ちゅうかんせつだっきゅう

肘関節脱臼

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

人間の腕は、肘から上の上腕骨(じょうわんこつ)という骨と、肘から手首の間にある尺骨(しゃっこつ)橈骨(とうこつ)という二本の骨により構成されています。肘関節とは、これら3つの骨により成る関節を指します。肘関節脱臼(ひじかんせつだっきゅう)とは、通常接している上腕骨の下端と尺骨の上端、あるいは上腕骨の下端と橈骨(とうこつ)の上端が、外力などによりずれたり外れたりしてしまうことです。双方の骨が全く接しなくなった場合を脱臼、ずれが生じているものの一部が接している場合を亜脱臼といいます。

転倒などをきっかけとして起こる外傷性の肘関節脱臼の多くは、尺骨が上腕骨に対し後方へとずれる肘関節後方脱臼(ひじかんせつこうほうだっきゅう)といわれています。また肘関節脱臼は腕の骨折に伴って起こることもあります。なかでも、いわゆる“Terrible triad”と呼ばれる橈骨頭頸部骨折(とうこつとうけいぶこっせつ)(橈骨の上端部分の骨折)・尺骨鉤状突起(しゃっこつこうじょうとっき)骨折を伴う肘関節後方脱臼の複合損傷は、保存療法が難しい重症の肘関節脱臼として知られています。

子どもに多いモンテジア骨折は、尺骨骨折と橈骨頭脱臼の複合損傷のことを指します。また子どもに多い肘の亜脱臼として、手を引っ張ったときに起こりやすい肘内障(ちゅうないしょう)が挙げられます。腕が下がったままの状態になるため、保護者の方などから肩の脱臼と間違われやすいといわれています。

原因

成人の場合、肩関節の脱臼に次いで多い脱臼は、外傷性の肘関節脱臼といわれています。外傷性肘関節脱臼の大半は、転んだとき、肘を伸ばして地面に手をつくことで起こる肘関節後方脱臼です。このほか、スポーツ活動中の衝突や交通事故、転落などが外傷性の肘関節脱臼のきっかけとして挙げられます。肘関節脱臼は単独で起こることもありますが、骨折や靭帯損傷といった合併症がみられることもあります。

肘内障は、前腕の外側にある橈骨の上端部分(橈骨頭(とうこつとう))が、輪状靭帯(りんじょうじんたい)から抜け出ることで起こります。肘内障は2歳から4歳頃の幼児に多く、保護者の方が手をつないで歩いているお子さんの手を強く引っ張った際などに起こる例が典型的です。

症状

肘関節後方脱臼の主な症状は、肘関節の痛みや腫れ、関節の変形、肘関節の曲げ伸ばしができなくなります。周囲の靭帯の損傷などが重い場合、立っていられなくなるような激しい痛みを感じることもあります。ただし、骨折などを伴わない肘関節脱臼単独の場合は、整復(治療)を行えばすぐに痛みが和らぎます。

モンテジア骨折のように橈骨頭が前方に脱臼すると、神経が圧迫され、指が伸ばせなくなることがあります。“Terrible Triad”と呼ばれる複合損傷(肘関節脱臼+橈骨頭頸部+尺骨鉤状突起骨折)などの肘関節脱臼骨折では、肘関節に拘縮(こうしゅく)(関節周囲の組織がかたくなり、動かしにくくなること)が残ることがあります。

子どもの肘関節の亜脱臼・肘内障の場合は、腕を下げたまま動かそうとしないという特徴がみられます。患部に腫れは生じず、X線検査でも異常はみられません。一度脱臼・亜脱臼を起こした箇所は、治療後に再脱臼しやすくなることがあるため注意が必要です。

検査・診断

多方向からのX線(レントゲン)検査、CT検査、MRI検査などにより、脱臼のほかに骨折や靭帯損傷が起こっていないか確認します。

医療機関では、医師に脱臼したときの状況を詳しく伝えることが、正確な診断に役立ちます。また、自分で症状を訴えることができない子どもの肘内障を診断するためには、腕を下げて動かそうとしないという所見が重要な手がかりとなります。

治療

脱臼した関節を自分自身でなおそうとすると、周囲の血管や神経を傷める危険があります。三角巾や副木などで患部を固定し、すみやかに医療機関を受診しましょう。

徒手整復(としゅせいふく)

肘関節脱臼が単独で起こっている場合や亜脱臼(肘内障)などでは、皮膚のうえから素手で関節を元に戻す徒手整復術が行われます。通常、徒手整復術が成功した後は早い段階で元のように腕を使えるようになります。骨折を伴っている場合は、徒手整復術後、血管や神経に損傷が及んでいないことを確認し、ギプスなどを使った固定が行われます。徒手整復術は、脱臼後なるべく早くおこなったほうがよいといわれています。

手術

徒手整復術による治療が難しい場合は、手術が選択されます。金属プレートを用いた骨接合術や骨切り術など、脱臼や骨折などの合併損傷の状態に応じて手術の方法は異なります。

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