クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
Noimage s500x350
妊娠糖尿病
糖尿病とは、体内の糖代謝に異常が生じ血液中のブドウ糖濃度が増える病気です。 妊娠中の糖代謝異常は、以下の2つにわけられます。 糖尿病合併妊娠(糖尿病と診断されていた女性が妊娠し...
Male consulter resolved
クリップに失敗しました
更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
掲載しました。
閉じる

概要

糖尿病とは、体内の糖代謝に異常が生じ血液中のブドウ糖濃度が増える病気です。

妊娠中の糖代謝異常は、以下の2つにわけられます。

  • 糖尿病合併妊娠(糖尿病と診断されていた女性が妊娠したもの)
  • 妊娠中にはじめてみつかった糖代謝異常

後者はさらに、以下の2つにわけられます。

  • 妊娠中に診断された明らかな糖尿病(糖尿病の診断基準を満たしており妊娠糖尿病と区別すべきもの)
  • 妊娠糖尿病(妊娠の影響で糖代謝異常をきたしたもの)

ここでは、これらのうち「妊娠糖尿病」に範囲を絞って説明していきます。

より詳しい記事を読む

原因

妊娠糖尿病は、妊娠の影響でインスリンのはたらきが低下することで起こります。

食事をとり血糖値が上がると、膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。インスリンは血液中のブドウ糖を脳や筋肉に運び入れ、肝臓や脂肪組織でブドウ糖からグリコーゲンや脂肪を作る機能を持ちます。このようにして、インスリンにより血糖値が低下します。

しかし、妊娠中、特に妊娠20週以降になると、複数のホルモンのはたらきによりインスリンのはたらきが徐々に低下してきます。そのため、妊娠中のお母さんは血糖値が高くなりやすいのです。妊娠糖尿病になりやすいリスク因子として、以下が挙げられます。

  • 糖尿病の家族がいる(特に1親等以内はハイリスク)
  • 肥満
  • 妊娠中に体重が急増した
  • 高齢出産
  • 巨大児を出産した既往がある

ただし、上記のリスク因子を持たない妊婦さんでも妊娠糖尿病になる場合もあります。また、近年の高齢出産の増加にともない増加傾向にあります。

症状

自覚症状がほとんどないため、妊婦健診時の検査により発見されます。診断されずに病状が悪化すると、お母さんと赤ちゃんに次の合併症が起こることが知られています。

お母さん:

  • 糖尿病の合併症(網膜症や腎症など)
  • 妊娠高血圧症候群
  • 羊水量の異常
  • 流産・早産
  • 肩甲難産

赤ちゃん:

  • 形態異常(奇形)
  • 巨大児
  • 胎児機能不全
  • 子宮内胎児死亡
  • 低血糖
  • 多血症
  • 黄疸 など

また、妊娠糖尿病は妊娠中にさまざまな合併症を起こすだけではなく、妊娠終了後にも影響することが知られています。妊娠糖尿病と診断されたお母さんは、将来の糖尿病、メタボリック症候群発症のリスクが上昇し、さらには赤ちゃんの将来の糖尿病、メタボリック症候群の発症リスクも上昇するといわれています。

検査・診断

日本産科婦人科学会では、すべての妊婦さんを対象に妊娠初期・中期に妊娠糖尿病のスクリーニング検査の実施を推奨しています。スクリーニング検査で陽性となった妊婦さんに対し、75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)を行い、(1)空腹時血糖値≧92mg/dL (2)1時間値≧180mg/dL (3)2時間値≧153mg/dLの1つでも満たした場合、妊娠糖尿病と診断されます。

治療

自己血糖測定

妊娠糖尿病と診断されたら、血糖を管理するため、自己血糖測定(お母さんが血糖測定器を使って自分で測定し記録します)を行います。

食事療法(栄養指導)

おなかの赤ちゃんの成長に必要な栄養をきちんとつけることが大切であるため、栄養指導なども行われます。食事療法では、非妊時の妊婦さんの体重から適切なエネルギー量を算出します。非妊時のBMIが25未満の妊婦さんの場合は、標準体重×30kcal+付加量(妊娠時期によって異なる)、BMIが25以上の妊婦さんの場合は、標準体重×30kcalを適正エネルギー量とします。

血糖値は、食前100mg/dL未満、食後2時間120mg/dL未満を目標に管理します。妊娠中は、空腹時の血糖値が低く、食後の血糖値が高くなりやすいという特徴があるため、食後の急激な血糖値の上昇をさけるために、1日の食事量を4~6回に分ける「分食」を行う場合もあります。

インスリン注射

食事療法だけでは血糖値が改善されない場合は、インスリン注射で血糖値を下げることになります。経口血糖降下薬は、催奇形性に関してまだ安全性が確立されていないことや、胎盤通過性もあることから 、現在妊婦さんへの投与は禁忌とされています。通常は速効型(または超速効型)および中間型インスリン皮下注射による強化インスリン療法を行います。インスリン療法を始める場合は、産婦人科だけでなく糖尿病を専門とする内分泌代謝内科の医師にも診てもらいながら、適切なインスリン量を調節していくことが多いです。

分娩時にはインスリン需要量が変化するため、必要に応じてインスリン量を増減し、より注意深い血糖管理が必要となります。赤ちゃんが生まれた後は、胎盤由来のホルモンの低下に伴ってインスリン需要量が急速に低下します。そのため、分娩後はインスリン投与量を分娩前の約半分にして血糖値の経過をみます。

産後:定期的な健診を行う

産後は、6~12週間後に再び経口ブドウ糖負荷試験を受け、妊娠糖尿病が治っているかを評価します。ここで治っていても、妊娠糖尿病になった方は、妊娠糖尿病のなかった方に比べて約7倍、将来的に糖尿病となるリスクが高いため、今後も定期的な健診を続けていくことが大切です。産後に母乳を与えると、お母さんも赤ちゃんも将来糖尿病となる頻度が減ることが知られていますので、可能な方には母乳栄養をおすすめしています。

妊娠糖尿病の記事を読む

もっとみる

妊娠糖尿病の記事にご協力いただいている医師