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未熟児網膜症
未熟児網膜症とは、早産児や低出生体重児に発症する網膜病変のひとつを指します。新生児領域における眼科疾患として発症率は高いことで知られています。新生児医療の進歩により、早産児、低出生体重児の生命予...
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未熟児網膜症みじゅくじもうまくしょう

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

未熟児網膜症とは、早産児や低出生体重児に発症する網膜病変のひとつを指します。新生児領域における眼科疾患として発症率は高いことで知られています。新生児医療の進歩により、早産児、低出生体重児の生命予後は大きく改善してきていますが、その反面、長期的な生活の質を低下させうる病気も生じるようにもなってきています。未熟児網膜症はそのうちの一つとして挙げることができます。未熟児網膜症は、その名前が示す通り「未熟性」が原因となった網膜疾患であり、長期的な視力低下や重い場合失明につながりうる病気です。

原因

未熟児網膜症は、眼球の血管が正常に発達しないことが原因で発症します。網膜の血管は、妊娠15~18週ごろを境に作られはじめます。網膜自体は眼球のなかの大部分を裏打ちしており、すべての領域において血管が作られるには時間が必要です。また、部位によって、完成する時期も異なります。具体的には、鼻側の網膜の血管は36週ごろに血管供給が完了しますが、外側の網膜はそれよりも遅く妊娠40週ごろまで時間を要します。

網膜の血管は、網膜が眼球から離れないように接着させる「ノリ」のようなはたらきもしています。網膜の発達が未熟な領域は、簡単に網膜剥離を起こします。網膜の血管は妊娠週数が若いほど未完成であり、網膜剥離を引き起こす脆さがあることを意味します。

早産児や低出生体重児は、網膜の血管が完成していない状態で出生します。出生後も網膜に対しての血管発達はしますが、お母さんのお腹のなかで観察されるような正常な発達をする例ばかりではありません。出生前後における低血圧、出生時の低酸素とその後の酸素供給(未熟な早産児ほど生命を助けるために酸素が投与されます)などの要素が複雑にからみあい、血管の発達が影響を受けます。本来は網膜に沿って発達すべき血管が、眼球の内部(硝子体と呼びます)に向かって伸びるようになります。

異常な血管はとても脆く出血をしやすい性質を持ち、網膜を牽引することから網膜剥離を引き起こしやすくなります。未熟児網膜症の発生には、IGF-1やVEGFと呼ばれる物質が関わっているとも報告されています。

症状

未熟児網膜症は、影響を受ける網膜の領域に応じてさまざまな視力障害が生じます。網膜のなかでも黄斑部と呼ばれる領域が、視力を形成するのにとても重要な役割を果たしています。黄斑部以外の網膜が影響受けた場合であっても、日常生活上支障をきたさない程度の視力が保たれることも多いです。

しかし、黄斑部が障害を受けた場合の視力低下は大きくなります。未熟児網膜症の程度にかかわらず、早産児はみえ方に何かしらの問題を抱えることも多いです。具体的には、近視や乱視といった視力障害を生じることもあります。

検査・診断

早産児や低出生体重児は、生後数日間は血行動態(血液の状態)や呼吸状態が非常に不安定です。このころは血圧や呼吸状態の安定など、生命に関わることへの治療が優先されます。

生後しばらくすると全身状態が安定してくるため、このころを見計らって眼底検査が行われます。施設によってどの赤ちゃんが検査対象になるか異なる部分もありますが、出生体重1,500g未満、出生週数30週未満はすべての赤ちゃんに眼底検査を行うことが推奨されています。また、それ以上であっても、未熟児網膜症を引き起こしうるリスクをともなっていた児童(たとえば出生後の低酸素状態がとても強かったなど)においては、同様に眼底検査を行うことが必要な場合もあります。

赤ちゃんは視力障害を自分から訴えることはできないため、スクリーニングとして以上のような基準を設けて眼底検査が行われます。出生後週数が進むにつれて網膜の血管も発達しますので、異常な血管が出てきていないか、正常な部位にしっかりと血管が発達しているかを観察します。

未熟児網膜症は入院期間中の眼底検査に留まることはなく、視力障害を生じていないかどうか、長期的な眼科検査(たとえば視力検査)が必要になります。

治療

未熟児網膜症の治療の基本は、異常な血管を早期に発見し、異常血管の発達を抑制することにあり、レーザー光凝固が行われます 。レーザーを網膜にあてることで同部位の網膜が焼かれ、異常血管の発達が抑制されます。レーザー光凝固でも異常血管の進行を抑えることができない場合、網膜剥離をきたすこともあります。

網膜剥離に対する治療としては、強膜バックリング手術や硝子体手術などの治療が行われます。強膜バックリング手術では、眼球の外側にスポンジを巻くことで網膜にかかる牽引力を軽減させます。硝子体手術とは、眼球のなかに存在する異常構造物を取り除く手術です。未熟児網膜症の一部では、急速に病状が進行することがあります。こうした一部のタイプに対しては、水晶体を除去して異常血管の足場をなくすこともあります。