たんのうせんきんしょう

胆のう腺筋症

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概要

胆のう腺筋症とは、胆のうの壁が通常よりも分厚くなることで特徴付けられる良性の胆のう疾患を指します。胆のう腺筋症では、胆のうの粘膜が胆のうの壁に入り込み、Rokistansky-Aschoff洞と呼ばれる嚢胞性の病変が増殖しています。Rokistansky-Aschoff洞に入り込んだ胆汁が濃縮し、胆石や石灰化などを併発することもあります。

胆のう腺筋症そのものでは無症状であり、健康診断や別の理由で腹部の画像検査を受けた際に偶発的に胆のう腺筋症を指摘されることがあります。しかし、ときに胆のうに炎症を起こすことで腹痛や吐き気を伴ったりすることもありますし、胆のうがんを併発したりすることもあります。したがって、胆のう腺筋症は良性疾患でありますが、形態学的に胆のうがんとの鑑別が必要になることもあり、超音波内視鏡検査やMRIなどによる診断脳の高い画像検査による評価が必要とされます。

胆のう腺筋症は無症状であれば定期的な経過観察が選択されることが多いですが、腹痛などの症状がある場合や胆のうがんとの鑑別が困難な場合には手術的な胆のう摘出が選択されます。胆のうがんの場合は、病気の進行度によっては化学療法など別の治療アプローチが選択されることもあります。

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原因

胆のうの壁は、内側の浅い部位から深い部位にかけて、粘膜そして筋にて構成されています。粘膜上皮が筋肉層にまで入り込むことがあり、Rokitansky-Ashoff洞と呼ばれる構造物を構成することもあり、複数個同時期に発生することもあります。なかでも、胆嚢壁1 cm以内にRokitansky-Ashoff洞が5個以上存在し、壁が3 mm以上に肥厚したもののことを胆のう腺筋症と定義されています。この定義から判るように、胆のう腺筋症の形態学的な特徴して、「分厚くなった胆のうの壁」を挙げることができ、画像検査で確認することが可能です。ただし、壁が分厚くなるのみでは症状を引き起こすことはありません。

胆のう腺筋腫症は病変の部位や広がりから、びまん型、分節型、底部型の三つに分類されています。びまん型では胆のう全体の壁が分厚くなる状況であり、分節型は胆のうの頚部や体部に全周性の壁の肥厚をきたし、内腔が狭くなっている状態です。そして底部型では、病変部位が胆のうの底部に限局することになります。

なお、Rokitansky-Ashoff洞の中には胆汁が入り込むことがあり、胆汁が濃縮されることから石灰化や胆石の温床になることもあります。その結果、胆石・炎症による腹痛や発熱、嘔吐などの症状の原因となりえます。また、胆のうがんとの関係性が疑われることもありますが、明確なコンセンサスは得られていない状況です。ただし、胆のうがんの併発を除外することは、その後の治療方針決定には必要不可欠です。

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症状

一般に無症状で経過して特有の症状はないことが多く、腹部超音波検査(エコー検査)などで偶然発見されますが、胆のう内や胆のう壁に結石(胆石)を伴い胆のう炎を発症すると、右上腹部の違和感や痛み、吐き気、腹部膨満感などを伴うことがあります。

検査・診断

胆のう腺筋症はそのものでは無症状であり、健康診断や別の理由で撮影された超音波検査やCT検査に関連して指摘されることが多いです。胆のう腺筋症を詳細に観察するためには、特に腹部超音波検査が最も簡便で有効な検査法です。本検査を通して、Rokitansky-Ashoff洞の増生や胆のう壁の肥厚を確認することが可能です。さらに、胆石の確認や胆のうがんなどの随伴病変を指摘することも出来ますが、治療方針の決定に重要な情報となります。

胆のう腺筋症をより明確に胆のうがんなどと区別するためには、超音波内視鏡、CT検査、MRI検査、ERCP検査などを行う必要があります。また、胆汁中の細胞検査を行ったり、血液検査でCA19-9CEAなどの腫瘍マーカーを参考にしたりすることもあります。

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治療

胆のう腺筋症のみであれば、積極的な治療対象とはならずに慎重に経過観察を行うことになります。ただし、胆石による腹痛症状を認めているときや、胆のうがんを併発している場合などにおいては手術を主体とした治療介入を検討することになります。また、画像的に胆のう癌との鑑別診断が困難な場合にも手術を行うことがあります。

行われる可能性がある手術方法としては、開腹手術もしくは腹腔鏡下術があり、胆嚢摘出を目的として行います。腹腔鏡下術は身体に対しての侵襲度が低く、より早期に離床ができ社会復帰までの時間が短くすむという利点があります。

また、胆のうがんを併発していた場合、特に胆のうがんによる病変が進行して手術で切除することができない段階の胆のうがんの患者さんに対しては、化学療法(抗がん剤治療)が行われています。現在は、ゲムシタビンとシスプラチンという抗がん剤の併用療法が標準的な治療方法となっており、患者さんの全身状態や症状を考慮しながら治療を検討していきます。

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