ねんえきのうしゅ

粘液嚢腫

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

指趾粘液嚢腫

指趾粘液嚢腫(ししねんえきのうしゅ)は、手指(時に足趾)に粘液で満ちた膨らみが生じる良性の病気です。典型例では、指の甲側に水ぶくれのような半透明の膨らみが生じます。

指趾粘液嚢腫は、中年以降の女性に多くみられる傾向があります。

ガングリオン

手首などの関節周辺や腱鞘付近に生じるガングリオンは、指趾粘液嚢腫と同じメカニズムで生じる病気です。ガングリオンの内部はゼリー状の粘液で満たされており、発症部位によっては神経を圧迫することもあります。男性よりも女性に多くみられることで知られています。

粘液嚢胞(口粘液嚢腫)

口唇、口腔内にゼリー状の粘液が詰まった膨らみが生じる病気を、粘液嚢腫(ねんえきのうほう)といいます。主に下口唇や頬粘膜に、痛みを伴わない半透明の膨らみが生じます。破れることも多く、その後再発しやすいという特徴があります。

原因

指趾粘液嚢腫

発症のメカニズムは解明されていませんが、外傷や刺激が誘因となっていると考えられています。

関節の内部は、ヒアルロン酸を豊富に含んだ滑液(かつえき)で満たされています。指にできる粘液嚢腫は、(1)ヒアルロン酸の過剰産生、(2)滑液の漏れにより生じると考えられています。

(1)ヒアルロン酸の過剰産生

線維芽細胞(せんいがさいぼう)からヒアルロン酸が過剰に作られるタイプを、myxomatous typeと呼びます。

(2)滑液の漏れ

刺激により滑液が周囲の組織に漏れ出し、貯留して膨らみを形成するタイプをganglion typeと呼びます。

ガングリオン

関節を包む袋や腱鞘(けんしょう)が関節外に突出し、形成された「ガングリオンの袋」のなかで滑液が濃縮され、ゼリー状になります。

ガングリオンは、内部で関節とつながっており内層細胞で被われている点が、指趾粘液嚢腫と異なります。

なお、ガングリオンは必ずしも手や手首を酷使することにより形成されるわけではありません。ただし、既にガングリオンが生じている場合、手の酷使によりサイズが大きくなることもあるといわれています。

粘液嚢胞

くちびる、口のなかにできる粘液嚢胞は、唾液の流出障害により生じるとされています。具体的には、口唇、口腔内に広く分布する唾液腺が閉塞したり損傷したりすることにより、唾液成分が粘膜下に貯留すると考えられています。

粘液嚢胞が生じる主なきっかけは、くちびるや頬の粘膜を噛むことです。また、異物が刺さってしまうことも誘因となります。このほか、歯列や歯の形などが影響し、粘膜に慢性的な刺激が加わることも誘因になると考えられています。

症状

指趾粘液嚢腫

手指や足指の甲側に、水ぶくれのような形状の膨らみが生じます。膨らみの内部はゼリー状の粘液で満たされています。

指趾粘液嚢腫の多くは無症状ですが、大きくなると痛みを伴うことがあります。また、爪の付け根近くに形成された場合は、爪に縦方向の溝が入ったり、変形したりすることもあります。

ガングリオン

主に手首の関節付近や親指付け根の腱鞘(けんしょう)付近に腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)が生じます。腫瘤の大きさは、米粒大からピンポン玉大まで様々です。また、かたさも軟らかいものもから硬いものまで存在します。

多くのガングリオンは無症状ですが、形成された部位によっては手首に走る神経を圧迫し、痛みやしびれ、運動麻痺を引き起こすことがあります。

粘液嚢胞

主に下くちびるや頬の粘膜に、ドーム状の透き通った膨らみが生じます。下顎の内側(口底部)や、舌の先、舌の下面に形成されることもあります。大きさは、5mm以下のものから2cm以上のものまで多様です。ゼリー状の粘液で満たされた膨らみは破れやすく、しばしば潰れて再発を繰り返します。

一般に、口底部に生じた大きな粘液嚢胞のことを「ガマ腫」と呼びます。

検査・診断

指趾粘液嚢腫・粘液嚢胞は、ゼリー状の粘液を注射器で吸引することにより、比較的容易に診断することができます。また、実際の医療現場では、診察時に病変の見た目から診断をつけることもよくあります。ただし、確定診断のためには、粘液を調べて、ヒアルロン酸を確認するための顕微鏡検査が必要です。

このほか、小さな病変の確認や、より詳しい評価のために、超音波検査やMRI検査などを実施するケースもあります。

治療

粘液嚢腫・粘液嚢胞は、健康に悪影響の及ぼすことが少ない良性疾患であり、治療を行わなければいけない病気というわけではありません。

ただし、膨らみが自然に消えることは少ないため、症状がある場合や患者さんが希望する場合には、以下に挙げる治療のいずれかを行います。

保存的治療

穿刺吸引術(せんしきゅういんじゅつ)

注射器でゼリー状の内容物を排出する保存的な治療方法です。麻酔をかける必要はなく、痛みも少ないという特徴があります。

根本的な治療方法ではないため、繰り返し行う必要がありますが、複数回実施することで寛解(かんかい)を得られる例もあります。

穿刺吸引術を行ったあと、少量のステロイド薬を注入することもあります。

・凍結療法

液体窒素を用いて、病変組織を凍結して破壊する治療方法です。治療時に痛みを伴いますが、副作用は少なく安全性の高い方法とされます。

口のなかの粘液嚢胞に行う場合、原因となっている唾液腺も同時に凍結します。

手術

・切除(摘出)手術

局所麻酔をかけ、根治を目的として病変を十分に切除します。ガングリオンに対する治療の場合は、再発を防ぐために、娘シストと呼ばれる小さな嚢胞にも注意を払うことが大切です。また、口のなかの粘液嚢胞に対して行う場合は、原因となっている唾液腺も摘出する必要があります。

その他

このほか、口のなかの粘液嚢胞に対してはレーザー治療を行うこともあります。

また、歯の形状などが原因で粘液嚢胞が生じているときには、原因に対する治療も行われます。

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