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横隔膜ヘルニア

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

横隔膜ヘルニアとは、お腹と胸を分けている横隔膜に穴があいていることで、本来お腹の中にあるべき腸管や肝臓などの臓器が胸の中に入り込む病気のことです。お腹の臓器が胸に入り込んで肺を圧迫するため、正常な呼吸ができなくなります。

横隔膜ヘルニアは、横隔膜のどの部位に穴があるか、どのような原因(先天的なのか、外傷性なのかなど)で横隔膜に穴が開いたかなどにより分類され、小児科領域で対象となるものとしては先天性横隔膜ヘルニアがあります。

これは主に2,000〜5,000人に1人の発生率と言われていて、日本国内では年間200〜300件程度報告されています。先天性横隔膜ヘルニアでは、赤ちゃんがお腹の中にいるときから横隔膜に穴が開いており、肺の成熟が妨げられてしまいます。そのため、出生後から重篤な呼吸器障害を呈することもある病気いわれています。

原因

お腹の中と胸の中は、横隔膜という筋肉で出来た膜で分けられています。横隔膜は呼吸をする際に重要な役割を果たすほか、小腸や大腸、肝臓や脾臓などはお腹の中、一方で肺や心臓などは胸の中に位置させるため仕切りのような役割もあります。

横隔膜が完成するのは妊娠10週頃といわれています。先天性横隔膜ヘルニアではこの成熟がうまくいかず、横隔膜に穴が開いてしまいます。横隔膜に穴があると胸の中に消化管や脾臓、肝臓等が入り込んでしまうため、肺が圧迫されてしまい成長が妨げられてしまいます。

お母さんのお腹にいる間は、胎盤が赤ちゃんの呼吸機能を肩代わりしていますが、出生後は赤ちゃん自身の肺がはたらく必要があります。しかし先天性横隔膜ヘルニアでは肺が成長しきれていないため、出生後に呼吸障害を起こします。

先天性横隔膜ヘルニアは何かしらの合併症を併発していることがあります。染色体異常の合併率は30%程度、先天性心疾患の合併率は40%程度と報告されています。

症状

先天性横隔膜ヘルニアの症状は、横隔膜の穴の大きさと、腹部臓器が胸の中に脱出する時期や程度によって大きく異なります。重症例では、出生後間もなくから呼吸障害、チアノーゼなどを発生することがあります。

また生まれてすぐには症状がなくても、多呼吸、うなり声、呼吸困難などが次第に生じることもあります。先天性横隔膜ヘルニアの中には、新生児期を全くの無症状で過ごし乳児期以降に発症することもあります。この場合は場合呼吸困難、嘔吐や腹痛などの消化器症状を伴うこともあります。

また先天性横隔膜ヘルニアでは、新生児遷延性肺高血圧症を発症することもあります。新生児遷延性肺高血圧症とは、本来下がるべき肺血管抵抗が適切なタイミングで下がらず、肺における酸素や二酸化炭素の交換が適切に行うことができなくなる状態です。

検査・診断

診断技術の向上もあり、先天性横隔膜ヘルニアの多くは妊娠中に判明します。先天性横隔膜ヘルニアが疑われる場合、重症や合併症などを調べるため、MRI検査や染色体検査などの検査を追加で実施します。

出生後の横隔膜ヘルニアの診断は、レントゲン写真をもとに行われます。このとき新生児遷延性肺高血圧症や心臓の奇形などを評価するため、心臓のエコー検査が行われることもあります。また、13 トリソミーや18トリソミーといった染色体異常に伴って横隔膜ヘルニアを発症していることもあるため、染色体検査が行われることもあります。

治療

先天性横隔膜ヘルニアは手術で治します。手術を行う前に、呼吸・循環不全は人工呼吸・循環管理、新生児遷延性肺高血圧症があれば一酸化窒素吸入療法を行うなどして、全身の状態を安定させます。それでも症状が安定しなければ、体外式膜型人工肺を使用することもあります。

手術では横隔膜の穴を塞ぎますが、肺が成熟するにはしばらく時間が必要なため手術後も成長にあわせたフォローが必要になります。長期的な予後については、先天性横隔膜ヘルニアの重症度に依存する部分も大きいです。

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