とくはつせいてんかん

特発性てんかん

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

特発性てんかんは、脳に明らかな異常がないのに生じるてんかんのことです。てんかんは、脳の慢性的な病気のひとつです。
脳にある神経細胞は、通常であれば常に興奮と抑制のバランスがうまくとれています。しかし、過剰な電気的興奮を生じると、激しい全身のけいれんから、本人すらも気づかないような微小なけいれんまで、さまざまな発作を生じてしまいます。このような発作は、幼少時や老年期に生じやすいとされています。てんかんとは、このような発作が慢性的に反復する病気のことです。
てんかんは、原因と発作部位によって大きく4つに分けられます。

(1)特発性てんかん:脳には明らかな異常がない原因不明のてんかん

(2)症候性てんかん:脳の異常によって引き起こされるてんかん

(3)部分てんかん:脳の特定の部位に電気的興奮が限局しているてんかん

(4)全般てんかん:両方の大脳半球全体に電気的興奮が生じるてんかんで、特発性てんかんの多くは全般てんかんです。

特発性てんかんは症候性てんかんに比べて予後がよく、小児期に発症して成人期には完解(完治ではないものの、病気や症状がおさまること)することが多いです。

原因

てんかん発作は、脳の神経細胞の興奮と抑制の正常なバランスが崩れることで引き起こされます。神経細胞の興奮の調節には、多くのメカニズムが関連しています。特発性てんかんは、神経細胞が健常な人よりも過敏なために、健常な人の神経細胞では反応しないような微小な電気変化にも過剰に興奮してしまうことで起こると考えられています。

症状

特発性てんかんの症状は、全般てんかんか部分てんかんかによって異なります。

特発性全般てんかん

小児から若年者に好発するてんかんで、発作時に意識を失うことが多いです。発作の程度は様々ですが、手足のけいれんは生じにくいです。また特に小児では、何の前触れもなく突然会話が途切れて30秒ほど意識を失う欠神発作(けっしんほっさ)が多いです。

特発性部分てんかん

特発性部分てんかんは、発作時に意識がある場合もあり、しびれや幻視などの視覚異常、めまい、発汗、紅潮などの自律神経失調症状が現れます。側頭葉に限局したてんかんでは、聴覚や嗅覚の変調、精神症状が生じ、これらがてんかん発作の前兆として現れることがあります。

意識がない場合は、発作中に口をもごもごさせたり、舌なめずりを繰り返したりする常同運動と呼ばれる症状が現れやすいです。

検査・診断

特発性てんかんの診断では、家族歴を含めた問診と種々の検査が用いられます。

電気生理学的検査

脳波検査

てんかんには必須の検査です。頭皮にいくつかの電極をつけ、脳の電気的活動を調べる検査です。発作が起きているときに検査を行うことが理想的ですが、そのようなタイミングで検査を受けられることは稀です。そのため、検査のときに発作を誘発するような刺激を与えることがあります。この場合、映像の録画を行い、発作の特徴を観察することが多いです。脳波検査では、てんかんの有無だけでなく、てんかんの種類を確定することができる場合もあります。

脳磁図検査

頭皮から脳の電気活動によって生じる微小な磁場を計測する検査です。脳磁図では、てんかんの発生源が計算によって推測されます。この検査とMRI検査による画像とを組み合わせ、潜在的な発作焦点の探索を行うことがあります

画像検査

脳に異常がないかを調べる検査です。特発性てんかんの場合は、CTやMRIなどの画像検査では異常がみられません。医療機関によっては、脳血管の走行や閉塞、奇形をしらべるための脳血管撮影検査や、脳の代謝・血流を調べるためのPETやSPECTといった特殊な画像検査を行うことがあります。

血液検査、髄液検査

全身状態を把握するために血液検査や髄液検査を行うことが多いです。てんかんの原因となる病気がないかを調べるのに役立つ検査です。

治療

第一に行われる治療は薬物療法です。抗てんかん薬の種類や量は、てんかんのタイプや症状、患者さんのライフスタイルなどに応じて決められます。特発性てんかんは、抗てんかん薬の効果が高いとされ、内服を続けることで日常生活には支障をきたさないことも多いといわれています。ただし、発作が起きていないからといって自己判断で抗てんかん薬を中止するのはやめましょう。

補助的な治療として、睡眠不足や光刺激など、発作を引き起こす原因を回避するよう、生活習慣の指導が行われることがあります。小児の場合には、脂肪が多く糖質が少ないケトン食療法などが行われることもあります。他のてんかんでは手術が選択されることもありますが、脳自体に異常のない特発性てんかんの場合、手術が選択されることは基本的にありません。

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