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結節性硬化症
結節性硬化症(けっせつせいこうかしょう)とは、遺伝子に異常があることで、脳・腎臓・肺・皮膚・心臓などに良性の腫瘍や過誤腫(かごしゅ)と呼ばれる病変ができる病気です。 結節性硬化症では、生じた腫瘍...
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結節性硬化症けっせつせいこうかしょう

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

結節性硬化症(けっせつせいこうかしょう)とは、遺伝子に異常があることで、脳・腎臓・肺・皮膚・心臓などに良性の腫瘍や過誤腫(かごしゅ)と呼ばれる病変ができる病気です。 結節性硬化症では、生じた腫瘍がそれぞれの臓器に症状を引き起こします。また、臓器の症状だけでなく、てんかん(けいれんなどの症状が現れる脳の病気)や自閉症を引き起こすこともあります。

原因

結節性硬化症の原因は、TSC1、TSC2という2つの遺伝子のどちらかが壊れることです。これら2つの遺伝子には、細胞が適切な大きさで成長できるよう調整する働きがあると考えられています。

具体的には、体の中のmTOR(エムトール)という物質の働きをほどよく抑える役割を果たしています。mTORは体の細胞を増殖するために必要な物質です。しかし、TSC1、TSC2遺伝子に異常が生じるとmTORが暴走してしまい、体のさまざまな細胞が過剰に増殖します。これが良性腫瘍や過誤腫の原因と考えられています。

両親のどちらかが結節性硬化症である場合、約50%の確率でお子さんが結節性硬化症を発症します(常染色体優性遺伝)。実際に、結節性硬化症のうち、約40%の患者さんに家族歴(患者の家族や近親者の病歴や健康状態、死因などの記録)があります。

一方、約60%の患者さんには、このような明らかな家族歴を認めません。こうした患者さんの多くは、本人の代でTSC1もしくはTSC2遺伝子に突然変異が生じ、結節性硬化症を発症していると考えられています。

症状

結節性硬化症を発症すると、全身各種臓器における腫瘍に伴う症状が現れます。結節性硬化症の症状や程度はさまざまです。

皮膚

皮膚であれば顔面血管線維腫と呼ばれる、赤いぽつぽつから始まり、徐々に盛り上がってくる発疹が特徴です。この症状は多くの患者さんに認められます。

脳にも腫瘍や過誤腫ができることがあり、上衣下結節、上衣下巨細胞性星細胞腫、皮質結節と呼ばれるものが挙げられます。上衣下巨細胞性星細胞腫は水頭症という脳の中の水が外に流れ出なくなる病気を起こすことがあります。これに伴い、てんかんや発達遅滞、自閉症を併発することがあり、コミュニケーションや社会性の獲得に影響が及ぶこともあります。

腎臓

腎臓には、腎血管筋脂肪腫という腫瘍ができることがあります。思春期頃より増大傾向になることが多く、血管が破裂して出血を起こす場合があります。まれに大きな嚢胞がたくさんできるケースもあります。

その他

肺や心臓にもそれぞれ腫瘍が生じことがあります。その他、目、歯などにも症状が現れることがあります。現れる症状の組み合わせは患者さんによってバラバラで、ほぼ全部が出現する方もいれば、わずかにしか症状が現れない方もいます。

症状が現れやすい時期

結節性硬化症には、それぞれの症状に現れやすい時期があるといわれています。
・新生児期から幼児期
新生児期から幼児期にかけては、心臓の横紋筋種とてんかん、発達の遅れや自閉症状、上衣下巨細胞性星細胞腫などを認めます。難知性のけいれんを認めたり、社会生活に影響が生じたりすることもあります。
・学童期から成人期
学童期から成人期にかけては腎血管筋脂肪腫や肺にリンパ管筋肉種が現れやすくなります。それぞれ出血のおそれ、呼吸不全になるおそれがあります。 心臓の横紋筋腫は、新生児期以後は徐々に小さくなり、上衣下巨細胞性星細胞腫は30歳を過ぎて大きくなることは少ないです。一方、腎臓や肺に生じる腫瘍は年齢を重ねても、新たに現れることがあります。

検査・診断

結節性硬化症は、基本的に遺伝子よりも症状の組み合わせで診断します。症状がそろって確定診断となった方でも、6〜8割程度にしかTSC1、TSC2の異常は見つかりません。つまり、遺伝子検査は重要ですがあくまで補助的な診断であるといえます。

また、結節性硬化症では各種臓器に合併症が生じるため、それぞれに特化した検査が必要になります。たとえば心臓の横紋筋種であれば心臓のエコー検査が行われ、てんかんに対しては脳波、上衣下巨細胞性星細胞腫は頭部CTやMRIなどの検査が行われます。

腎臓や肺に生じる腫瘍については、成長とともに現れる傾向があるので、定期的なレントゲンやエコー検査、CT、MRIなどで確認することが重要です。

治療

結節性硬化症は、合併症に応じた治療法が基本となります。代表的な合併症に対して下記のような治療がなされます。

  • 上衣下巨細胞性星細胞腫:薬の内服、腫瘍手術
  • てんかん:薬の使用、手術
  • 発達遅滞、自閉症:リハビリテーション
  • 横紋筋種:心不全症状や不整脈があれば内科的、外科的に治療する
  • 肺リンパ管筋肉種症:薬の内服
  • 腎血管筋脂肪腫:薬の内服、大きな血管腫には塞栓術を行う

これらの治療のなかでも特徴的なのは、薬による治療です。結節性硬化症は、mTORが異常に暴走することで腫瘍が生じます。この暴走を抑える働きをもつ薬を使用することによって、より根本的な部分から結節性硬化症の症状を抑えることが可能です。

結節性硬化症の症状の出方は個人差がとても大きいため、個々の患者さんごとに状態を評価し、適切な治療介入を行うことがとても大切です。

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