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胎盤早期剥離
胎盤は胎児へ酸素や栄養を運ぶ重要な役目を担っています。そのため、児の出生後に胎盤が剥離することが正常です。しかし、本疾患は妊娠中または分娩中の胎児娩出前に、子宮壁から剥がれてしまいます。発生頻度...
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胎盤早期剥離たいばんそうきはくり

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

胎盤は胎児へ酸素や栄養を運ぶ重要な役目を担っています。そのため、児の出生後に胎盤が剥離することが正常です。しかし、本疾患は妊娠中または分娩中の胎児娩出前に、子宮壁から剥がれてしまいます。発生頻度は全分娩の0.5~1.3%で、妊娠32週以降での発症頻度が高い疾患です。母体死亡並びに胎児死亡率も高く、非常に危険な疾患です。また、周産期低酸素症による児の脳性麻痺のうち4人に1人はこの疾患が原因となっています。このため早期発見、早期治療が大切です。

原因

約半数が妊娠高血圧症候群や慢性高血圧症などの高血圧疾患と関連があります。その他にも前期破水、絨毛膜羊膜炎、外回転術(骨盤位(逆子)をお腹の外側から直す処置)や打撲などの外力による損傷、臍帯が短すぎることによる牽引、破水による子宮内圧の急激な低下などがあります。さらに、リスク因子として早期剥離の既往、高年齢妊婦、多産婦、喫煙妊婦、多胎妊娠、羊水過多、血栓症合併妊娠、子宮筋腫合併妊娠などがあります。

胎盤早期剥離は胎盤が付着している部位からの出血から始まります。出血が胎盤と子宮内膜の間に溜まっていくことで徐々に胎盤が子宮から剥がれていき、最終的には胎盤の機能を傷害します。また、このとき出血を止めようと、凝固因子という物質がはたらきますが、出血が続くとこの凝固因子は消費され枯渇してきます。その結果、出血は止まらなくなり「播種性血管内血液凝固症候群(DIC)」(全身で出血を止めることができなくなる疾患)を発症します。胎盤早期剥離はこのDICの原因の約50%を占めます。DICは、出血多量によるショックや、臓器障害を引き起こし、症状によっては、子宮摘出や、母体死亡につながってしまうこともあります。

症状

症状は、「性器出血,子宮収縮,下腹部痛」が代表的です。

また、剥離の程度と場所、進行の急性度により異なります。内出血を主とすることから、約70%に「下腹部痛、背部痛、子宮に限局した圧痛」がみられます。「性器出血」は約80%にみられますが、比較的少量であることが多いです。破水している場合は血性羊水がみられることもあります。初期症状は切迫早産徴候と似ており、「頻回の子宮収縮や持続的な子宮収縮」が特徴です。

剥がれた部分が大きになるにつれて、異常な痛みを伴う子宮収縮により子宮内圧が上昇し、腹部は「板状硬」という状態になります。文字通り、板のように腹部が非常に固くなる状態です。発症後には、胎児の状態が急速に悪化することも多く、発症数時間後には播種性血管内血液凝固症候群(DIC)を発症する可能性があり、早期治療を行う必要があります。

また胎盤早期剥離は止血機能の破綻や子宮収縮が不良になり、出産後も大量出血をする可能性があります。

検査・診断

確定診断を行うための検査は、胎児心拍数モニター、超音波検査、母体の血液検査です。

まず胎児心拍数モニターでは胎児が低酸素症に陥った場合にみられる所見は早期に認められることが約60%と多いです。これは胎盤が剥がれて機能が障害されていることにより、酸素を十分に胎児に届けることができないことが原因です。

超音波検査では主に、胎盤の厚さを観察します。胎盤早期剥離であれば、胎盤と子宮の間に内出血があります。したがって、胎盤の厚さは増大(55mm以上)します。しかし、軽症の場合、血腫形成は不明瞭であることが多いため、超音波上胎盤の肥厚が確認されなくても注意して経過を観察していく必要があります。

母体の血液検査では、凝固機能を中心に評価します。これは、胎盤剥離に伴う出血の影響を捉えるためとDICの所見が出ていないかを確認するために行います。

治療

治療は胎児の生存の有無、ショック状態の有無、DICの有無によって異なります。

胎児が生存している場合で、胎盤早期剥離の症状が出現し、強く疑う場合には急速遂娩を行います。多くの場合は帝王切開を行いますが、状況によっては経腟分娩の方が素早く娩出できる場合があるため、経腟分娩が選択されることがあります。常位胎盤早期剥離の診断を早期に正確に行うことは、しばしば困難なことがあります。その場合、慎重に入院管理し、強く疑う場合には、急速遂娩を行います。理由は、常位胎盤早期剥離の対応が遅れた場合には、母体胎児共に非常に悪い経緯をたどることがあるためです。

胎児が死亡している場合は、高い確率でDICを発症している場合が多いです。DICの治療をまず行い、状態を安定させてから胎児を娩出します。DICは発症後6時間以内の治療開始が望ましいといわれており、抗DIC薬(アントトロンビン、ヘパリン、FOYなど)を行います。また、血圧が低下するなどショック状態であればその対応を最優先します。ショック状態の治療は、失われた血液や凝固因子を補充するために輸血や輸液などを行い、昇圧剤投与などを行います。

以上のように、常位胎盤早期剥離は重篤な経過をたどることが多く、発症から治療までの時間が経てば経つほど重症となります。早期発見、早期治療が必要な疾患ですので、妊娠後期に性器出血があった場合には、たとえ少量であっても医療機関へ相談してください。

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