あっぱくせいししんけいしょう

圧迫性視神経症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

圧迫性視神経症とは、ものをみるときに重要な役割を果たす視神経が、周囲から圧迫を受けることで障害をきたした状態を指します。視神経に圧迫が生じる原因としては、感染症や外傷、腫瘍、内分泌疾患などさまざまなものがあります。

圧迫性視神経症を発症すると、ものが見えにくくなったり、視野が狭くなったりするなどの症状が現れます。圧迫を放置することで、ものの見え方に対しての障害は不可逆的になってしまうこともあります。したがって、視力や視野を元通りに戻すためには、視神経を圧迫する原因を早い段階で解除することが重要です。片目のみが障害を受けていることが多く、症状の変化に気付きにくい点にも注意が必要です。そのため、少しでも違和感を覚える際には、早い段階で医療機関を受診することが重要であるといえます。

原因

眼球の外から入ってきた外界の光は、眼球の内部を裏打ちする網膜に集まります。網膜は神経細胞の一種であり、光刺激を電気刺激へと変換する役割を持っています。網膜で形成された光刺激は、視神経と呼ばれる神経を通って脳の特定領域へと運ばれ、最終的に「ものが見える」という情報として認識されます。

眼球から脳をつなぐ視神経が、周囲の異常構造物から圧迫を受けることを原因として圧迫性視神経症は発症します。圧迫の原因となるものは多彩であり、感染症(副鼻腔内の炎症や脳膿瘍など)、腫瘍(頭蓋咽頭腫下垂体腺腫、転移性病変、悪性リンパ腫、など)、外傷、内分泌疾患(甲状腺機能亢進症)、動脈瘤などです。

症状

圧迫性視神経症では、視力低下や視野が狭くなるなどの視覚の異常として認識されます。眼球から得られた情報は、左右の視神経がそれぞれ助け合いながらひとつの大きな視野を形成しています。視神経の走行中、どの部位で圧迫を受けているかに応じて左右の視覚への影響は異なります。

圧迫性視神経症に伴う視覚障害は、慢性的に進行することが多いです。さらに、片側の視神経が圧迫されることが多いのですが、先に述べた通り左右両側の視神経が助け合いながら視力形成をしています。そのため、多少の視覚障害が生じていても、なかなか自覚症状が出現しにくいのも特徴のひとつです。神経圧迫をそのまま放置すると、視神経障害は不可逆的なものとなってしまう懸念もあります。

圧迫性視神経症では、圧迫の原因になっている疾患に関連した症状が出現することがあります。下垂体腺腫を例にとると、下垂体はさまざまなホルモンを分泌する重要臓器です。そのため、下垂体腺腫ではホルモン分泌障害に関連した症状として、乳汁分泌、生理不順、インポテンツ、骨の成長異常、疲れやすさ、寒がりなどの症状が出現する可能性があります。

検査・診断

圧迫性視神経症では、視覚に関しての異常を判断するための検査が行われます。具体的には、視力検査を行うことで左右の視力を確認します。視野に異常が生じることもあるため、視野検査を通して視野を確認します。圧迫が長期間に渡って存在すると、視神経が徐々に萎縮します。このことを確認するために眼底検査も行われます。さらに光に対しての瞳孔反射も異常をきたすことがあるため、対光反射を確認することも重要です。

圧迫性視神経症では、何が原因となって視神経が圧迫されているか、いわゆる原因検索の検査も重要です。頭蓋内の病変を確認するために、頭部CTやMRI、MRA、血管造影検査などといった画像検査が行われます。

原因によっては視覚障害以外に、ホルモン障害を伴うこともあります。これら随伴症状を評価するために、血液検査や尿検査、負荷試験なども適宜検討されます。

治療

圧迫性視神経症の治療は、視神経を圧迫している原因に対してのアプローチを行い、圧迫を解除することが重要です。感染症に関連した圧迫が疑われる場合には、抗生物質による治療やの排除などが検討されます。腫瘍性病変が圧迫の原因になっている場合には、原因に応じて化学療法や手術的な摘出術などが検討されます。

圧迫性視神経症では、原因によってはホルモン異常を伴うものもあります。また、治療に関連してホルモンの分泌異常が合併することもあるため、ホルモン調節を目的とした内服薬や注射薬が適宜検討されます。たとえば、副腎皮質ホルモンの分泌に関わるホルモンが異常をきたす場合には、低血圧や低血糖などの重篤な状態に陥ることもあるため、ステロイドの補充療法が検討されます。

圧迫性視神経症は慢性に進行する病気であり、片側に生じることから自覚症状がみられにくいことも注意が必要です。放置することで不可逆的な神経障害を残す可能性が出てくるため、疑わしい症状がある際には早期に病院を受診することが重要です。

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