ぜんとうそくとうがたにんちしょう

前頭側頭型認知症

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概要

前頭側頭型認知症とは、自発性や関心の低下、言語障害、行動の変化などを主要症状として認める認知症の一種類を指します。認知症はアルツハイマー型認知症を代表として、「物忘れ」といった症状が主要症状になりますが、前頭側頭型認知症では物忘れ症状よりもむしろ、先に記述した症状が全面に出ます。

頻度から考えた際、認知症の三大疾患として、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症血管性認知症があります。認知症全体からみた際の前頭側頭型認知症が占める割合は数パーセントではありますが、前頭側頭型認知症は特に若年発症例(65歳以下での認知症発症)に多いと言う特徴があります。

前頭側頭型認知症は難病指定を受けている疾患であり、根本的な治療法はまだ確立されていません。前頭側頭型認知症の平均寿命は平均6〜12年と報告されています。 

原因

前頭側頭型認知症は、二つの異なる病気が含まれます。ひとつはピック病で、もうひとつはFTLD-U/ユビキチン陽性封入体を伴う前頭側頭葉変性症です。前頭側頭型認知症では脳の一部に異常構造物が蓄積していることが知られていますが、両者の間では蓄積する異常構造物が異なります。

すなわちピック病では「タウタンパク」と呼ばれる異常構造物が神経細胞の中で「ピック球」という構造をとって蓄積していますし、後者のFTLD-U/ユビキチン陽性封入体を伴う前頭側頭葉変性症では、TDP-43というたんぱく質が蓄積します。

蓄積する構造物は異なりますが、異常物が認められ、障害を受けやすい脳の部位は共通しています。すなわち、前頭側頭型認知症では、脳の中でも前頭葉と側頭葉として知られる部位に限局した神経細胞に障害が生じています。これらの部位にタウタンパク、ピック体、TDP-43、などと呼ばれる異常構造物が蓄積します。しかしながら、なぜこうしたタンパク質が蓄積するのか、どういった機序で最終的な細胞死に至るのか、といったことの全貌は明らかにはなっていません。

前頭側頭型認知症で障害を受ける前頭葉と側頭葉ですが、それぞれ脳の機能の中でも特徴的な性格を有していることが知られています。前頭葉と前頭葉は感情のコントロールや理性的な行動、状況を把握する機能を持っています。これに対し側頭葉では言語理解・記憶・嗅覚や聴覚をつかさどっている部位です。前頭側頭型認知症では、こうした機能を司る部位に障害が生じる結果として、それに応じた高次機能障害が生じます。

症状

前頭側頭型認知症では、認知症で見られることの多い「物忘れ」症状はそれほど強くありません。そのかわり、前頭葉と側頭葉が障害を受けることを反映して、感情のコントロールや状況に応じた理性的な行動が出来なくなりますし、言語理解・記憶・嗅覚や聴覚などの機能低下を示すようになります。

理性がきかなくなることと関連して、社会性の低下が見られます。具体的な症状としては、自分勝手な行動を来すようになり、万引きや無銭飲食をしたりします。また派手な買い物をするようになったり、それまでの人と全く変わってしまったような人格変容を見たりすることもあります。人に暴力を振るうこともあります。

前頭側頭型認知症では、常同行動と呼ばれる行動をとることも特徴です。常同行動とは、いつも同じ時間で同じ道順で歩く、同じ行動を毎日繰り返すなどのことです。 言語に関連した障害も前頭側頭型認知症では見るようになります。場に関係のない発現をしたり、相手の言葉をおうむ返ししたり、単語の理解が低下するようになります。

また相手がどのように感じているかを理解できず、感情鈍麻と呼ばれる症状を見ることもあります。最終的には寝たきりの状態となり、誤嚥性肺炎窒息を来すリスクが出てきます。 

検査・診断

前頭側頭型認知症の検査には、脳画像検査(CT、MRI)、脳血流の検査(SPECT)、PET検査などがあります。

CTやMRIでは前頭葉と側頭葉が障害を受けていることを反映して、両者が萎縮していることを確認します。認知症を来す一環はアルツハイマー病を始めとしていくつか知られており、CTやMRIを通してこれらの疾患と区別することもされます。

SPECT検査では血液の流れが前頭葉や側頭葉で低下していることが確認できますし、また同部位の代謝が低下していることがPETを通して確認されます。それまでの臨床経過や周囲の型からの情報に加えて、以上に挙げた検査も並行することで前頭側頭型認知症の診断がなされます。 

治療

前頭側頭型認知症の根本的な治療方法は、残念ながら現在のところ確立されたものはありません。出現する症状にあわせて抗うつ薬や抗精神薬が使用されますが、どの薬剤も病気の進行を遅らせたり、病気の治癒につながったりするものではありません。

発症年齢も認知症の中では65歳未満に多いと言うこともあり、まだまだ働き盛りの段階で病気は発症します。人格が変容し、暴力的になることも稀ではないため周囲の方に対する影響力はとても大きいです。したがって、社会的なリソースを利用しつつ病気を抱える本人及び家族を支える体制を敷くことがとても重要です。

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