血液

悪性リンパ腫(あくせいりんぱしゅ)

悪性リンパ腫とは

悪性リンパ腫とは、血液の細胞のうち病原菌やウイルスなどに対する免疫系の役割を担う白血球のうち、リンパ球という細胞がリンパ節やリンパ管のなかで異常に増殖する病気で、「血液のがん」である白血病と似たものです。リンパ球には、リンパ球が成長・分化していく胸腺という臓器に主に存在して免疫系の司令塔のような役割をもつT細胞と、骨髄や全身のリンパ節などのリンパ組織に主に存在して病原菌などを殺すのに重要な抗体をつくって血中に放出するB細胞がありますが、どちらの細胞がどこで異常に増殖するかによって病名が異なります。また、病理検査でホジキン(Hodgkin)リンパ腫と非ホジキンリンパ腫とに分類され、この分類は治療方針の決定にとても重要となります。
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【悪性リンパ腫とは。そもそも「リンパ」とは何か?】

原因

悪性リンパ腫の原因はまだわからないことが多いですが、一般的ながんや白血病と同じように、遺伝子の異常が原因とされています。放射線によって細胞の遺伝子が壊れたり、細胞分裂の際に遺伝子が誤って複製されたりすることで異常が生じやすくなります。

症状

悪性リンパ腫の症状にはいろいろな全身の症状がありますが、発熱、寝汗、そして体重減少の3つがよくみられるものです。リンパ節の中で異常に増殖すればしこりとなって首や鎖骨の上にできものがあることに気づく、ということもあります。リンパ腫の細胞が脳に転移することで、からだの一部にまひやしびれ、またはことばを話したり理解したりする認知能力が低下することもあります。

検査・診断

血液検査でリンパ球や白血球が異常に増加し、さらに異常な形をしたリンパ腫の細胞がみられます。また、異常につくられた腫瘍細胞が大量に壊れることによって、細胞の内部にみられるいろいろな物質[アルカリフォスファターゼ(ALP)、乳酸脱水素酵素(LDH)など]の値が上昇したり、特殊な血液検査でIL2レセプターの値が上昇したりします。さらに、PET検査や全身CT撮影を行って、異常なできものがないかどうかを確認したり、シンチグラフィ検査を行って他の臓器に転移がみられないかどうか確認したりします。しこりが皮膚の表面にある場合には、生検を行って異常に増殖している細胞の種類や分化度(分化度が低いほど、進行が速く悪性度が高いといわれています)を決定し、確定診断を行います。

治療

異常な腫瘍細胞を殺すため、抗がん剤をつかった化学療法と、しこりが一部分に集中している場合には、放射線照射療法を組み合わせて行います。抗がん剤によって正常な白血球もダメージが入るため、病原菌などに対する免疫の機能が低下してしまい(免疫抑制)、感染症にかかりやすくなる危険性が高くなります。場合によっては、そういった感染症を防ぐため、無菌室とよばれる非常に空気の綺麗な個室に入院して治療を行う場合もあります。
これまで、ホジキンリンパ腫に対する化学療法は、以前からABVD療法という4種類の抗がん剤を組み合わせた治療が行われてきました。非ホジキンリンパ腫に対しては、CHOP療法という4種類の抗がん剤を組み合わせた治療が行われてきました。また、CD20陽性のB細胞リンパ腫に対しては、抗CD20抗体であるリツキシマブが使われてきました。
一方、悪性リンパ腫に対する新しい治療薬が近年開発され、日本でも保険適応されつつあります。その代表例として、肺癌や悪性黒色腫で用いられてきたニボルマブ(オプジーボ)がホジキンリンパ腫へ適応拡大されました。そのほか、B細胞リンパ腫や、T細胞リンパ腫に対する新しい治療薬が登場し、期待されています。
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【オプジーボ・アドセトリス- 悪性リンパ腫の新しい治療薬の開発状況】

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