ようすいかたしょう

羊水過多症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

羊水は、妊娠早期から存在し、妊娠後半期になると胎児の尿がその主成分になります。また、胎児が羊水中に排尿し、それを嚥下(飲み込む)することで量が調節されています。そのため、羊水の量は胎児や母体の状態を反映する重要な指標になると考えられています。

羊水量は妊娠の進行とともに増加して妊娠32週前後でピークになり、その後は徐々に減少していきます。生理的な羊水量の範囲を大きく超える場合を羊水過多、これにより子宮が大きくなって圧迫感や子宮収縮、子宮頸管長の短縮などの症状が出現している状態を羊水過多症と呼んでいます。

羊水過多は、全妊娠の約1~2%に合併するといわれています。

原因

羊水過多の原因には、大きく分けて胎児側に異常がある場合(胎児因子)と、母体側に異常がある場合(母体因子)の2種類があります。

胎児因子による羊水過多

羊水は、胎児により尿として産生され、嚥下されているという生理的な背景から、1) 産生量が多くなる場合、2) 嚥下がうまくできていない場合の二つに分けられます。

1) 産生量が多くなる場合

胎児の心拍出量や腎血流量が増加するときに多くなると考えられています。たとえば、血液型不適合妊娠や母体パルボウィルス感染で胎児貧血が起こっているとき、組織の酸素化を維持するために心拍出量が増加し、その結果羊水も増加します。

2) 嚥下がうまくできていない場合

飲み込む力そのものが弱くなる場合と、嚥下しても上部消化管が閉鎖しているために吸収されない場合とがあります。上部消化管が閉鎖する疾患としては食道閉鎖や十二指腸閉鎖、飲み込む力が弱くなる疾患には染色体異常、神経疾患、筋疾患などが当てはまります。

母体因子による羊水過多

母体因子として最も重要なものは、糖尿病合併妊娠や妊娠糖尿病です。コントロール不良の糖尿病があると、母体だけでなく胎児も高血糖となります。その結果胎児の尿産生量が増加し、羊水過多になると考えられています。

症状

羊水が多いだけで何の症状もない方もいますが、お腹が張る、苦しくて食事が摂れない、吐いてしまう、横になれない、尿が近い、尿が漏れるなどの症状が出ることがあります。また、自覚症状が乏しくても、内診すると子宮口が開きかかっていたり、子宮頸管長が短縮していたりします。先述のとおり、いわゆる羊水過多症です。

検査・診断

妊娠中に羊水量を直接調べることはできません。そのため、超音波検査により羊水量を推測し、診断します。超音波検査では、羊水ポケットや羊水指数(AFI)を調べることが一般的に行われています。

羊水ポケット

超音波プローブを子宮に垂直に置いて、子宮内側と胎児との間に接するように描いた円の直径を羊水ポケットと呼んでいます。2cm以上8cm未満が正常範囲で、2cm未満を羊水過少、8cm以上を羊水過多と診断します。

羊水指数(AFI)

子宮を正中線と(へそ)の高さで上下左右に4分割し、それぞれの領域の最大羊水深度の合計を〇〇cmで表した指標です。5以上25未満が正常範囲です。

羊水過多と診断された場合、その原因検索を行います。原因となりうる疾患を念頭に置いて、胎児スクリーニングや母体の糖代謝異常の検査を行います。

治療

羊水過多があることにより、自覚症状・他覚症状が出現している場合、治療を行います。症状が軽度であれば、まずは切迫早産の治療に準じた保存的な治療を試みます。入院による安静、子宮収縮抑制薬の投与などがこれにあたります。

子宮がとても大きくなって圧迫感や呼吸困難感が出現するような場合には、羊水除去を行う場合もあります。太めの針で子宮を刺し、30分程度の時間をかけて1~1.5リットル程度の羊水を除去します。まれに破水や子宮内感染、胎盤早期剥離(はくり)などの合併症が出現するため、注意が必要です。糖尿病によるものや特発性のものでは、羊水除去を必要とするような高度な羊水過多になることは滅多にありません。

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