ろうじんせいちつえん

老人性腟炎

別名
萎縮性外陰炎,萎縮性腟炎
最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

老人性腟炎とは、閉経によって女性ホルモンの分泌が低下することが原因となって腟や外陰部に炎症を生じる病気のことです。高齢者の発症が多いため「老人性」とされていますが、閉経後の女性であれば誰でも発症する可能性があり、「萎縮性外陰炎・萎縮性腟炎」と呼称される場合もあります。

老人性腟炎は適切な治療を行えば、症状の改善が見込めます。しかし、中には子宮がんなどが原因となって症状が生じている場合があるため、何らかの症状を自覚したときは早めに病院を受診して検査・治療を受けることが大切です。

原因

老人性腟炎は、閉経によってエストロゲンの分泌が大幅に減少することが原因です。

女性ホルモンの中でも、エストロゲンは卵子を成熟させて排卵を促す効果があります。このエストロゲンの分泌が加齢によって減少し、排卵が生じなくなることで月経が停止した状態となるのが閉経です。エストロゲンには卵子の成熟作用だけではなく、腟や外陰部の皮膚・粘膜を正常に保つはたらきもあります。そのため、エストロゲンの分泌が低下した状態が続くと腟や外陰部の皮膚・粘膜が薄くなり、脆弱化して組織が萎縮します。

さらに、エストロゲンには粘液を分泌して腟内を湿潤な環境に保つはたらきがあるため、閉経後には粘液が減少して腟内が乾燥しやすくなります。その結果、歩行などの動作によって脆弱化した腟や外陰部がこすれ合って出血したり、痛みが生じたりします。

また、腟分泌液の中には腟の自浄作用を持つラクトバチルスという乳酸菌の常在菌が多数存在していますが、閉経後には、エストロゲンの低下に伴って乳酸菌が減少し、自浄作用が低下することで細菌や真菌などの感染を併発し、症状がさらに悪化することがあります。

症状

閉経後に腟や外陰部に痛みやかゆみを生じるのが特徴です。患部が乾燥しやすいため、軽微な刺激によって、皮膚や粘膜にびらん・潰瘍を形成しやすい状態となり、出血を伴うことも少なくありません。このため、性交時には特に強い痛みを伴うようになります。

また、腟の自浄作用が低下することで細菌や真菌感染を生じやすくなり、おりものの量が増えたり、色が黄~緑に変色したりするなどの変化が見られます。感染した細菌の種類によっては悪臭を放つこともあります。カンジダなどの真菌に感染した場合には腟や外陰部の非常に強いかゆみや灼熱感、白っぽいおりものなどが見られます。

検査・診断

老人性腟炎は患者の年齢や患部の状態などから容易に診断が下されます。特別な検査を必要としないこともありますが、中には子宮がんなどが原因となって症状が生じている場合があるので、がんの有無を調べる細胞診検査や超音波によって子宮や卵巣の状態を調べる検査などが行われます。

また、細菌や真菌への感染が疑われる場合には、適切な治療を行うためにも腟分泌液の培養検査や検鏡検査を行って病原体の特定が行われます。

治療

もっとも一般的な治療は、エストロゲンの腟錠や内服薬による薬物療法です。治療を続けることで多くは1~2週間で症状の改善が見られます。一般的には腟錠が用いられますが、重症な場合や腟内に薬剤を投入するのが困難な場合には、内服薬が使用されます。

また、細菌や真菌に感染している場合には、抗菌薬を使用した治療が並行して行われます。腟や外陰部のびらん・潰瘍病変が重度な場合には、ステロイドの塗り薬が使用されることもあります。

エストロゲンによる薬物治療によって、症状が軽快したとしても、自然経過とともに再度症状が再燃することがあります。理由は生理的にはエストロゲンが分泌されていないためで、薬剤によって一時的に症状が改善しても、半年から1年後には同様の症状を繰り返すことになります。症状が再燃した場合には、婦人科を受診して検査を行ったうえで、再度エストロゲンの治療を受けることが必要になります。

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