ないなんこつしゅ

内軟骨腫

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

内軟骨腫とは、骨の髄内(ずいない)から発生する、良性の腫瘍です。腫瘍が徐々に大きくなることで、骨の変形や膨隆などがみられます。

良性(りょうせい):転移などをおこして生命に悪影響をおよぼすことがないと考えられるもの

内軟骨腫は、手指や足指の骨に多く発生します。また肋骨(ろっこつ)骨盤(こつばん)などにも発生することがあります。

内軟骨腫が全身に多発するものは内軟骨腫症(ないなんこつしゅしょう)とよばれます。内軟骨腫症は、幼児期~学童期に発症する病気であり、小児慢性特定疾病の対象疾患のひとつに定められています。

内軟骨腫は良性の腫瘍ですが、成人になると腫瘍が悪性化する場合もあります。悪性化した腫瘍は軟骨肉腫(なんこつにくしゅ)とよばれ、内軟骨腫とは異なる治療が必要となります。

原因

内軟骨腫の発症は、PTHR1という遺伝子の変異が原因になっていると考えられています。

*PTHR1:軟骨細胞の増殖促進・分化抑制にはたらく受容体(副甲状腺ホルモン関連ペプチド:PTHrP)の発現にかかわる遺伝子のこと

また、内軟骨腫は遺伝によって発症するものではないと考えられています。良性の骨腫瘍のなかには遺伝するものもあることがわかっていますが、内軟骨腫の場合には遺伝性が確認されていません。

症状

内軟骨腫ではこのような骨の異常がみられます。

  • 骨の膨隆
  • 骨の変形
  • 骨の短縮

など

こうしたことから、内軟骨腫が全身に多発する内軟骨腫症では以下のような症状が現れます。

  • 全身の著しい成長障害
  • どちらかの足の成長障害(脚長不等)(きゃくちょうふとう)
  • 骨や関節のならびの異常(骨格のアライメント異常)
  • 関節まわりの骨の変形
  • 関節の可動域の制限
  • 指の形状の異常(指趾膨隆(ししぼうちょう)

など

内軟骨腫の好発部位は、指の小さい骨です。そのほか、上腕骨(ひじから肩のあいだにある大きな骨)、大腿骨(ふとももの骨)、脛骨(すねの内側の細く長い骨)、骨盤に多く発生します。腫瘍は体の片側に多発することが多くありますが、なかには体の両側に多発するものや、左右交互に多発するものもあります。

内軟骨腫症は、幼児期~学童期に発症すると考えられています。腫瘍ははじめ、骨幹の端から生じますが、成長とともに腫瘍が増大していき、年齢があがるにつれて骨幹の方向へとひろがると考えられます。

検査・診断

内軟骨腫症は以下のような症状で気づくことがあります。

  • 指の形状の異常
  • 片足の成長障害によっておこる脚長不等
  • 骨や関節のならびの異常

内軟骨腫症の診断では、X線検査がおこなわれます。検査の結果から内軟骨腫に特徴的な所見を確認することで、診断をおこなうことができます。

骨透亮像(こつとうりょうぞう)(骨の腫瘍などによって骨の破壊がすすみ、骨が薄く写る部分)と石灰化像(せっかいかぞう)(病的な変形などが起こったところに生じるカルシウム沈着と予想される部分)が混在している膨隆した病変や、骨皮質の非薄化(骨が薄くなっていること)がみられることなどが診断につながる所見として挙げられる

治療

内軟骨腫症の治療には手術療法があげられます。

基本的には、内軟骨腫を切除(掻爬)する手術(内軟骨腫切除術)がおこなわれます。腫瘍を掻爬し、人工骨や自分の骨を充填することで多くは完治いたします。

また、体の片側に腫瘍が多発するときには、脚長の差が大きくなったり、足の変形をおこしやすくなったりするため、骨延長術(両脚の長さを調整する手術)や変形矯正術(変形をおこした部分を矯正する手術)が必要となります。

内軟骨腫症と診断されても、症状が軽度と考えられる場合には、手術をおこなわずに経過を見守ることもあります。脚長不等があらわれているときには、補高装具をつかって補正をおこなう場合もあります。

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