こうくうねんまくのじゅくそうせいかいよう

口腔粘膜の褥瘡性潰瘍

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

褥瘡とは、体の一部が長時間の圧迫を受けた場合に、その部位の皮膚の血流が悪くなり壊死した状態です。そのような壊死した部位に、摩擦やずれにより生じる引っ張り応力(物体が外力によって引っ張られるとき、それに応じて内部に生じる力)がかかると潰瘍が生じます。褥瘡は通称「床ずれ」とも呼ばれ、腰や尻、かかとなどに発症しやすいです。

健常人では長時間の圧迫を受けると無意識に体を動かして(寝がえり)圧迫される部位をずらすことで褥瘡の発症を予防しています。

しかし、自身で体を動かすことが困難な要介護者では、このような場所が褥瘡になりやすいです。また、栄養状態が不良になると皮下脂肪が薄くなり、血行も悪くなることから褥瘡が発症しやすくなるうえに、治癒もしづらくなります。

原因

いわゆる床ずれと同じように、口腔内が慢性的に繰り返し刺激を受けると、その粘膜が壊死して上皮層が剥がれ、褥瘡性潰瘍が生じます。

刺激の原因となるのは不適合な義歯や矯正装置、破折した歯、不良補綴物(ほてつぶつ)(詰め物やかぶせ、インプラントなど)の鋭縁(かけら、とがった部位)などです。

乳幼児では、先天歯または萌出(ほうしゅつ)(歯がはえること)中の下顎乳中切歯の切縁(前歯の先端のこと)が哺乳時に舌下部を刺激することで生じることがあります(Riga-Fede病)。

症状

比較的滑らかで浅い、不定形の腫瘍がポコッとできます。潰瘍底は平らで赤色、または肉芽(欠損した部分にできてくる、赤く柔らかい粒状の結合組織)組織表面の壊死によって黄白色を呈するか、あるいは線維素(フィブリン)による灰白色の偽膜に覆われています。

潰瘍の辺縁周囲には赤い部分がみられ、経過の長いものではやや盛り上がって硬結(病的に硬くなった状態)もみられます。また、潰瘍周辺の角化亢進によって白斑をみることもありますが、悪性腫瘍のような広範囲の浸潤硬結はみられません。

検査・診断

まずは潰瘍を発生する原因となるような装置や歯、生活習慣の有無を確認します。また、潰瘍がいつから発生しているか、単発か多発か、形状や大きさ、深さ、痛みの性質と程度はどのくらいかについて問診します。

口腔内に原因となるようなものがない場合には、日々の生活習慣や職業など心当たりがないか確認します。長期化して潰瘍壁が線維化している場合には、悪性腫瘍との鑑別のために生検を行い、顕微鏡で組織像を確認します。

治療

患部を刺激している原因をできる限り除去します。原因が取り除かれれば通常は1〜2週間程度で(あと)が残ることもなく治癒する場合が多いです。

局所療法としてはアズレン軟膏で創面を保護し、二次感染防止のために刺激の少ない含嗽剤(がんそうざい)(うがい薬)を使用します。

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