ひこつしんけいまひ

腓骨神経麻痺

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

腓骨神経麻痺(ひこつしんけいまひ)とは、足の運動や感覚を司る腓骨神経に障害が生じることを指します。腓骨神経は下肢のなかでも膝下から外側面を通り、足の甲にかけて走行をしています。特に膝の外側において体表面に近い場所を走行しており、ここを締め付けられることにより神経障害を受けることが多いです。正座を長時間したときに足がしびれたり、動かしにくい感覚を覚えたりしたことがある方は多いと思いますが、これらも腓骨神経に対しての刺激が原因となって生じる症状です。

腓骨神経は足首を曲げるのに重要な役割を担っています。そのため、腓骨神経麻痺を生じると足を思うように曲げることができず、物によくつまずき転倒する、といったリスクも伴うようになります。

原因

腓骨神経は、太ももから足の指先まで長い距離を走行する神経です。脊髄の神経に端を発する神経のひとつに坐骨神経がありますが、腓骨神経は、太ももの裏側中頃にて坐骨神経から分岐します。腓骨神経は下肢の裏側や外側を主に走行し、足の甲を中心とした部位に終着します。

腓骨のなかでも「腓骨頭」と呼ばれる部位は、体表面に近く、かつ硬い骨の上にのっかっている形で神経が存在しており、神経障害を受けやすいです。この部位を走行する神経は、下肢の外側、足の甲側を中心とした感覚を担っています。同時に、前脛骨筋、長腓骨筋、短腓骨筋、長趾伸筋、短趾伸筋といった筋肉を支配しており、これらの神経は特に足首や足の指を上に向けたり足首を外に向けたりする動作に関与しています。そのため、腓骨神経麻痺では、これらの機能に障害を受けることになります。

腓骨神経は、走行中の多くの部位で筋肉や脂肪に囲まれ奥深くに存在するため障害を受けにくく、先に挙げた腓骨頭部(膝外側)において神経麻痺が生じることが多いです。一過性であれば長時間の正座で神経障害を受けることがあります。その他、下肢を引っ張られて仰向けに寝た姿勢が続いたり(たとえば全身麻酔下や寝たきり状態など)、ギプス固定をしているときに圧迫されたりすることから腓骨神経麻痺が生じます。また外傷骨折ガングリオンと呼ばれる腫瘤が原因となることもあります。

症状

腓骨神経は、下肢の外側から足の甲、足の小指を除いた足の指にかけての感覚と、足首や足の指を上にあげる運動、足首を外側に向ける運動機能に関わっています。そのため、腓骨神経麻痺を発症すると、これらの感覚や運動機能に障害を生じることになります。

最も障害を受けやすい腓骨頭において神経が障害を受けると、上の機能がそろって障害を受けることになります。すなわち、下肢の外側から足の甲、足の指にかけてしびれや痛み、じんじんした感覚を訴えるようになります。感覚障害は足の甲から始まり、徐々に上昇します。長期間麻痺が持続すると、足の甲において足の親指と人差し指の付け根で、感覚を感じないハート型をした部分が形成されることになります。

また運動機能であれば、足首を挙げることができなくなり、「下垂足」をみるようになります。神経障害がないときの歩行であれば、無意識のうちに足をあげ、同時に足首を曲げる運動をしていますが、腓骨神経麻痺ではこのうち後者ができなくなるため、足を引きずるようになります。また、ものに足を引っかけることが多くなり、転倒するリスクも伴うようになります。さらに腓骨神経麻痺では、神経が障害を受けている部位(特に膝の外側)を叩くと神経の支配領域に一致して(下肢外側から足の甲にかけて)痛みが誘発されます。

検査・診断

腓骨神経麻痺の診断は、運動機能障害(下垂足)や感覚障害をもとにして行うことになります。特に腓骨頭部を叩いたときに、神経支配領域に一致してしびれや痛みが誘発されるようであれば、有益な情報になります(Tinelサインと呼びます)。

また神経伝導検査と呼ばれる検査も行われることがあり、腓骨神経の伝導速度が通常よりも遅くなっていることを確認します。その他、腰部椎間板ヘルニアを始めとした他の疾患や原因疾患の検索もかねて、レントゲン検査、MRI検査、超音波検査などを必要に応じて行います。

治療

外傷や腫瘤などをきっかけとして発症している場合、観血的な処置(手術など出血を伴う処置)を行うことで原因を排除することがあります。また姿勢の問題や膝への締め付けが原因となっている場合には、原因となっているもの(たとえばハイソックス)を除去します。

症状に応じて固定やビタミンB12の投与などで経過をみることもあります。しかし、このような保存療法でも症状が改善しない場合には、手術が行われることになります。神経損傷があるものに対しては神経移植、筋肉の障害が強いものに対しては腱移行手術などです。

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