の筋肉や支持組織の減弱(弱くなること)が関係していると考えられています。また、肛門の静脈には血流の逆流を防ぐ弁がないため排便時のいきみなどでうっ血が生じやすく、それが膨隆することで痔核が生じるといわれています。

痔核は、状態の悪化に伴い大きくなるのが特徴です。大きくなる原因としては、排便時のいきみや下痢を繰り返すこと、排便に長い時間がかかることなどが考えられます。そのほか、妊娠・出産の際に肛門周辺の血流が悪くなり、痔核が大きくなることもあります。

また、重いものを持つと腹圧がかかっていきむ状態に近くなるほか、座っている時間が長い人も肛門周辺の血流が悪くなり痔核が生じやすい(大きくなりやすい)といわれています。

*うっ血:組織の内部に静脈血がたまった状態を指す。

症状

内痔核は、小さいうちは無症状であることが一般的です。内痔核の生じる直腸には痛みを感じる痛覚もないため、初期段階では基本的に痛みはありません。

進行すると内痔核が大きくなり、まるで膨らんだ風船のゴムが薄くなって向こう側が透けて見えるように血液がにじみ出やすくなったり、または破れて出血が生じたりすることがあります。出血は主に排便時に起こることが多く、肛門に近い部位で起こるために鮮血(鮮やかな赤色の血)が出る傾向があります。なお、出血量には個人差があります。

また、内痔核が大きくなると、肛門から外に飛び出すこともあります。このように内痔核が肛門から飛び出すことを“脱肛(だっこう)”といいます。排便時や力を入れたときに脱肛するものもあれば、常に脱肛しているもの、核の一部のみが脱肛するものなど、状態はさまざまです。

そのほかにみられる症状として、肛門のかゆみや肛門から粘液が出てくることなどが挙げられます。

検査・診断

排便時の出血や脱肛、痛みなどの症状があれば核が疑われます。診断の際は、視診や指診(肛門に指を入れて診察をする)、肛門鏡診察によって痔核の有無や状態を確認します。

肛門に生じる病気は内痔核・外痔核以外にも複数あり、診断時に見分ける必要のある病気として、裂肛切れ痔)、粘膜脱、直腸脱直腸潰瘍(ちょくちょうかいよう)、ポリープ、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)などが挙げられます。痔核以外の病気が疑われる場合は、直腸鏡検査や下部消化管内視鏡検査大腸カメラ)、排便造影検査なども検討されます。

治療

内痔核の主な治療方法として、保存的治療と外科的治療が挙げられます。軽症の場合には保存的治療で様子を見ますが、排便時に脱肛し、手で押さなければ元に戻らないような進行した内痔核の場合、外科的治療も検討されます。

保存的治療

保存的治療としては、日常生活の中で内痔核が悪化するような生活習慣を避けるための生活指導や腫れや痛み、出血の緩和を目的とした薬物療法が挙げられます。

生活指導

生活指導では、水分と食物繊維を十分に取り、飲酒を適量に抑えるなどの指導をして、肛門に負担をかけない健康的な排便を促します。排便時は無理にいきんだり、長時間便座に座り続けたりせず、便意を感じてからトイレに行くことを意識します。

血流障害が起こっているような核の場合は、肛門周辺の血流をよくするために入浴によってうっ血部分を温めることも効果的です。

薬物療法

薬物療法としては、軟膏や坐薬、飲み薬が挙げられます。腫脹(はれ)が強いときにはステロイドの含まれた治療薬の使用が検討されますが、長期使用は皮膚炎などの原因となり得るため注意が必要です。

そのほか、症状に応じて以下に挙げるような薬が処方されます。

  • トリベノシドやブロメラインを含んだ治療薬(炎症による腫れを緩和する)
  • 局所麻酔薬の配合された治療薬(痛みを緩和する)
  • 次硝酸ビスマスの含まれた治療薬(出血を緩和する)

外科的治療

保存的治療でコントロールできない内痔核や脱肛を繰り返す場合には、外科的治療(手術など)が検討されます。外科的治療にはさまざまな方法がありますが、主に結紮(けっさつ)切除術、ゴム輪結紮法、硬化療法などが挙げられます。

結紮切除術

痔核の根元を縛って、痔核への血流を止めたうえで切除する治療方法です。

ゴム輪結紮法

痔核にゴム輪をかけ、痔核を強く締めて血流を止め、痔核を壊死(えし)させる治療方法です。内痔核の場合、痛覚のない部位に生じるため、治療による痛みも少なく基本的に日帰りで治療が可能です。

硬化療法

痔核に薬剤を直接注射して痔核を小さくする治療方法です。止血を目的とした治療にはフェノールアーモンドオイルの使用が検討され、止血と同時に脱肛に対する治療としては硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸水溶液の使用が検討されます。

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内痔核を得意な領域としている医師

  • 医療法人愛知会 家田病院 院長

    • 痔瘻
    • 切れ痔
    • 内痔核
    • 大腸がん
      • 保存的治療 ※1
      • 手術 ※2
      • ※1 下部消化管内視鏡による検査を行い、早期がんについては、できるだけ内視鏡で治すことを目指します。内視鏡によるポリペクトミー、EMR、ESDなどの低侵襲治療を積極的に行います。
      • ※2 大腸癌治療ガイドラインに準拠した治療方針で、傷の小さな腹腔鏡手術、ロボット手術を中心に治療します。できるだけ永久的人工肛門にならないですむように肛門温存手術を積極的に行っています。
    • 内痔核
      • 保存的治療 ※1
      • 手術 ※2
      • ※1 手術適応のない軽い内痔核に対しては、軟膏などによる治療を行います。
      • ※2 脱出などの高度の内痔核については、痔核根治術を行っています。
    • 痔瘻
      • 手術 ※1
      • ※1 肛門周囲膿瘍、痔瘻に対しては、切開排膿、痔瘻根治手術、シートン法などを必要に応じて行っています。