ちょうえんびぶりおかんせんしょう

腸炎ビブリオ感染症

俗称/その他
腸炎ビブリオ食中毒
最終更新日:
2023年01月23日
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2023/01/23
更新しました
2017/04/25
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概要

腸炎ビブリオ感染症とは、腸炎ビブリオ菌という細菌によって引き起こされる腸管感染症です。食中毒の原因となる細菌の一種で、菌に汚染された水や食物を口にすることで感染します。

感染すると激しい腹痛や水様性の下痢、発熱、吐き気・嘔吐などの症状がみられます。特別な治療を行わなくても通常は数日ほどで自然に治りますが、高齢の方では重症化することもあります。

腸炎ビブリオ感染症は暑い時期に発生しやすく、日本では8月をピークとして7~9月に多発します。特に生の魚介類が原因となることが多いため、夏場の魚介類の取り扱いには注意が必要です。

原因

腸炎ビブリオ菌は生育に3%程度の塩分を要する好塩性の細菌で、海水中や汽水域に生息し、海水温度が15℃以上になると活動が活発になります。

そのため、海水温度が高い暑い時期に漁獲された魚介類には、腸炎ビブリオ菌が付着していることがあり、漁獲後の不適切な取り扱いによって増殖し、刺身や寿司などの生あるいは加熱不十分な魚介類を食べることで感染します。

腸炎ビブリオ菌は熱に弱く、十分に加熱調理した食品を食べて感染することはありません。しかし、生の魚介類を調理した後に、調理器具や水などを介した調理済み食品への二次汚染によって感染する場合もあるため、注意が必要です。

症状

腸炎ビブリオ菌に感染すると、12時間前後の潜伏期間を経て、激しい腹痛と水様性の下痢が生じます。下痢は1日数回のこともあれば十数回の場合もあり、まれに下痢に血が混じることもあります。

腹痛や下痢のほか、しばしば発熱や吐き気・嘔吐もみられます。通常このような症状は1~2日で軽快しますが、高齢の方では重症化することがあり、命にかかわる例もあります。

検査・診断

症状や食歴(生の魚介類を食べたか)、周囲の状況などの詳しい問診を行った後、便を用いた培養検査が行われます。

培養検査では採取した便を培養し、腸炎ビブリオ菌がいるかを確認します。

治療

腸炎ビブリオ感染症は、特別な治療を行わなくても通常は数日で自然に治癒します。したがって、症状を軽減するための対症療法が治療の中心で、下痢による脱水症状に対しては経口あるいは点滴による輸液が行われます。

腸炎ビブリオ感染症では激しい下痢がみられる場合がありますが、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を抑える下痢止めを使用すると細菌の体外への排出を遅らせてしまうことから、原則的には使用しません。

抗菌薬は必要ないことが多いですが、症状が重い場合にはニューキノロンやホスホマイシンなどの抗菌薬が使用されることもあります。

予防

腸炎ビブリオ感染症は主に生の魚介類が感染源となります。特に海水温度が高い時期に多発するため、夏に魚介類を生で食べるときには直前まで冷蔵庫で保存し、加熱が必要なものは中心まで十分に加熱しましょう。

海外でも同様に暑い時期には生の魚介類に注意し、衛生環境がよくないお店では生の魚介類を控えるようにしましょう。

また、二次汚染による感染もあるため、魚介類を水でよく洗う、生の魚介類を触ったらよく手を洗う、生の魚介類に使用した調理器具がほかの食品に触れないようにするなどの取り組みも大切です。

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