きょうぎゅうびょう

狂牛病

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概要

牛海綿状脳症 (Bovine Spongiform Encephalopathy: BSE) 、いわゆる「狂牛病」はプリオン病の一種で、1986年にイギリスで発見された牛の病気です。

プリオン病はヒトにも動物にも感染する人獣共通感染症であり、感染性を有する異常型プリオンが脳に沈着する結果、脳神経細胞の機能が進行性に障害される致死性の疾患です。イギリスを中心として大量発生したBSEは、BSEに感染した牛から作られた肉骨粉を原料とするえさが他の牛に与えられたことにより感染が拡大したと考えられています。

BSEに感染してからの潜伏期間は2~8年で、平均5~5.5年といわれています。当初、ヒトへの感染性は否定されていたBSEですが、BSEとの関連性が指摘される変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 (vCJD) の患者さんが1996年イギリスで報告されました。

その後、イギリス以外にもヨーロッパ各国、アメリカ、カナダで少人数ながら発病が認められています。日本においては1例報告されていますが、ほとんどの症例でイギリスの滞在歴があることがわかっています。現在では患者数が約200名にのぼっています。 

原因

牛海綿状脳症 (BSE)と変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発生時期ならびに発生地域に相関が認められることから、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発症にはBSEが関係していると考えられています。主な感染経路としては、BSEに感染した牛に由来する食品を食べたことにより牛からヒトへと感染したと考えられています。

イギリスをはじめとし、BSEに汚染された牛肉が輸出されたヨーロッパ各国でも発症が認められています。その他、アメリカやカナダ、台湾などでも発症が報告されていますが、ほとんどがイギリス滞在歴のある方で発症していることがわかっています。

この他の感染経路として、ごく少数例ではありますが、輸血による感染が疑われる例がイギリスにおいて報告されています。

日本においては、2005年に国内発症例が認められたことに伴い、1980年から1996年の間にイギリスに滞在歴がある方からの献血を控える措置が取られていました。現在では、同期間中に通算1ヶ月以上滞在歴のある方からの献血を制限しています。 

症状

症状 牛海綿状脳症 (BSE) との関連が指摘されている変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 の正確な潜伏期間はわかっていませんが、これまでの症例から8~10年程度と考えられています。

初期症状としては、抑うつ、不安、自閉、異常行動などの精神症状が中心となります。進行すると、上・下肢の感覚障害やミオクローヌスという不規則なふるえ、記憶障害などが出現します。

変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は弧発性クロイツフェルト・ヤコブ病に比べて若年で発症することが知られており、3~4ヶ月程度で無動性無言の状態に至る弧発性と比較して症状の進行は緩徐で、1年程度を要するといわれています。 

検査・診断

牛海綿状脳症 (BSE) との関連が指摘されている変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 の診断時に実施される検査には、脳波検査、脳MRI検査、脳脊髄液検査などがあります。変異型クロイツフェルト・ヤコブ病では、従来の弧発性クロイツフェルト・ヤコブ病とはいくつか異なる特徴を示すことが報告されています。

脳波検査においては、弧発性クロイツフェルト・ヤコブ病に特徴的な周期性同期性放電 (PSD) という脳波異常は認められません。髄液検査においては、約半数で14-3-3蛋白が陽性となります。脳MRI検査では、両側対称性に視床枕に高信号領域が認められます。

しかし現在のところ、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の確定診断にあたっては、患者さんが亡くなった後に行われる病理解剖にて得られた検体を用いての解析が必要となります。具体的にはウエスタンブロット法、ELISA法、免疫染色などによる異常型プリオン蛋白の同定、ならびに組織学的な評価が行われます。 

治療

牛海綿状脳症 (BSE) との関連が指摘されている変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 に関して、現在のところ有効な治療法はありません。

精神症状を示す初期の段階で診断する方法を見つけることや異常プリオン蛋を減少させるワクチンのようなものを開発するなどの研究が進められています。そのため、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の治療としては対症療法に限られ、ふるえなどの症状を軽減する治療や支持的な治療が行われます。

専門医による治療はもちろんですが、心理カウンセラーや医療ソーシャルワーカーなど、様々な専門家との連携をはかり、患者さんとそのご家族に対する社会的支援を行うことも大切となります。 

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