じんうじんえん

腎盂腎炎

最終更新日:
2023年04月05日
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2023/04/05
更新しました
2021/01/28
更新しました
2017/04/25
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概要

腎盂腎炎(じんうじんえん)とは、腎盂・腎杯さらに腎実質が細菌性によって炎症を起こしている状態で、細菌が膀胱から尿の流れとは逆行性に侵入することによって生じる感染症です。

腎盂とは、腎臓と尿管の接続部分のことです。腎臓で作られた尿は腎杯を経由して腎盂に集まり、さらに尿管から膀胱へと流れていきますが、通常は無菌状態です。腎盂腎炎は膀胱炎の後に起こることが多く、多くは左右対にある腎臓のうち、片方に起こります。

急激に発症し、臨床症状や炎症所見が強いものを急性腎盂腎炎、比較的症状が軽く微熱や食欲不振などが主症状であるため経過が長く続くものを慢性腎盂腎炎と呼びます。慢性腎盂腎炎は目立った症状がないことも多く、進行すると慢性腎不全に移行することもあるため注意が必要です。

原因

腎盂腎炎は細菌感染によるものであり、もっとも多い病原菌は大腸菌です。

通常は膀胱炎を起こした後、細菌による炎症が尿管を通して腎盂に波及することで生じます。しかし、膀胱炎を発症すると必ず腎盂腎炎になるわけではありません。腎盂腎炎を併発する場合には、さまざまな要因があります。その要因として、下記が挙げられます。

  • 性周期(生理)や性行為などによる陰部の不衛生
  • 尿路通過障害:結石、腫瘍(しゅよう)、前立腺肥大 など
  • 尿道カテーテル留置
  • 妊娠
  • 免疫力の低下:糖尿病、ステロイド治療、抗がん剤治療 など
  • 解剖学的異常:馬蹄腎、膀胱尿管逆流症 など

急性腎盂腎炎はどの誘因でも起こり得ますが、慢性腎盂腎炎は主に解剖学的異常が要因となります。

症状

急性と慢性で症状は大きく異なります。

急性腎盂腎炎

非常に強い炎症反応が生じ、高熱(弛張熱)や悪寒戦慄、強い腰痛(罹患側の腎部痛)などが生じます。早期に適切な治療を行わなければ敗血症に至ることもまれではありません。

また、結石や腫瘍が誘因となっている場合には、尿の量が少なくなったり血尿がみられたりすることもあります。多くは適切な治療で治り、急性腎不全にならないことも特徴の1つです。

慢性腎盂腎炎

一般的に自覚症状が少ないことが特徴です。長引く食欲不振倦怠感(けんたいかん)があり、徐々に腎臓の機能が低下することで尿を濃縮する能力が低下し、夜間の多尿や尿の色が薄くなるなどの症状が現れます。自覚症状が少ないため気付かれないことも多く、治療せずにいると慢性腎不全に移行することがあります。

検査・診断

腎盂腎炎では、さまざまな検査により診断や治療方針の決定が行われます。

血液検査

炎症反応の程度と腎機能を評価します。また、敗血症が疑われる場合には、血小板や凝固因子などが治療方針を決定するうえで重要な項目となります。

尿検査

尿への細菌の混入、尿中の白血球数などを確認します。また、尿培養検査にて腎盂腎炎の原因菌を特定することが可能であり、抗菌薬の選択に必須の検査となります。

超音波検査

腎臓は、超音波で観察しやすい臓器です。超音波検査は簡便に行える画像検査であり、腎盂腎炎のほとんどで行われます。尿路通過障害が要因の場合には、腎盂の拡張や尿管の閉塞(へいそく)などを確認することができます。慢性の場合では腎臓の萎縮や腎杯の拡張などがみられます。

CT検査

単純CTおよび腎機能が正常であれば造影剤を用いたCT検査が行われます。腎周囲脂肪層の乱れ(濃度上昇)を認めることが多く、腎盂拡張の程度や尿管結石の位置・大きさ、解剖学的異常などを詳しく評価することが可能です。

治療

腎盂腎炎の治療の主体は抗菌薬の投与です。原因菌に適した抗菌薬の使用が必要ですが、尿路感染症に効きやすいペニシリン系やセフェム系、ニューキノロン系などが多く使用されます。通常は発症時のみに使用されますが、乳幼児の繰り返す腎盂腎炎には予防的に抗菌薬を長く服用することもあります。

そのほか、痛みに対して鎮痛剤が使用されたりします。また、敗血症などの重篤な合併症が生じた場合には、全身管理を含めた集中治療が行われます。

慢性腎盂腎炎の場合には長期の抗菌薬療法が基本となります。また、解剖学的異常に対しては手術が行われることが多く、慢性腎不全に移行した場合には人工透析腎移植が必要となります。

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