かのうせいせきついえん

化膿性脊椎炎

最終更新日:
2024年04月16日
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2024/04/16
更新しました
2017/04/25
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概要

化膿性脊椎炎とは、細菌が血液の流れに乗って背骨(脊椎)に運ばれ、感染を引き起こす病気です。発熱をはじめ、腰痛や背部痛など感染部位に応じて痛みが発生するほか、症状が進むと下半身の麻痺や排尿障害などの症状がみられることもあります。

原因となる菌はいくつかありますが、中でも黄色ブドウ球菌が半数以上を占めます。なお、原因菌が結核菌の場合は感染部位や症状などが異なるため、化膿性脊椎炎ではなく脊椎カリエスと判別されます。

化膿性脊椎炎は40~50歳代に多くみられます。また、糖尿病がん、肝機能障害、透析治療を受けている人など、免疫力が低下している人に起こりやすいため、適切な診断と治療を行うことが大切です。

原因

化膿性脊椎炎は、脊椎に細菌が入り込み、血流の悪い椎間板で細菌が繁殖して椎間板炎が起こることで発症します。

主な原因には、手術や検査などを通じて直接脊椎に細菌が入り込むほか、呼吸器感染症尿路感染症、虫歯や歯周病などの口腔内(こうくうない)の感染症が起因となり血流に乗って脊椎に細菌が入り込むことが挙げられます。

特に、糖尿病がん、肝機能障害や透析治療などの影響で免疫力が低下している場合は、化膿性脊椎炎を引き起こしやすいため注意が必要です。

症状

化膿性脊椎炎を発症すると、発熱をはじめ、腰痛や背部痛など感染した部位付近の痛みが生じます。発生しやすい部位は腰椎がもっとも多く、次いで胸椎、頚椎(けいつい)と続きます。患部を叩くと痛みが強くなるという症状がみられることも1つの特徴です。

感染した脊椎が潰れたり周囲の組織に異常が生じたりすると、体重を支えたり体をスムーズに動かしたりすることが難しくなる場合があります。また、脊椎の内側で守られている神経(脊髄(せきずい))の周辺(硬膜外)にがたまって神経が圧迫された場合は、下半身の麻痺、排尿・排便障害などの症状が現れることもあります。神経の症状は一度起こると元に戻りにくいため、進行する前に排膿など手術的治療を受けることが大切です。

なお、化膿性脊椎炎には急性化膿性脊椎炎と慢性化膿性脊椎炎があり、症状の程度が異なります。急性化膿性脊椎炎では、高熱や腰・背中の強い痛みが現れますが、慢性化膿性脊椎炎は比較的痛みは軽く、発熱しても微熱に留まる傾向にあります。

検査・診断

化膿性脊椎炎が疑われる場合は、血液検査や画像検査、培養検査、生検などが行われます。

血液検査

白血球数や炎症反応が生じている時に上昇するCRPなどを測定します。

画像検査

単純X線検査、CT検査、MRI検査などが行われ、中でもMRIがもっとも有効です。これらの検査によって、骨の破壊の進行度やの広がり、感染の有無などを確認することができます。

培養検査

感染の原因となる細菌を特定するために、血液あるいは尿を採取して、培養検査を行う場合もあります。

生検

病変部分から採取した組織を培養して顕微鏡で見る検査です。血液や尿を採取して行う培養検査に加えて行われます。ただし、生検を行っても30%程度は原因菌が特定できないといわれています。

治療

化膿性脊椎炎は症状の度合いに応じて、保存治療または手術療法が検討されます。

保存治療

化膿性脊椎炎の基本的な治療法は、保存治療の1つである薬物療法です。

薬物療法では抗菌薬の点滴を行い、原因となる細菌を死滅させます。抗菌薬の投与は炎症が落ち着くまで必要となるため、長期間にわたり治療の継続が必要です。多くは1か月程度抗菌薬の点滴を行い、その後2~3か月ほど抗菌薬を内服します。一般的に、血液検査で白血球やCRP、血沈など炎症マーカーが正常化するまで継続します。

また、骨がもろくなっている可能性もあるため、感染した状態が落ち着き骨の強度が安定するまでは安静に過ごすことが重要です。その期間は、コルセットを着用するなど、骨に負担をかけない生活をする必要があります。

手術療法

抗菌薬を投与しても痛みが治らない場合や、骨の破壊が進んでいたり、麻痺などの神経症状や骨の強い変形などが生じていたりする場合に検討されます。治療内容は、感染の程度や全身の状態などによって判断されます。骨の変形が進んでいる場合には、脊椎固定術や骨移植術を行う場合もあります。

また、明らかにの貯留が認められる場合には経皮的ドレナージ*を行い、同時に抗菌薬を点滴することもあります。

*経皮的ドレナージ:CTや超音波の画像を見ながら患部に針を指して、細いカテーテルを留置し膿を排出する方法。

予防

化膿性脊椎炎は、糖尿病がんなどの持病がある人、透析療法を受けている人など免疫機能が低下している場合に起こりやすい病気です。早い段階で病気を発見し適切な診断と治療を行うことで比較的良好な経過をたどることもあるといわれています。そのため、糖尿病やがんなどの持病がある人、透析治療を受けている人は、定期的に検査を受けるなど早期発見に努めましょう。

また、病気以外にも過労やストレス、加齢などで免疫力が低下し、細菌感染を起こすことがあります。十分な睡眠時間の確保や食事バランスに気を配るなど、規則正しい生活習慣を心がけましょう。

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