クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
Noimage s500x350
尿崩症
尿崩症とは、抗利尿ホルモン(antidiuretic hormone; [ADH]、バソプレッシン)と呼ばれるホルモンに関連した病気の一つであり、大量の尿が排泄されるようになってしまう病気を指し...
Male consulter resolved
クリップに失敗しました

尿崩症にょうほうしょう

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
掲載しました。
閉じる

概要

尿崩症とは、抗利尿ホルモン(antidiuretic hormone; [ADH]、バソプレッシン)と呼ばれるホルモンに関連した病気の一つであり、大量の尿が排泄されるようになってしまう病気を指します。大量の水分が尿として排泄されるようになる結果、のどがとても乾き水分を飲みたいという症状が生じます。

原因

尿崩症は、体内の水分バランス調節ができなくなる結果、大量の尿が腎臓から排泄されるようになる病気です。  健康な状態における体内の水分バランスは、抗利尿ホルモン(antidiuretic hormone; [ADH]、バソプレッシン)と呼ばれるホルモンが重要な役割を果たしています。抗利尿ホルモンはその名前から推察されるように、尿が大量に排泄されないように調節するホルモンであり、体内の水分量を正常に保つために重要なホルモンです。  抗利尿ホルモンは、「視床下部」と呼ばれる脳の組織の一部で産生された後、同じく脳に位置する「下垂体」へと移され同部位で保存されます。体内の水分が足りてないような状態になると(例えば、長時間水分が取れていない、下痢などで脱水になっている、運動で汗をかいたなど)、抗利尿ホルモンが下垂体から分泌されるようになります。  下垂体から分泌された抗利尿ホルモンは、血液の流れに乗って腎臓に運ばれます。腎臓に運ばれた抗利尿ホルモンは腎臓に働きかけ、尿を濃くするようにします。すなわち、尿として体外に排泄される水分量を減らすことから、体内で水分が保たれるように調節されます。 体内に水分を保持するまでの一連の流れからわかるように、体内に水分を保持するように働く機構は複雑です。この経路のどこかが異常を来す場合に尿崩症が発症します。尿崩症は原因に応じて、①中枢性尿崩症、②腎性尿崩症、に分類されます。  中枢性尿崩症は、そもそも抗利尿ホルモンが脳(視床下部・下垂体)において産生分泌がなされなくなったことから発症する尿崩症です。抗利尿ホルモンが存在しないため、腎臓から大量の尿が排泄されることになります。中枢性尿崩症は、多くの場合は外傷や脳腫瘍(例えば胚芽種やランゲルハンス細胞組織球症、急性白血病など)に関連して発症します。その他、下垂体手術の合併症、サルコイドーシスや結核による影響、血管性病変(脳動脈瘤など)、脳炎・髄膜炎、リンパ球性下垂体炎など、その原因は多岐に渡ります。稀なものとしては先天的な中枢性尿崩症も存在し、遺伝子異常や脳の構造異常などと関連して発症することもあります。  腎性尿崩症とは、抗利尿ホルモンは脳において産生分泌はされるものの、腎臓が抗利尿ホルモンに対して反応をしない状態から生じる尿崩症を指します。脳からの指令に対して腎臓が適切に反応をしない結果、大量の水分が尿として排泄されることになります。腎性尿崩症は、遺伝子異常が原因で発症することがあります。その他にも、慢性腎疾患、薬剤(例えばリチウム)、低カリウム血症、高カルシウム血症なども、腎性尿崩症を引き起こすことがあります。  中枢性尿崩症と腎性尿崩症が尿崩症の代表ですが、その他にも尿崩症を引き起こしうる状況が知られています。正常であれば水分が足りていない状況において、人は「のどの渇き」を感じます。のどの渇きを感じるメカニズムには視床下部がとても重要な役割を果たしていますが、視床下部に障害が生じることからのどの乾き方に変化が生じることがあります。すなわち、手術や感染、炎症、脳腫瘍などにより視床下部が障害を受けると、体内な水分がしっかり保てているにも関わらず常時のどが乾くことがあります。この場合には大量の水分を自発的に摂取するようになり、それに反応して大量の尿が排泄されてしまうようになります。  また、妊娠期間中に一過性に尿崩症を発症することがあることも知られています。妊娠期間中には胎盤が存在しますが、胎盤から分泌されるタンパク質が抗利尿ホルモンを破壊してしまい、尿量調節がうまくいかなくなることがあります。また、胎盤からは「プロスタグランジン」と呼ばれる物質が分泌されますが、プロスタグランジンが抗利尿ホルモンの腎臓における反応性を低下させることも知られています。しかし、これら妊娠に関連した尿崩症は、症状は軽度であることが多く、出産とともに症状も改善します。

症状

尿崩症では大量の水分が体外に排泄されることになるため、「多尿」の症状が出現します。体内の水分が足りていない状態になるため、「のどの渇き」を自覚するようになり水分をとる必要性を身体に訴えかけます。その結果、水分をたくさん摂取する「多飲」の症状が出現するようになります。  多尿の症状は夜間であっても生じるものであり、おねしょとして認められることもあります。乳幼児の場合、のどの渇きを訴えることができないことから、不機嫌になることもあります。また成長障害や体重減少といった症状を呈することもあります。  適切に水分補充がなされないと、尿崩症では容易に脱水になります。脱水になると血圧が低下しますし、皮膚の乾燥を認めるようになります。低血圧や発熱、頻脈、吐き気、食欲低下、意識障害などを呈することもあります。

検査・診断

 尿崩症では、尿検査や血液検査、水制限試験、画像検査などが行われます。尿検査では、尿がうすくなっていることが確認されます。血液検査では、ナトリウムや血漿浸透圧を測定することになります(体内の水分が失われていることの指標です)。  その他、尿崩症をさらに細かく診断するために、水制限試験が行われることもあります。水分の摂取をやめさせ、おしっこの量や濃さがどのように変化するか、また抗利尿ホルモンを投与した際にどのように身体が反応するかどうかなどを観察することになります。  頭部MRIでは視床下部や下垂体など、抗利尿ホルモンの産生分泌に関連する部位に異常な構造物が存在していないかどうかを確認することになります。

治療

 尿崩症の治療は、脱水にならないような適切な水分摂取が基本になります。さらに尿崩症を引き起こしている原因疾患に対するアプローチも必要です。例えば脳腫瘍であれば、手術・化学療法・放射線療法などが行われますし、腎性尿崩症を引き起こす電解質異常があるようであればその異常を治します。その他、中枢性尿崩症なのか、腎性尿崩症なのかに応じた治療方法が選択されます。  中枢性尿崩症では抗利尿ホルモンが足りていない状態であるため、外部から抗利尿ホルモンを投与することで尿量調整を行うことが可能になります。  腎性尿崩症では、サイアザイドと呼ばれる利尿剤が使用されることがあります。利尿剤というと排尿を促す作用を持つ薬でありますが、腎性尿崩症においてサイアザイドを利用した場合では、その作用機序から逆説的に尿が減ることが期待できます。