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卵巣嚢腫
卵巣に腫れが生じた状態を卵巣腫瘍といい、多くのケースでは卵巣の片側に発生しますが、両側に発生することもあります。卵巣は細胞分裂が盛んな組織であるため、比較的腫瘍が生じやすい部位と言われています。...
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卵巣

卵巣嚢腫らんそうのうしゅ

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

卵巣に腫れが生じた状態を卵巣腫瘍といい、多くのケースでは卵巣の片側に発生しますが、両側に発生することもあります。卵巣は細胞分裂が盛んな組織であるため、比較的腫瘍が生じやすい部位と言われています。卵巣腫瘍が発生する確率は、女性の全生涯でみると5~7%程度とされ、どの年代でも発生する可能性があります。多様な組織型の種類があり、それらは大きく良性、境界悪性、悪性(いわゆる卵巣がん)の3つに大別されます。卵巣「嚢腫」と表現される場合、「嚢」とは「袋状」という意味であるため、腫瘍(細胞の増殖を伴うもの)と類腫瘍性病変(細胞の増殖がないため腫瘍ではなく、単に水分や血液などの液体が溜まっているだけのもの)の両方を含みます。
卵巣は骨盤の内部に存在し、普段は目に見えず、触ることもできないため、腫れているかどうかなどに自分自身で気づくことは困難です。お腹が膨らんできたかな、と気づくようなケースでは、非常に大きな腫瘍となっている段階と考えられます。また、一般的に卵巣腫瘍が生じたところで、痛みなどの自覚症状をともなわないことがほとんどです。このため、早期発見が難しい疾患とされています。

原因

原因は、その腫瘍のタイプによって様々です。若年者に発生する良性腫瘍の中で、もっとも発生頻度が高い成熟嚢胞性奇形腫と呼ばれるものは、袋のなかに髪の毛や骨の成分が増殖します。これは胎児を形成するはずの細胞が卵巣内部で腫瘍を形成してしまったために生じます。類腫瘍性病変のひとつである子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)は、月経周期のたびに卵巣内部に出血が溜まったものであり、同じく類腫瘍性病変のひとつである出血性黄体嚢胞は、排卵時の僅かな出血が卵巣内部に溜まってしまったものです。悪性腫瘍(卵巣がん)の場合には、ほかの部位に発生する悪性腫瘍と同様に、遺伝子異常(がん抑制遺伝子や修復機構の破綻)が原因と考えられています。また、他臓器癌からの転移が卵巣に発生した転移性悪性腫瘍も含まれます。
こちらの記事も参照ください。
https://medicalnote.jp/contents/160209-018-UB

症状

一般に無症状であることが多いです。理由としては、骨盤内に存在し外界との繋がりがないこと、卵巣は両側性に存在するため、一方の卵巣に腫瘍が生じても健常なほうの卵巣がホルモン分泌を継続するためホルモン異常が起きにくいこと、などが挙げられます。ただし、卵巣が高度に肥大すると、腹部が目に見えて膨らんできたり、腫大した卵巣嚢腫による重みで、隣接する卵管が捻じれてしまい急激な腹痛が生じたりすることもあります(茎捻転)。一般的に、腫瘍の大きさが5~6cmを超えると茎捻転のリスクが高まるとされています。また、骨盤から腹部にかけて、水分が溜まってくることがあります(腹水貯留)。そのほか、一部の卵巣腫瘍ではホルモンの異常分泌が生じることで、ホルモン異常症状(思春期前の月経開始や、閉経後の月経様性器出血再開など)がみられることもあります。

検査・診断

婦人科診察で一般的に行われる内診で、腫れた卵巣を触知できることもありますが、もっとも診断率が高く、体への負担が少ないものは経腟超音波検査です。3cmを超えるような腫瘍であれば非常に高確率で超音波検査により発見できますし、良性・悪性の診断も90%程度で可能と言われています。
MRIも卵巣嚢腫の診断に対して非常に有効です。腫瘍の存在の有無だけでなく、良性・悪性の判断や、組織型(どんなタイプのものか)の診断にも有用で、治療を検討する場合には事前にMRIを実施することが多いです。骨盤内臓器である卵巣に対しては、CTよりもMRIが優れています。造影剤を併用したMRIでは、より一層悪性かどうかの診断能力が上がります。
CTは、悪性の卵巣腫瘍を疑う際に使用することがあります。リンパ節の腫れや、全身への遠隔転移を見つける能力はMRIより優れているためです。こちらも、造影剤を併用することで診断能力が上がります。
血液検査で腫瘍マーカーを測定することもあります。異常に高い値の場合には悪性の可能性が高いですが、腫瘍マーカー単独でのスクリーニング検査は有用性が確立されていません。一方で、超音波検査などで卵巣腫瘍が見つかった際に、腫瘍マーカーの測定もあわせて行うことは、その組織型や良性・悪性の判断のために有用です。
ただし、卵巣嚢腫の確定診断を得るためには、手術による摘出検体を詳しく検査する必要がありますので、手術をせずに行う診断にはどうしても限界があることは知っておいて下さい。

治療

治療方法も、その卵巣腫瘍のタイプによりさまざまです。類腫瘍性病変の場合は、液体が卵巣内部に溜まっているだけですので手術が必要なことはまれであり、月経周期を考慮し数か月後に再度診察して経過をみる場合が多いです。しかし、子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)の場合には、薬物療法や手術療法を積極的に検討します。
良性腫瘍の場合、小さければ経過観察となることもありますが、茎捻転の心配が強い場合や、増大するペースが速い場合には、手術を検討します。一般的に、良性腫瘍を治療できる薬物療法はありません。
悪性腫瘍が強く疑われる場合には、必要な精密検査を踏まえ、詳細な治療方法の説明がなされます。一般的には、両側卵巣、子宮を含めた開腹手術で腫瘍病変を摘出します。摘出した腫瘍を顕微鏡で診断する病理検査の結果を経て、追加治療(抗がん剤など)の必要性を判断します。
こちらの記事も参照ください。
https://medicalnote.jp/contents/160511-005-ES
https://medicalnote.jp/diseases/チョコレート嚢胞

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