のうきょう

膿胸

最終更新日:
2023年05月02日
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2023/05/02
更新しました
2017/04/25
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概要

膿胸(のうきょう)とは、胸膜の細菌感染により胸膜腔(きょうまくくう)(うみ)がたまる病気です。胸膜は肺の表面と胸壁の内側を覆う薄い膜で、この膜の間に存在する空間を胸膜腔といいます。この部分に感染が及ぶことで発熱や咳、胸痛といった症状が現れ、さらに炎症が慢性化すると“フィブリン”という血液凝固物質が胸膜を覆って肺の膨張を阻害し、呼吸困難に陥るケースがあります。

膿胸は発症から3か月以内のものは“急性膿胸”、3か月以上のものは“慢性膿胸”に分類されます。治療は状態に応じて抗生物質の投与や、胸膜腔にたまった膿を排出する“胸腔ドレナージ”や外科的手術などが行われます。

原因

膿胸の多くは、胸腔内に黄色ブドウ球菌や嫌気性菌、化レンサ球菌、グラム陰性菌、口腔(こうくう)内常在菌などの細菌が増殖することで発症します。

急性膿胸

肺炎縦隔炎の進行、食道穿孔(しょくどうせんこう)や胸部の外科的手術によって膿胸を発症する場合があります。肺炎や縦隔炎が原因となった膿胸は、特に高齢者や副腎皮質ステロイド薬を使って長期治療を受けている方、糖尿病患者などのように、免疫力が低下している方にみられます。

また、薬剤の包装シートや義歯のような鋭利なものを誤って飲み込んでしまったり、内視鏡の検査時に食道が傷付いたりして食道に穴が開いてしまい、膿胸を発症するケースもあります。このほか、肺や食道の切除手術後などに切除した部位がうまく縫合せず、膿胸を発症する場合もあります。

慢性膿胸

急性膿胸を適切に治療できなかった場合や、結核菌感染により胸膜に炎症がおよぶ結核性胸膜炎が長引くことで発症することがあります。

症状

急性膿胸と慢性膿胸では、それぞれ以下のような症状がみられます。

急性膿胸

38℃以上の発熱や咳、胸痛などの症状が現れます。が多くたまっている場合は、肺が圧迫されるため呼吸困難を伴うことがあります。

慢性膿胸

急性膿胸と異なり、慢性膿胸の多くは発熱や咳といった症状は現れません。しかし、炎症が長引くことで胸腔内にフィブリンが出現し、胸膜を覆う“被膜”と呼ばれる膜を形成します。被膜は次第に厚くなり、呼吸による肺の膨張を妨げるため呼吸困難に陥る場合があります。

検査・診断

胸部X線検査やCT検査によって胸膜の厚さや、胸水の貯留の有無などを確認します。画像検査で膿胸が疑われる場合は、細い針を刺して胸膜腔にたまった膿や胸水を採取します(胸腔穿刺(せんし))。採取した液体から白血球数や好中球数を確認し、培養検査で細菌の種類を確認して診断します。

治療

症状の程度に応じて以下のような治療が行われます。

急性膿胸

胸膜腔にドレーンというチューブを挿入してたまったを排出する胸腔ドレナージを行い、同時に胸腔内の洗浄も行います。

加えて、培養検査の結果から特定した細菌に有効な抗生物質を投与します。

慢性膿胸

膿胸は発症から時間が経過すると胸腔ドレナージだけでは症状を改善させるのが難しくなるため、慢性膿胸の治療では以下のような外科的手術が必要となります。

また、慢性に移行すると難治性になる可能性があるため、急性期でも抗生物質や胸腔ドレナージの効果が不十分と判断した場合は、手術をすすめることがあります。大半の場合は胸腔鏡手術が行われ、短時間で終わります。

胸郭成形術

胸壁を成形し、膿胸腔を小さくしたり(ふさ)いだりする方法です。

開窓術

肋骨(ろっこつ)を数本切除して胸腔を開放し、ガーゼなどを詰めて膿胸腔を洗浄する方法です。洗浄した後は、連日ガーゼ交換を行う必要があります。

肺剥皮術(はいはくひじゅつ)

フィブリンによって形成された被膜を肺から切り離す方法です。膿や胸水を取り除き、肺の拡張を促すことができます。

予防

膿胸は外科的処置によって発症することもありますが、肺炎縦隔炎結核胸膜炎などの細菌感染による疾患が進行することによって発症する可能性もあります。そのため、個人でできる対策として感染対策が重要といえます。

感染対策では、手指消毒や手洗いのほか、人混みを避けることが重要です。また、免疫力の低下によって感染しやすくなるため、適度な運動や十分な睡眠、バランスのよい食生活などを心がけましょう。

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