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がいいんがん

外陰がん

最終更新日:
2020年07月09日
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2020/07/09
更新しました
2017/04/25
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概要

外陰がんとは、女性の“外陰部”に発生するがんのことです。外陰部は、性器の大陰唇と左右対になった小陰唇、陰核(クリトリス)、尿道口、腟口を含む部分のことを指します。これらの部位は胎児期に体が作られる過程で、皮膚のもとになる細胞から形成されており、生殖器を守るはたらきがあると考えられています。

外陰がんの多くは大陰唇に発生するとされていますが、小陰唇や陰核などに発生することもあり、進行すると脚の付け根のリンパ節などに転移することも少なくありません。また、発症しても早期段階では痛みなどの症状を引き起こすことがなく、患者自身からは見えにくい部位に形成されるため発見が遅れることも多々あります。一方で、進行すると外陰部に痛みやかゆみ、熱感を伴うしこりを形成するようになります。

発症率は100万人あたり5~10人ほどと非常にまれながんの1つで高齢者に多く見られます。しかし、性行為で感染するヒトパピローマウイルスによって引き起こされるケースもあり、若い世代でも発症する可能性があるため注意が必要です。

原因

外陰がんの約9割は外陰部を形成する皮膚から発生するがんです。明確な発症メカニズムは解明されていませんが、外陰部へのヒトパピローマウイルスに感染することが関係しているケースとしていないケースがあるとされています。ヒトパピローマウイルスに感染することと関連せずに発症する外陰がんは高齢者に多く見られるため、加齢が根本的な原因と考えられています。

また、そのほかにも長年にわたる喫煙習慣、外陰部に慢性的なかゆみなどを引き起こす“硬化性苔癬(こうかせいたいせん)”や免疫力を低下させる“慢性肉芽腫症”といった特殊な病気に合併しやすいことも分かっています。

一方、外陰がんの中には悪性黒色腫乳房外パジェット病など、全身に発生する可能性のある皮膚のがんが外陰部の皮膚や粘膜に発生するケースもあります。

症状

外陰がんは早期段階として発生部位の赤みなど皮膚の変色、小さなしこりなどが生じます。しかし、患者自身の目が届かない部位に発生するため、発見が遅れる傾向にあるとされています。

進行すると外陰部のしこりは徐々に大きくなり、痛み、かゆみ、熱感、出血などさまざまな症状を引き起こすようになります。そして、骨盤内や脚の付け根のリンパ節に転移してしこりを触れるようになったり、腟内や子宮内にまでがんが広がって水っぽいおりものが大量に出たりするといった症状が現れることも少なくありません。

基本的に外陰がんはゆっくり進行していくことが特徴ですが、悪性黒色腫が外陰部に発生したケースでは急激にがんが大きくなり、脳や肝臓などさまざま部位に転移を引き起こすこともあります。

検査・診断

症状や病変の特徴などから外陰がんが疑われる際には次のような検査が行われます。

コルポスコープ診

コルポスコープと呼ばれる特殊な拡大鏡を用いて病変部分を詳しく観察する検査です。

病変の状態を評価するだけでなく、腟や子宮頸部(子宮の入り口)、肛門周囲に肉眼では確認できないような細かな病原が広がっていないかを確認することもできます。

病理検査

外陰がんの確定診断に必要な検査です。病変部の組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく観察し、がんか否かを確定します。

また、どのような性質のがんか調べることもできるため、治療方針を決めるうえでも有用な検査です。小さな病変では、軟膏を塗っても治らない痛み、かゆみがあるときは受診しましょう。病理検査でがんが見つかることがあります。

画像検査

がんの広がりや転移の有無を調べるため、CTやMRI、PET/CTなどの画像検査を行います。多くは、がんをより分かりやすく描出することができる“造影剤”と呼ばれる薬剤を使用して画像撮影を行う“造影CT検査”や“造影MRI検査”が行われます。

血液検査

血液検査で外陰がんの診断を下すことはできませんが、体に生じている炎症や貧血の程度など全身の状態を評価する目的で血液検査を行います。扁平上皮がんのケースでは、SCCという腫瘍マーカーが高値を示します。

治療

外陰がんの根本的な治療は、手術による病変部分の切除です。切除する範囲はがんの大きさや広がりによって異なり、進行したケースほど広範囲の切除が必要となります。また、外陰がんは脚の付け根のリンパ節などに転移しやすいため、すでに転移しているケースを含め予防的に病変部と同時に切除することも少なくありません。一方、転移もなくごくごく早期の段階であればレーザー治療のみを行うこともあります。

また、骨盤内の臓器にがんが広がっているような場合は、放射線治療や抗がん剤治療を行ってがんを縮小させてから手術をしたり、全身の状態が悪いなど手術が困難な場合には放射線治療・抗がん剤治療のみが行われたりすることもあります。

なお、外陰部を広範囲にわたって切除した場合は、皮膚の欠損部位を埋めるのに、お尻や足、下腹部の皮膚や筋肉を用いる“再建術”が積極的に行われているのが現状です。

予防

外陰がんはヒトパピローマウイルス感染が発症に関係しているケースもあるため、性行為時はコンドームを着用する、不特定多数との交渉を控えるなど、感染を予防するための安全な性生活を送ることが大切です。また、ヒトパピローマウイルスに対するワクチンは、子宮頸がんと共に外陰がんの予防にも効果があることが分かっています。

そのほか、外陰がんは喫煙によって発症リスクが高まるとの指摘もあるため、禁煙外来などを利用して禁煙を目指すことも必要です。

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