おおたぼはん

太田母斑

最終更新日:
2023年09月28日
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2023/09/28
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2023/08/24
更新しました
2017/04/25
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概要

太田母斑とは、顔に発生する青あざのことをいいます。1939年に太田 正雄(おおた まさお)医師が世界で初めて発見したことから、この名称が付けられました。

特に日本人などの黄色人種の女性に多くみられ、日本における発症頻度は1,000人に1〜2人程度といわれています。好発部位は額や目の周辺、頬、鼻、耳などです。多くは顔の左右いずれかに発生しますが、両側に生じる方もいます。

種類

太田母斑には、生まれてすぐに生じる“早発型”と思春期以降に生じる“遅発型”があります。

早発性の場合、出生時に確認されることはまれで、多くは生後6か月以内に発症します。また遅発型の多くは思春期頃に生じますが、20〜40歳代になってから発症する方もいます。成人後に発症した太田母斑は、“後天性両側性太田母斑様色素斑”や“後天性真皮メラノサイトーシス”などと呼ばれることもあります。

原因

太田母斑はしみなどの原因となる“メラノサイト”の増殖によって生じることが分かっています。メラノサイトとは、しみの原因となる“メラニン色素”を産生する物質です。通常のしみなどは皮膚の中でも体表に近い“表皮”と呼ばれる部分に発生することに対して、太田母斑は表皮の奥にある“真皮”という部分でメラノサイトが増殖することによって発症することが分かっています。

メラノサイトが真皮で増殖する原因については、まだはっきりと分かっていません。一部の症例では、GNAQGNA1などの遺伝子異常が関与している可能性があるといわれているほか、内分泌(体内の分泌物を血液中などに放出すること)との関係性を指摘している報告もあります。

なお、しみ(メラニン色素)といえば紫外線による影響が強い印象がありますが、紫外線は真皮までは到達しにくいため、太田母斑と紫外線の関係性は薄いと考えられています。

症状

太田母斑では、顔の周辺にいわゆる青あざが生じることが一般的です。“青あざ”と表現されますが色合いは人それぞれで、青紫色や灰紫青色のような青あざの上にそばかすのような褐色の色素斑が点在していることもあります。大人になってから発症した場合には、特にそばかすやしみ、くまなどと見分けることが大切です。

あざの色味は年齢とともに濃くなることもあり、自然に消えていくことはありません。また多くは顔の片側に生じ、好発部位は額や目の周辺、頬、鼻、耳などですが、時に眼球の白目の部分にも青い斑が生じることがあります。

検査・診断

患者の年齢や症状などが典型的な場合は、問診・視診などですぐに診断がつくこともあります。

また皮膚の一部を採取して顕微鏡で見る“皮膚生検”を行うこともあります。皮膚生検で真皮にメラノサイトが存在していることが確認されれば、太田母斑と確定診断されます。

治療

太田母斑は放置していても特に問題はありませんが、自然に消失することもないため、整容的な観点からレーザー治療を検討することがあります。ただし、眼球にはレーザーの照射ができないため、眼球に太田母斑が生じた場合は現在のところ有効な治療方法が存在しないのが現状です。

以下では、太田母斑の治療として行われるレーザー治療についてそれぞれ紹介します。

レーザー治療

レーザー治療にはQスイッチレーザー、Qスイッチルビーレーザー、YAGレーザー、アレキサンドライトレーザーなどさまざまな種類があり、その種類ごとに治療後の経過や照射回数などが異なります。

実際に使用されるレーザーは医療機関によって異なりますが、いずれのレーザーでも照射することにより光エネルギーが熱エネルギーへと変換され、あざの原因となっているメラニン色素を熱で壊してあざの除去を目指します。特にQスイッチの搭載されたレーザーは照射時間が瞬時で非常に短いため、周辺の皮膚へのダメージが少ないといわれています。

レーザー治療の経過

太田母斑に対するレーザー治療は、治療後すぐに効果が現れるものではありません。照射後は徐々にメラニン色素が除去され、少しずつあざが薄くなっていくことが一般的です。この経過をみるために、通常照射後3〜6か月は経過観察を行います。

なお、太田母斑に対するレーザー治療は1回の照射で済むことは少なく、平均して3回以上の照射が必要となる傾向があります。照射から3〜6か月経過しても、あざが完全に消えていなかった場合、レーザーの再照射を検討します。

レーザー治療の注意点

レーザー照射には痛みが生じるため、子どものうちに治療を受ける場合には全身麻酔が検討されることもあり、治療に入院が必要になる可能性もあります。また起こり得る副作用として、頻度はまれですが軽い色素沈着や色素脱出が挙げられます。

太田母斑に対するレーザー治療は、概ね保険適用で行えます。ただし使用するレーザー機器や照射する回数などによっては保険適用外となることもあるため、治療を検討する際はあらかじめ医療機関に確認しておきましょう。

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