むげっけい

無月経

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

無月経とは、文字通り「月経のない状態」を指し、大きく「生理的無月経」と「病的無月経」に分類することができます。

生理的無月経とは、初経が来る前、閉経後、妊娠中、産後の授乳期などにおける、病的ではなく治療を必要としない無月経を指します。病的無月経とは、本来月経があるはずの性成熟期において異常な月経停止が起こっている状態を指します。ここでは、主に病的無月経について説明していきます。

病的無月経には、(1)原発性無月経と(2)続発性無月経があります。

(1)原発性無月経:18歳を過ぎても初経が起こらないもの。

(2)続発性無月経:月経が3か月以上停止しているもの。

続発性無月経のほうが頻度は高く、原発性無月経は比較的まれな病態です。

原因

月経は、卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが作用することで起こります。2種類のホルモンの産生と分泌は、脳の視床下部と脳下垂体からのホルモンによって調節されています。この視床下部‐下垂体‐卵巣‐子宮からなるホルモン分泌経路のどこかが障害されると無月経が生じます。視床下部‐下垂体‐卵巣それぞれからでたホルモンが子宮に作用し、血中のホルモンが周期的に下がる時に子宮内膜が剥がれ落ちる時に起こる性器出血(消退出血)が月経となります。卵巣から卵が外に飛び出る(排卵)が起き精子と出会うと(受精)妊娠が成立し、ホルモン濃度が維持されるので月経が起きません。つまり、これまで周期的にあった月経(生理)が来ない=妊娠成立となるわけです。

以下に妊娠以外の無月経の原因を記します。

視床下部性

原発性無月経:Kallmann症候群、Laurence-Moon-Biedl症候群、特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(IHH)など 

続発性無月経:視床下部の機能障害(心因性など)、Chiari-Frommel症候群、Argonz-del Castillo症候群、神経性食思不振症、体重減少性無月経など

下垂体性

原発性無月経:一部のIHH(GnRH受容体遺伝子変異によるもの)など

続発性無月経:Sheehan症候群、下垂体腺腫など

卵巣性

原発性無月経:Turner症候群、卵巣発育不全、抗がん剤、放射線治療後など

続発性無月経:早発卵巣不全、手術による卵巣摘出、抗がん剤、放射線治療後など

子宮性

原発性無月経:頸管閉鎖症、子宮奇形など

続発性無月経:Asherman症候群、子宮内膜炎など

腟性

原発性無月経:処女膜閉鎖症、腟閉鎖症など

その他

原発性無月経:副腎性器症候群、精巣女性化症候群など

続発性無月経:多嚢胞性卵巣症候群など

原発性無月経の原因としては卵巣性が多く、続発性無月経の原因としては視床下部性が大半を占めているとされます。

症状

無月経は、不妊や、エストロゲン不足による骨粗鬆症、プロゲステロン分泌を伴わないエストロゲンの持続作用による子宮体がんのリスク上昇、男性ホルモン過剰による多毛やニキビなどの原因となることがあります。

検査・診断

原発性無月経は、遺伝的な要因を有することがあるため、十分な家族歴聴取と身体的な特徴を確認することが大切です。ほかにも、二次性徴(身長・体重・乳房や恥毛発達など)の有無や、内外性器の形態に異常がないかの診察を行います。染色体異常や遺伝性疾患を疑う場合は、遺伝カウンセリングの後、染色体検査などのを行うこともあります。ホルモンの機能を見るために血液検査(血中LHFSH)を行い、卵巣性か視床下部下垂体性であるのか鑑別します。

続発性無月経の検査では、まず妊娠を除外することが大切です。妊娠反応が陰性であることを確認したうえで、さまざまな検査を行っていきます。超音波検査で子宮内膜の厚みや卵胞発育などを観察し、血中ホルモン検査を行ってホルモン分泌の障害が起こっている部位を絞り込み、確定診断にいたります。

治療

無月経の原因をまず特定し、可能であればその除去や改善をするのが第一です。たとえば、処女膜閉鎖症や腟閉鎖症が原因であれば、手術によって月経が来るようになります。それらが不可能である、あるいは効果を示さなかったなどの場合、治療法は赤ちゃんを望むかどうかで(挙児希望の有無)変わってきます。

患者さんに挙児希望がある場合は、いわゆる専門的不妊治療=排卵を目的とした治療を行います。妊娠が目的となる治療ですが、排卵を起こすことで結果的に月経が起きるはずです。また、挙児希望がない場合は必ずしも排卵が目的でなくなるので、月経を起こす治療で十分です。上述したように月経は子宮がホルモンに反応して起きる消退出血なので、まずはHolmstrom療法(ゲスターゲン(プロゲステロン)を周期的に内服し血中ホルモン濃度を上げ下げすることで月経を起こす)を行います。

Holmstrom療法を行なっても月経が来ない場合は、Kaufmann療法という、エストロゲンとゲスターゲンの二種類の女性ホルモンを周期的に内服する治療法を行います。男性ホルモン過剰による多毛やニキビが生じている場合は、経口避妊薬(低用量のエストロゲンとプロゲステロンの合剤)の内服 により治療を行なうこともあります。

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  • 東京歯科大学市川総合病院 産婦人科 准教授

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