ちょうせいしたんひふえん

腸性肢端皮膚炎

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

腸性肢端皮膚炎とは、亜鉛が不足することにより発症する病気です。症状として、口回りや肛門周辺、手足の指先を中心とした皮膚炎、下痢などを認めます。また、情緒面にも影響が及ぶことがあります。

腸性肢端皮膚炎は、先天的な遺伝子疾患として発症することもあれば、後天的な原因で発症することもあります。後天的な原因としては、母乳栄養中の亜鉛不足や腸切除術後などが挙げられます。

腸性肢端皮膚炎の治療の基本は亜鉛の補充です。先天性の場合は再発が懸念されるため、生涯にわたっての治療が必要です。後天性の場合は、栄養補給の様式に注意を払うことで発症を予防することもできます。

原因

亜鉛は細胞が正常に増えたり、機能を果たしたりするのになくてはならない物質のひとつです。亜鉛は主に小腸から吸収される物質であるため、吸収過程に支障が生じる場合に腸性肢端皮膚炎が発症します。吸収過程には問題がなくても、そもそもの摂取量が乏しい場合にも病気が発症するリスクを伴います。

腸性肢端皮膚炎は、大きく先天性、後天性の2つに分けることができます。

先天性の腸性肢端皮膚炎

腸での亜鉛吸収に重要な役割を果たすSLC39A4ZIP4)と呼ばれる遺伝子に異常が生じることで亜鉛吸収が阻害され、腸性肢端皮膚炎が発症します。遺伝子異常は、常染色体劣性遺伝と呼ばれる遺伝形式を取ります。

この遺伝形式の場合、両親は病気の原因遺伝子を保有する保因者であり(病気の症状は示しません)、お子さんが病気を発症する確率が理論上25%です。さらに、お子さんが病気の保因者になる可能性は50%、何の遺伝子異常も有さない可能性が25%です。

後天性の腸性肢端皮膚炎

たとえば、遺伝的な原因から母乳への亜鉛分泌がもともと少ないお母さんが、ミルクを足すことなく母乳のみでお子さんを育てている際、お子さんが亜鉛不足に陥る可能性が出てきます。

また、手術で小腸を大きく切除した際にも腸性肢端皮膚炎の発症リスクが生じます。その他、腸炎症性疾患、神経性食欲不振症、アルコール中毒なども発症要因となります。

症状

腸性肢端皮膚炎では、口回りや肛門周囲、手足の指先などを中心に皮膚炎(赤みや、かさつき、皮膚のめくれなど)が生じます。

赤ちゃんの場合は、治りにくいおむつかぶれとして認識されることがあります。指先が皮膚炎を起こした結果、爪が変形してしまうこともあります。

皮膚の症状以外に、慢性的な下痢、体重増加不良や体重減少、脱毛、眼球結膜充血、などもみられます。亜鉛は、脳の発達にも重要な役割を担うことから、腸性肢端皮膚炎では情緒の不安定さや精神症状も伴います。

その他、易感染性、夜盲症(暗闇でものが見えにくい)、味覚障害などの症状もみられることがあります。

検査・診断

腸性肢端皮膚炎で見られる皮膚症状は、分布が特徴的であることから、皮膚症状を詳細に観察することが診断につながります。また、血液検査を行い亜鉛の不足を確認します。

その他、腸性肢端皮膚炎ではALPと呼ばれる物質が血液中で低下することも知られているため、血液検査ではALPも評価します。

先天性の場合、原因となる遺伝子異常(SLC39A4)も明らかになっています。したがって、遺伝子検査を検討することもあります。

治療

腸性肢端皮膚炎は、亜鉛不足が原因となって発症します。そのため治療では、サプリメントで亜鉛を補給します。年齢に応じて亜鉛の必要量は異なるため、適宜容量を調整することが重要です。

亜鉛の補充経路は、原因によって異なります。先天性の場合は、大量の亜鉛を内服薬として補充します。

母乳中の亜鉛が少ないことが原因となっている場合には、ミルクを足す、もしくは離乳食をすすめる、などの対応が取られます。

小腸の状態が亜鉛吸収に適していない場合(たとえば小腸を広範囲に切除した、炎症性腸疾患のために栄養吸収がうまくいかない、など)、内服薬ではうまく亜鉛が吸収されません。そのため、点滴を介して血液中に直接亜鉛を補充する必要があります。

先天性の腸性肢端皮膚炎では、生涯にわたっての亜鉛補充が必要とされます。後天性の場合は、状況から発症があらかじめ予測できるものもあります。こうした場合は、あらかじめ亜鉛を補充することで、病気の発症を予防することが可能となります。

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