ねっせいけいれん

熱性けいれん

最終更新日:
2021年01月27日
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2021/01/27
更新しました
2020/08/31
更新しました
2017/04/25
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概要

熱性けいれんとは、乳幼児期に発症するタイプのけいれんの1つです。通常、生後6か月から5歳くらいまでのお子さんに見られるけいれんであり、発熱に伴って起こるものです。

日本では10人に1人ほどの方が経験するといわれているありふれたもので、成長発達に問題がないお子さんでもしばしば見られるものです。1回の経験のみの場合もあれば、発熱のたびに起こることもあります。

通常、年齢を重ねるにつれて、熱性けいれんを起こすことは少なくなっていきますが、5歳を過ぎても発熱時にけいれんが見られることもあります。一方、発熱がなくてもけいれんが起こるようなことがある場合は、てんかんなど別の原因があると想定されます。 

原因

熱性けいれんは、発熱を誘発因子として発症するけいれんです。熱性けいれんを起こす年齢層の子どもは、ウイルスや細菌などによる感染症に罹患することが多いため、しばしば発熱する機会があります。

熱性けいれんの原因は、現在まで完全には明らかになっていません。しかし、発熱に関連して神経ネットワークの制御が取れなくなることにより、けいれんが起こると推定されています。また、親や兄弟に熱性けいれんの経験があると熱性けいれんを発症する可能性が高まるといわれており、遺伝的な因子が関与しているとも推定されています。

症状

38℃以上の高熱時で、通常は熱が出始めてから24時間以内にけいれんが生じることが多く、手足のけいれん・意識消失・顔色不良などが見られます。この間、周囲に対して反応はなく、2〜3分ほどの経過で自然にけいれんは治まります。けいれんが治まった後は、多くの患者さんがしばらく寝てしまいます。

典型的な(よくある一般的な)熱性けいれんの特徴は以下のとおりです。ただし、これらのような特徴をもたないタイプの熱性けいれんもあるため、どのようなタイプのけいれんであるかをしっかりと観察することが重要です。

  • 38℃以上の高熱時で、熱が出始めてから24時間以内に起こるけいれん
  • 左右対称性
  • 数分間で自然に治まる

典型的な熱性けいれんの場合、基本的には脳に対してダメージが残ることはありません。そのため、けいれんを起こしたからといって神経学的な後遺症を残すことはないと考えられます。しかし、熱性けいれん以外にも“発熱”と“けいれん”を主要症状とする病気は数多くあるため注意が必要です。

検査・診断

熱性けいれんを診断するためには、発熱してからけいれんが出現したタイミングや、けいれんの形を正確に評価することが重要です。また、周産期の情報、成長発達歴、家族歴なども同時に評価します。最終的に典型的な熱性けいれんと判断される場合には、必ずしも検査をするとは限りません。

しかし、経過から熱性けいれん以外の病気が疑われる場合には、追加の検査が検討されます。たとえば、髄膜炎や脳炎・急性脳症、代謝異常症などが考えられる場合には、血液検査(炎症反応、電解質や血糖値など)、髄液検査、頭部CTやMRIなどの画像検査を行います。また、けいれんが起こり始めた当初は38℃以上の高熱を伴っていても、経過を追うごとに熱がなくてもけいれんを起こすようになった場合、てんかんの検査が必要です。

治療

けいれんが起こったときの対処法

子どもが目の前でけいれんしている状況では、落ち着いて対応することは難しいものですが、けがをしないよう周辺の環境に注意し、ベッドや床などに寝かせてあげましょう。また、けいれん中に嘔吐をすると窒息する恐れがあるため、吐物を吸い込まないように、体を横に向けた姿勢にさせるなどの対応が必要です。その際は、顔のみでなく、体全体を横向きにしましょう。なお、けいれん中に体を押さえつけたり、口の中に手や物を入れたりすることは、かえって悪影響であるため控えましょう。

発熱時に出現したけいれんが、熱性けいれんかどうかを判断するためには、どのような形のけいれんであったのか、落ち着いて様子を観察することが重要です。携帯電話の録画機能などを利用してけいれん時の様子を収録すれば、病院で経過を説明する際に役立ちますが、どのような形であったかをきちんと説明できるのであれば、必ずしも撮影する必要はありません。

熱性けいれんで見られるけいれんは、多くの場合数分以内に治まります。けいれんが治まった場合も念のため医師の診察を受けて、熱性けいれん以外のけいれんを起こす病気がないかどうかを判断してもらってください。

5~10分以上けいれんが持続する場合には、けいれんを止めるための薬剤を使用しないと止まらないこともあるため、救急車を呼ぶことも検討します。けいれんが止まった後には追加の治療は通常は必要ありません。しかし、別の病気が原因でけいれんを起こすこともあるため、注意深く経過を見ることは必要です。

発熱のたびに熱性けいれんを繰り返す場合でも、典型的な短い熱性けいれんの場合は、現在はけいれんを予防する薬を使わないことが多くなっています。ただし、典型的な熱性けいれんでない場合(たとえば、けいれんが長い、左右対称でない、24時間以内に2回以上けいれんする、発達の遅れがある、家族歴がある、1歳未満、発熱から1時間以内、38℃未満の場合)には、発熱時のけいれん予防薬の使用が検討されます。 

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