臍ヘルニア(さいへるにあ)

臍ヘルニアとは

臍ヘルニアとは、いわゆる「でべそ」のことを指し、生後へその緒が取れた後にへそが飛び出ている状態を指します。5〜10人に1人の割合で臍ヘルニアは発生すると考えられています。

臍ヘルニアでは美容的な問題を示すことはありますが、飛び出ている腸管などが嵌頓(かんとん)を起こすことはほとんどありません。子どもが年齢を重ねるにつれて、寝返りやお座り、つかまり立ちから自立歩行へと運動面の発達を示すことになりますが、腹筋も同時に発達することになり徐々に臍ヘルニアは自然に治る傾向が強いです。一部のお子さんにおいて、臍ヘルニアが改善しないこともあり、状況を見つつ手術などの治療介入が行われることになります。

原因

子宮内において、赤ちゃんはへその緒を介して母親とつながっています。へその緒の中には血管などが含まれていますが、赤ちゃんのお腹の中の空間がへそを通して胎盤へとつながることになります。出生後にはへその緒が切除されることになりますが、へその緒がお腹からはがれ落ちることで「へそ」としての形が形成されることになります。

しかし、へその緒が取れた後(およそ生後1週間までの間)にもへその形成過程がうまくいかない場合に、臍ヘルニアが発生することになります。お腹に存在する腹直筋と呼ばれる筋肉の間を通って、お腹の中の臓器(腸管や脂肪など)が体表面に皮膚に覆われた形で飛び出てくるのが臍ヘルニアです。

臍ヘルニアの原因について、出産後のへその緒の処理の仕方がうまくいかなかったためではないかと思われる方もいらっしゃいますが、これは違います。へその緒の処理を行う際は、赤ちゃんのお腹から突起物として出てきているへその緒そのものをいじるのみであり、臍ヘルニアの原因になる腹直筋には手を触れることはありません。そのため、へその緒の処理方法と臍ヘルニアの発生には関係性はありません。

症状

臍ヘルニアでは、へそが「でべそ」という形で飛び出ることで指摘することができます。腹部の脆弱部位(腹直筋の隙間)は生後からうまく閉じておらず、この部位から腸管などが飛び出ることででべそとなります。

出生後から数週間経つと、赤ちゃんは「泣く」という行為を繰り返すことになります。泣くということはお腹の圧力が強くかかることになるため、お腹の中の臓器が腹部の脆弱部位から飛び出ることにつながります。したがって、臍ヘルニアは生後しばらくして1ヶ月頃から徐々に明らかになってきます。その後さらに泣くという動作も力強くなり、生後3ヶ月頃までは臍ヘルニアは増悪する傾向にあります。

このころ以降、赤ちゃんは首がしっかりと据わり、寝返りやハイハイ、お座り、つかまり立ち、独立歩行といったように、月単位でどんどんと運動面が発達するようになります。こうした運動面の発達に伴い腹部の筋肉もしっかりと備わるようになり、腹部の脆弱部位が筋肉でカバーされることになります。したがって、およそ1歳までの間にほとんどのお子さん(9割前後)で臍ヘルニアは自然治癒をすることになります。

しかし、一部のお子さんではこうした治癒過程がうまくいかずに、でべそとして残存することになり、美容的な問題を残すことになります。

なお、ヘルニアでは嵌頓という現象が問題になる可能性がありますが、臍ヘルニアは嵌頓を来すことはほとんどないことでも知られています。

 

検査・診断

臍ヘルニアについては、見た目の特徴的な様相から診断をすることがほとんどであり、必ずしも検査を行うことはありません。稀ながら嵌頓を来した場合や、手術的な治療介入が必要となった際には、ヘルニアの状況を評価することを目的として、超音波検査やCTといった画像検査が行われることになります。

治療

症状の項目で記載した通り、臍ヘルニアは基本的には自然治癒をする病気ですので、特に治療介入をせずに経過観察をします。ただし、臍ヘルニアが増大しすぎると、でべそは治ったとしてもへその形が歪むなどの問題を生じることも懸念されます。そのため、場合によってはでべそを外的に圧迫する方法(スポンジ圧迫法など)がとられることもあります。圧迫方法をとることで、臍ヘルニアの自然治癒を早期の段階から促すことが期待できます。

通常は1歳までに多くが自然治癒する臍ヘルニアですが、それ以上になると自然治癒が期待しにくくなります。臍ヘルニアの問題は多くの場合は美容的なものであり、手術的にヘルニアを治すことが行われることもあります。手術的な治療介入を行うタイミングについては、経過や施設によっても異なるため、状況を見計らいつつ手術が行われることになります。