かのうせいこつずいえん

化膿性骨髄炎

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

化膿性骨髄炎とは、骨髄の中に黄色ブドウ球菌などが入り込むことで炎症が起こる病気です。血流感染の一形態として発症することもあれば、骨周囲の感染症から直接波及する形で発症することもあります。小児期おける化膿性骨髄炎は前者の発症様式であることが多く、大腿骨や上腕骨などの長い骨にみることが多いです。一方、成人の場合には脊椎などに炎症をみることもありますし、糖尿病と関連して慢性的に化膿性骨髄炎を発症することもあります。また骨などへの手術でピンなどの異物から感染することもあります。

化膿性骨髄炎は多くの場合が黄色ブドウ球菌によって引き起こされているため、抗生物質を使用した治療が第一選択になります。治療期間は数週間に及び、ときに壊死組織や(うみ)を排除するための手術が必要とされます。以前は化膿性骨髄炎により亡くなることもありましたが、医療技術の進歩した現在においては治癒を望むことが可能となりました。

原因

骨の中は通常は無菌状態ですが、何かしらの原因により細菌、結核、真菌などの病原体が入り込んで炎症を起こすことがあり、化膿性骨髄炎と呼まれます。代表的な病原体は黄色ブドウ球菌(MRSAを含みます)であり、その他にもA群溶連菌、B群溶連菌、サルモネラ菌、肺炎球菌、緑菌などがあります。結核や真菌が原因となることはまれですが、免疫抑制状態にある方においてはリスクが高まります。

骨髄に病原体が運ばれる経路はいくつかありますが、血流感染に関連して化膿性骨髄炎を発症することがあります。これは、体のどこかで感染症を引き起こした場合に、血液中に病原体が入り込むことから発症する経路です。骨髄への血液供給は豊富であるため、構造的に病原体がトラップされやすい部位において化膿性骨髄炎を発症することになります。

開放骨折や骨関連の手術(股関節置換術など)など、骨に対しての直接的な侵襲が加わることを原因として化膿性骨髄炎が発症することもあります。外傷に関連して骨が皮膚表面から突き出てしまう場合や、人工物を体に留置した場合にも化膿性骨髄炎の発症リスクが高まります。

その他、糖尿病を基礎疾患として発症するタイプの化膿性骨髄炎もあります。糖尿病では足を中心として壊疽(壊死の一種)病変を形成するリスクがあり、皮膚の病変が徐々に骨髄へと波及することがあります。

症状

化膿性骨髄炎が発症しやすい部位は、小児期であれば上腕骨や大腿骨などの長い骨であり、年齢が高くなると脊髄なども含まれるようになります。急性経過をたどる急性化膿性骨髄炎では発熱、全身倦怠感などの症状から始まります。その後、炎症が生じている骨に関連した痛み、皮膚発赤、腫れなどをみるようになります。経過によっては近傍の関節も炎症を示すことがあり、関節の動きにも影響を及ぼすことがあります。

急性化膿性骨髄炎が治りにくい場合や、糖尿病病変に関連して発症している場合には、慢性的に経過することもあります。徐々に病変が形成されるような場合には明らかな臨床症状を呈することなく、数か月から数年経ってから骨の痛みや周囲の皮膚感染症状、の排泄などをみることもあります。

検査・診断

化膿性骨髄炎の診断では、血液検査、画像検査、培養検査が中心となります。血液検査では白血球やCRP、赤沈などといった炎症を示唆する項目を確認します。ただし、炎症項目は化膿性骨髄炎以外でも反応するため、診断のためには画像検査を行うことが重要です。また炎症項目は、慢性化膿性骨髄炎では正常のこともあります。

画像検査としてはレントゲン写真、エコー、CT、MRI、骨シンチなどが検討されます。なかでもCTやMRI検査では、より正確に骨髄を含めた周囲の感染状況を評価することができます。

化膿性骨髄炎では病原体を確認するための培養検査も行われます。また、血液感染により化膿性骨髄炎が発症することもあるため、血液培養が行われます。さらに、や、病変部位を針で刺して得られた検体、骨生検にて得た検体などの培養も検討されます。

治療

化膿性骨髄炎では、抗生物質による治療が中心となります。黄色ブドウ球菌が原因となっていることが多いため、セファゾリンナトリウムなどのセフェム系の薬剤が中心となります。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が想定される場合にはバンコマイシン塩酸塩、結核や真菌などが疑われる場合にはそれぞれ抗結核薬や抗真菌薬の使用が検討されます。

通常、化膿性骨髄炎の治療は1か月以上に及び、長期間の静脈薬投与が必要とされます。経過に応じて途中から内服薬に変更のうえ、退院が検討されることもあります。抗生物質に対しての治療効果が乏しいとき、の形成が強い場合、骨壊死が強い場合などにおいては手術療法も検討されます。

化膿性骨髄炎は、医療技術の向上によって治癒が期待できる疾患となりました。しかし、治療が遅れることで合併症を残すこともあるため、早期に治療を行うことが重要です。

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