大腸・小腸

潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に潰瘍やびらんなどの慢性的な炎症が起こる疾患です。クローン病とならび、炎症性腸疾患の代表的疾患として知られています。20代から30代の若年者に好発する病気で、発症年齢のピークは男性が20〜24歳、女性が25〜29歳といわれています。しかし、小児や50歳以上でもみられるなど、幅広い年齢層で発症する可能性があります。

クローン病と違い、発症に性差はありません。2013年のデータでは、日本における患者数は16万人を超えると報告されており、その数は年々増加する傾向にあります。長期にわたって罹患している方では大腸がん発症のリスクが高くなることも知られています。

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原因

潰瘍性大腸炎が発症する原因や詳細なメカニズムについては、現在(2017年現在)のところ完全にはわかっていません。しかし、遺伝的な要因や環境要因などが複雑に絡み合い、異常な免疫応答を引き起こした結果、消化管の炎症が起きると考えられています。

一部の患者さんでは、近親者に炎症性腸疾患の家族歴が認められます。潰瘍性大腸炎の発症に関連すると考えられる遺伝子については、数多く同定されています。多くはクローン病発症にも共通して寄与すると考えられるもので、主に免疫応答や腸のバリア機構に関連するものが見つかってきています。炎症性腸疾患では、衛生環境や食生活といった環境因子との因果関係が強く示唆されています。

早くから近代化の進んだヨーロッパや北米で患者さんが多く認められ、日本においても衛生環境が改善され、欧米の食生活を取り入れるようになってきて以降患者数が増加傾向にあるといわれています。

症状

潰瘍性大腸炎の一般的な症状としては、下痢や血が混じった粘血便が挙げられます。炎症の拡がりによって直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型などに分けられ、炎症の程度によっても症状は異なります。炎症が大腸の上部に拡がるにしたがって便が柔らかくなり、排便回数が増加していきます。また、残便感があり、トイレに行く頻度も増えます。腹部にけいれん性または持続的な痛みが生じることもあります。また重症化すると、十分な栄養吸収ができないことから体重減少がみられたり、炎症部分からの出血による貧血が認められたりすることもあります。潰瘍性大腸炎、特に炎症が広範囲にわたっている症例や長期にわたって罹患している症例では、大腸がんを発症するリスクが高くなります。

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検査・診断

慢性の粘血便や下痢、腹痛などの症状から潰瘍性大腸炎が疑われる場合には、まず海外渡航歴、服薬状況、家族歴などの聴き取りを行います。同じような症状を引き起こす感染症や薬剤性の腸炎ではないことを確認するためです。

潰瘍性大腸炎では、類似症状を引き起こす疾患との鑑別が非常に大切です。細菌学的および寄生虫学的検査を行なって、それらの可能性を除外するところからはじまります。次に、大腸内視鏡検査が行われます。肛門から内視鏡を挿入し、腸内の状態を観察します。典型的な所見としては、浮腫性の粘膜、血管透過性の低下、潰瘍、易出血性が連続的に認められます。この際、組織の一部を採取する生検を行って、病理検査も実施されます。

治療

潰瘍性大腸炎の治療は、薬物療法などの内科的治療を中心に行われます。潰瘍性大腸炎は、症状がよくなったり (寛解)、悪くなったり (再燃)を繰り返す慢性的な疾患です。病態や炎症の部位、重症度に応じた薬剤が選択されます。現在のところ、完治に導く治療法は確立されていません。しかし、炎症を抑えたりコントロールしたりするのに有効な薬は存在し、治療成績も年々向上してきています。症状が悪化しているときには、炎症を抑えるために5-ASA (5-アミノアセチル酸) 製剤の経口剤や注腸剤の投与に加え、ステロイド注腸が行われます。

重症の場合には、プレドニゾロンの経口あるいは点滴治療が行われます。2002年以降盛んに用いられるようになった抗TNFα抗体の治療は、免疫機能の低下による副作用のリスクは伴うものの、潰瘍の完全消失をも期待できるようになっています。 一方、症状が落ち着いているときには、状態を維持するために5-ASAに加えてアザチオプリンなどが使用されます。さまざまな内科的治療を実施しても症状がコントロールできないときには、外科手術が適応となる場合があります。この他にも、大腸粘膜病変にがん化が認められた場合やステロイドなどの薬物治療に副作用がある場合にも手術が行われることがあります。

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