きょうぶだぼく

胸部打撲

最終更新日:
2020年08月31日
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2020/08/31
更新しました
2017/04/25
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概要

胸部打撲とは、胸部に何らかの衝撃が加わることです。胸部には心臓や肺、大動脈といった生命を維持するための臓器が収まっており、これらを守るように左右12対の肋骨があります。

胸を打ち付けた場合、皮膚の損傷やあざなどが生じることが多いですが、衝撃が強いと肋骨が折れたり、肺を覆う胸膜や肺そのものが破れて気胸という病気になったりします。さらに重症になると大動脈が損傷したり心臓が止まってしまったりすることもあります。

心臓や肺、大動脈などの内臓に重大な異常が生じることもあるため、胸を強く打ち付けてしまった際には、医療機関を受診することが大切です。

原因

胸部打撲の原因として多いものは、転倒や高いところからの転落です。また、重大な異常を引き起こす原因としては交通事故が挙げられます。シートベルトの着用やエアバッグの普及により致死的な外傷は減少していますが、シートベルトやエアバックそのものにより胸部外傷を生じる場合もあります。

このほか、スポーツ活動中に胸にボールがぶつかり、重い症状が生じる例もあります。

症状

胸部打撲の症状は、一般的には胸を打ち付けた部位の痛みやあざ、腫れなどです。

骨や胸膜、血管や心臓に衝撃が加わり損傷が及んだ場合、以下のような状態・症状を呈することがあります。

肋骨骨折

肋骨骨折や筋肉の損傷があれば、深呼吸や運動により強い痛みが生じます。特に、多数の肋骨骨折がある場合、フレイルチェストが起こることがあり、激しい痛みと呼吸機能の低下を生じます。フレイルチェストとは、息を吸ったときに胸郭が陥凹し、吐くときに突出する奇異呼吸が起こり、急性呼吸不全に陥る状態です。

気胸

強い衝撃により胸膜(肺を包む膜)が破れた場合には、肺の中の空気が胸に貯まり、気胸という状態になります。気胸では肺が膨らまなくなり、胸の痛みや咳、息苦しさが生じることがあります。

大動脈の損傷

全身に血液を送る大動脈が傷ついた場合、血管が断裂して体の中で大出血を起こすことがあります。多量の出血が起こると意識の低下やだるさなどが生じて、場合によっては意識を消失することもあります。

心停止

心臓に強い衝撃が加わると、心臓における正常な電気的活動が破綻することがあります。これにより心室細動と呼ばれる危険な不整脈が生じ、心停止に至ることがあります。心停止が生じた場合、瞬時に意識消失が起こります。野球の練習中にボールが胸にぶつかり、心臓が止まってしまうという事故はその典型です。

検査・診断

胸部打撲では、衝撃の程度やダメージの入り方によってより詳細な検査を行うかどうかを決定します。軽症であれば痛みに応じて肋骨骨折がないかどうかをレントゲン撮影で評価します。高い位置からアスファルトなどの固い地面へ落ちた場合や、速い速度で交通事故に遭った場合など、重症となりうるケースでは、全身のCT撮影を行って内臓の損傷がないかどうかを確認します。また、血管や臓器の損傷の程度をより詳しく評価するために、造影剤を用いたCT検査や血管造影検査を行うこともあります。

治療

軽症例の治療

打ちみに対する一般的な処置として氷水で冷やし、安静にします。痛み止めの湿布や飲み薬を用いることで、1週間以内にはほぼ完治します。

肋骨骨折の治療

肋骨骨折に対しては、手術を行わず保存的に治療することが多いです。しかし、多数の肋骨を同時に骨折した場合には、フレイルチェストに陥る危険があるため、痛み止めを使いながら人工呼吸管理を行うことがあります。

気胸の治療

気胸が生じた場合には、胸腔に貯まった空気を抜き、肺を膨らませるための管(胸腔ドレーン)を胸に挿入して管理を行います。

大動脈損傷や心停止時の治療

大動脈の損傷が生じた場合には手術による修復が必要です。心停止となった際には、心肺蘇生処置が必要となり、AEDによる電気ショックを行う場合があります。

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