血液

再生不良性貧血(さいせいふりょうせいひんけつ)

再生不良性貧血とは

再生不良性貧血とは、血液の細胞の源である造血幹細胞が何らかの理由で減少することによって、血液中の白血球、赤血球、血小板のすべてが減少する疾患です。この状態を汎血球減少症と呼びます。血液の細胞は骨髄にいる造血幹細胞から作られます。この病気の患者さんの骨髄を調べると、骨髄の組織は多くの場合脂肪に置き換わっており、血球が作られていません。そのために貧血症状、感染による発熱、出血などが起こります。重症度が低い場合には、貧血と血小板減少だけがあり、白血球数は正常近くに保たれていることもあります。白血球には好中球、リンパ球、単球などがあり、再生不良性貧血で減少するのは主に好中球です。好中球はわたしたちの体を細菌感染から守る重要な働きをしているので、この病気にかかると細菌感染にかかりやすくなります。

原因

造血幹細胞が減少する原因は完全には解明されていません。
先天的な遺伝性のもの(Fanconi貧血といいます)と後天的なものが知られていますが、後天的なものの原因として、外部からの影響(一部の医薬品やベンゼンなどの有機溶剤)以外のほとんどは発症の原因がわかっておらず、造血幹細胞の異常や自分のリンパ球からの攻撃による自己免疫疾患などが考えられています。

症状

3種類の血液細胞である赤血球、好中球、血小板がいずれも減少することによって、それぞれの減少による症状が起こります。
赤血球は全身に酸素を運搬しているため、その減少によって脳、筋肉、心臓などの全身に酸素欠乏の症状が起こります。脳の酸素欠乏でめまい、頭痛が起こり、筋肉の酸素欠乏で身体がだるくなったり、疲れやすくなったりします。心臓の酸素欠乏により狭心症様の胸痛が起こることもあります。それ以外に、身体の酸素欠乏を解消しようとして呼吸が速くなったり、心拍数が多くなったりします。呼吸が速くなったことを息切れとして感じ、心拍数が速くなった状態を動悸として感じます。赤血球が減るため顔色は青白くなります。
白血球のうち好中球は主に細菌を殺し、リンパ球は主にウイルス感染を防ぎます。したがって、好中球が減ると肺炎や敗血症のような重症の細菌感染症になりやすくなります。さらに、血小板は出血を止めたり傷を治すための司令塔の働きをしているので、これが少なくなると出血しやすくなります。よく見られるのは皮膚の点状出血・紫斑や鼻出血、歯肉出血などです。重症化すれば眼底・脳出血、血尿、下血などが起こります。

検査・診断

血液検査で汎血球減少がみられます。骨髄を評価するため、MRIによる画像診断を行うこともありますが、確定診断には骨髄生検をおこなって病理検査で骨髄が脂肪組織に置き換わってしまっているのを確認することが重要です。骨髄生検は外来で局所麻酔下に針を用いて行います。

治療

原因がはっきりしている場合には、原因物質を避けることが治療となります。
一方、原因不明の場合には、1.免疫抑制療法(シクロスポリンという免疫抑制剤や抗胸腺細胞グロブリンなど)、2.骨髄移植、、3.ステロイド療法、4.支持療法(必要に応じて輸血や薬物投与を行う)があります。
具体的な治療方法は、病気の重症度に応じて異なります。病気の重症度は、未熟な赤血球(網状赤血球)、好中球、そして血小板の数によって1〜5のステージに分類されており、細胞の数が少ないほど重症とされています。進行が軽いものに対しては、経過観察で様子をみることがあります。回復が見られない場合には、シクロスポリンなどの飲み薬による免疫抑制療法を2~3か月間続けて、効果があるかどうかをみます。血球減少が進行するものに対しては、シクロスポリンを2~3ヵ月内服して効果があるかどうかをみます。効果がえられなかった場合には、ステロイドに切り替えることがあります。さらに血球減少が進行する際には、入院して抗胸腺細胞グロブリン療法を受ける必要があります。
一方、重症なものに対しては、抗胸腺グロブリンとシクロスポリンの併用療法や、さらに治療効果が得られないものに対しては骨髄移植を行います。骨髄移植には、自分のHLAと必ずしも一致しない人からの骨髄が移植されるため、免疫系による拒絶反応が重大な副作用として生じうるので、この拒絶反応を抑えるためにステロイドや抗がん剤の一種の強い免疫抑制剤を併用します。近年では、血液の細胞を作り出す造血幹細胞の移植療法を行うことも可能になってきており、ドナーからの採取方法も骨髄からの採取だけでなく末梢の血液から採取することが可能となりました。これらの医療技術によって、移植を受ける患者さんにも、提供して下さるドナーの方にも負担の低い治療法が可能となってきました。


詳しくはこちらを参照ください。
https://medicalnote.jp/contents/150917-000010-LRXDEH

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