すいせきしょう

膵石症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

膵石症とは、膵臓の膵管と呼ばれる部位にできた石のことで膵管の内圧が上昇し、上腹部痛や炎症に伴う発熱などの症状が生じることがあります。膵石の主成分は炭酸カルシウムやリン酸カルシウムであり、慢性膵炎の方に多く見られます。膵石の有無は慢性膵炎の診断基準のひとつとなっています。

慢性膵炎は膵臓に繰り返し炎症が生じることで起こる疾患ですが、長い経過の中で膵石が形成されると、膵管内圧が上昇し、痛みや仮性嚢胞(かせいのうほう)の原因となるので、慢性膵炎の悪化につながります。また、膵がんを発症しやすくなるというデータもあります。

膵石の外観は、白くゴツゴツと硬いのが特徴です。大きさはごく小さなものから、50gを超える巨大なものまであり、膵臓全体に多発性に散在するケースが多いです。

原因

明確な原因は判明していませんが、アルコールの大量摂取が主原因であると考えられています。アルコールの過剰摂取により、膵管内がたんぱく質の固まったもので塞がれ、これにコラーゲンやカルシウムが沈着して、膵石が形成されると推測されています。ほかには、胆道系の疾患や副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症も原因として挙げられています。

症状

膵液の流出が妨げられることで起こる、食後の上腹部痛や背部痛が代表的な症状です。この痛みは前かがみの姿勢をとると軽減することが特徴です。また、膵管内で炎症が乗じることで、発熱などの症状が起き、重症な場合はDIC播種性血管内凝固症候群)や敗血症に陥ることもあります。

慢性膵炎がさらに進行してしまうと、膵臓の機能不全状態となり、腹痛などの症状が現れなくなります。代わりに、消化吸収障害のために下痢や脂肪便(脂肪が多く含まれている便)、内分泌機能低下による糖尿病が前面に現れるようになります。

検査・診断

膵石の診断において推奨されている検査は、超音波検査、CT検査、ERCPと呼ばれる内視鏡で行う検査です。

超音波検査

簡便性に優れ、心身への負担が少ない点が特徴です。超音波検査では膵石が確認できれば、慢性膵炎と診断されます。

CT 検査

膵石の存在や分布の診断に優れています。また、造影剤を用いたMDCTという検査では、膵管の観察がしやすく、膵管と膵石の位置関係を把握することもできます。

ERCP

内視鏡を用いて膵管を造影する検査です。この検査によって、膵管の詰まり具合が把握できます。ERCPではその後に続けて結石の除去などの内視鏡治療を行えるという利点があります。しかし、侵襲性のある検査でもあります。近年では、MRIでのMRCPという胆管や膵管を映し出す検査の精度が上がったため、施設によってはMRCPを優先的に行うところもあります。

採血検査や腹部レントゲン撮影は膵石を発見するきっかけにはなりえますが、確定診断はできません。

治療

膵石の治療は症状が安定していれば、禁酒や低脂肪食を中心とした食事療法、薬物療法が主体となります。低脂肪食は膵液の分泌を抑制しますので、膵臓を休ませることにつながります。症状が強いときには急性膵炎に準ずる治療が行われます。

また、治療に反応しない頑固な疼痛(とうつう)や、持続性・反復性の疼痛があるときには、膵石を除去するように積極的な治療が行われることになります。

内視鏡的治療

内視鏡治療を行う場合は、膵石が大きすぎず、膵管内にはまり込んでいないことが重要となります。膵管内にバスケットカテーテルを挿入し、膵石を引っ張り出す方法が用いられます。そのほかにも狭くなっている膵管をステント留置によって拡張させる方法や、十二指腸への膵管の開口部を切開して膵石の排出を促す方法などもあります。

体外衝撃波結石破砕法(ESWL)

体外から衝撃波を当てて結石を砕く方法です。1時間ほどで終了しますが、痛みも伴います。膵石が膵臓全体に存在するケースでも適応可能です。膵石が大きい方や多い方は何度か治療を行ったり、内視鏡治療と併用したりするケースもあります。ただし、妊婦や腹部大動脈瘤のある方、ペースメーカーを装着している方には行えません。

外科的治療

外科的治療には膵液の詰まりを小腸に誘導するため、膵管と小腸をつなぎ合わせる膵管減圧手術、疼痛の原因となっている膵臓の炎症部分を切除する膵部分切除があります。

膵石が非常に多くある場合や膵管が高度に狭窄している場合は内視鏡治療やESWLでの治療が困難なことが多く、外科的治療が行われます。

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