けっかくせいせきついえん

結核性脊椎炎

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

結核性脊椎炎とは、背骨に結核菌が感染することで起こる脊椎炎症性疾患のひとつで、脊椎カリエスとも呼ばれます。よく似た病気に化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)がありますが、こちらは結核菌ではなく黄色ブドウ球菌などの細菌が原因となります。

肺に入った結核菌は、リンパ液や血液の流れにのって全身を巡り、骨や関節で二次的に病気を起こすことがあります。このような病気の総称を肺結核と区別して骨・関節結核といいます。結核性脊椎炎はまれな病気ではあるものの、骨・関節結核のなかでは最も多くみられる病気です。

過去の日本では結核性脊椎炎の発症頻度に男女差はほとんどみられなかったものの、現在(2017年現在)では高齢の女性に多くみられる病気となっています。この理由は明らかになっていませんが、女性の高齢化といった社会的因子の影響が考えられています。

結核性脊椎炎の症状のうち、最も多くみられるものは背中や腰の痛みといわれています。病気が進行すると骨の破壊や変形が生じ、重症例では麻痺(まひ)などの後遺症が残ることもあるため、発症後早期の正しい診断が重要です。

原因

結核性脊椎炎の原因菌は結核菌です。気道から侵入した結核菌は、肺に病巣を形成したあと、リンパ液や血液にのって全身へと流れ、さまざまな臓器、骨、関節で二次病巣を形成することがあります。結核性脊椎炎は、結核菌が主に血液の流れにのって背骨に到達し、再活性化することで発症すると考えられています。

また詳しいメカニズムは明らかになっていませんが、結核性脊椎炎は結核の既往歴がない患者さんや、肺結核の所見がみられない患者さんにも起こることがあります。

症状

結核性脊椎炎の症状のうち、最も多くみられるものは腰背部痛です。ただし、結核性脊椎炎に特徴的な症状というものはなく、結核菌の感染を疑いやすい発熱や体重減少などの全身症状もすべての患者さんにみられるわけではありません。

結核性脊椎炎の発生部位は、背骨のなかでも腰椎・胸椎に多いことがわかっています。病気が進行し炎症が悪化すると、発生部位における骨破壊や(のうよう)(膿が溜まった空洞)の形成などが起こります。

また背骨の高度な変形や膿瘍の拡大により、背骨のなかを通る脊髄(せきずい)(神経の束)が圧迫されると、しびれや麻痺などの神経症状が生じることがあります。このような重症例では、脊柱後湾(背骨が丸く曲がること)や歩行障害などの後遺症が残ることがあります。

検査・診断

患者さんに現れている症状やX線(レントゲン)検査、CT検査などで得られる画像所見が、診断のための重要な情報となります。結核性脊椎炎がある程度進行している場合、画像検査により椎体の破壊や萎縮、椎間板の変性などをみることができます。初期の結核性脊椎炎の診断のためにはMRI検査が有用であり、状況に応じて各画像検査を使いわけます。

診断を確定させるためには、病変組織を採取して行う病理学的検査や細菌学的検査を行い、結核菌の存在を確認する必要があります。また結核性脊椎炎の診断の際には、検査所見がよく似た化膿性脊椎炎や腫瘍との鑑別も重要です。鑑別診断のためには、椎体の破壊の程度や椎体周囲の瘍の有無などを慎重に確認する必要があります。

進行すると激しい骨の破壊や変形が起こる結核性脊椎炎は、早期の診断が重要な病気です。しかし、発症早期には画像検査により上述した異常を捉えることが難しく、結核性脊椎炎のみに現れる症状も少ないことから、診断に時間がかかってしまうことが少なくないという問題点があります。

治療

基本的には入院し、抗結核薬を用いた薬物療法により治癒を目指します。薬物療法を一定期間行っても期待する効果がみられない場合や、著しく骨破壊が進んでおり、背骨が不安定な状態になっている場合、神経症状が生じている場合などには、手術を行うこともあります。手術方法には病巣の掻爬(そうは)(掻き出すこと)や骨移植、脊椎の固定術(前方固定、後方固定)などがあり、状況に応じて最適な方法が選択されます。

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