とくはつせいしょくどうはれつ

特発性食道破裂

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

特発性食道破裂とは、食道内の圧が急激に上昇することで食道の壁が裂ける病気です。Boerhaave症候群(ブールハーフェ症候群)とも呼ばれます。

もともと食道に器質的な異常(解剖学的・病理的な異常)がないにもかかわらず起こるものであり、食道や胃の内容物が縦隔や胸腔といった周りの組織に漏れ出ることで、炎症を起こしたりを形成したりします。縦隔に炎症を起こしたものを縦隔炎、胸腔に膿が溜まったものを膿胸といいます。

しばしば重篤な状態となり命にかかわるケースもあることから、特発性食道破裂ではできるだけ早期に診断を行い、治療を開始することが重視されています。

原因

特発性食道破裂は嘔吐やいきみなど、急激に腹圧が上昇した後に発生することが多く、食道内の圧が高まることで破裂を起こします。飲酒後の嘔吐が引き金となることも多いとされています。

破裂が起こりやすい場所は食道下部の左側とされています。この部位はもともと食道の壁の筋層がもろく弱い状態となっていることや、血管や神経の出入り口になっている場所であるため、周りの支持組織(体を支えるためにある組織)が欠如していることなどが理由とされます。

症状

激しい嘔吐と腹痛、また背中へ放散する(広がっていくような)痛みが主な症状です。ときに呼吸困難を起こしたり、ショック状態を起こしたりすることもあります。

検査・診断

特発性食道破裂は、早期の診断が求められる病気です。

まず問診で、嘔吐など腹圧が上昇するような要因がなかったか、症状が現れたときの詳しい状況などを聞きます。

診察では、食道が裂け空気が漏れて皮膚の下に溜まって、頸部(けいぶ)(頭部と胸部の中間にあたる部分)にザクザクとした感じを触れる皮下気腫(ひかきしゅ)という所見がみられるか調べます。

検査では、胸部・腹部の単純X線撮影(レントゲン検査)、または胸部のCTスキャン検査(エックス線を使って身体の断面を撮影する検査)を行います。特にCT検査は、破裂した部位を特定したり縦隔炎膿胸の程度なども評価したりすることが可能であり、診断や治療方針の決定にあたって非常に重要な検査です。

必要に応じて、造影剤を内服しておこなう食道造影を行います。食道の破裂した部分から外側に向かって造影剤が漏れる様子が観察されるため、診断を確定することが可能です。

治療

早期の特発性食道破裂であれば、一般的には手術治療が第一選択とされています。手術治療では開胸手術により、破裂した部分を縫い合わせて閉鎖しさらに周囲の組織を用いて補強を行うなどの処置が行われます。また開胸手術ではなく、内視鏡(胃カメラ)で食道ステントを挿入し、さらに縦隔および胸腔ドレナージを行って治療する方法も報告されています。

破裂した部位が狭い範囲に限られている、全身性の炎症がなく重篤な感染症がないなどの複数の条件を満たす場合のみ、保存的治療(外科的な処置を行わない治療)が選択されることもあります。保存的治療では絶食(食事を中止)して鼻から胃に管を挿入し、胃の内容物を持続的に吸引する処置を行います。必要に応じて胸腔や縦隔内に管を入れて、食道や胃から漏れ出た内容物を吸い出したり、洗浄液を注入して洗ったりする処置(縦隔や胸腔のドレナージ)も行います。

いずれの治療方法を選択した場合でも、栄養状態を良好に保つための栄養管理は非常に重要となります。中心静脈栄養という点滴をおこなったり、胃瘻(いろう)腸瘻(ちょうろう)(胃や小腸に直接栄養剤を注入するための方法)を造設して経管栄養をおこなったりして、栄養状態の維持・改善に努めます。

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