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若年性特発性関節炎
若年性特発性関節炎 (juvenile idiopathic arthritis: JIA) とは、「16歳未満で発症し、6週間以上持続する原因不明の慢性関節炎で、他の病因によるものを除外したも...
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骨・関節
更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
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2017 年 04 月 25 日
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概要

若年性特発性関節炎 (juvenile idiopathic arthritis: JIA) とは、「16歳未満で発症し、6週間以上持続する原因不明の慢性関節炎で、他の病因によるものを除外したもの」と定義されています。国際リウマチ学会 (ILAR)の国際基準では7つの病型に分類されますが、その中でも全身型若年性特発性関節炎 (sJIA) が全体の約40%を占め、厚生労働省により指定難病とされています。

日本における若年性特発性関節炎全体の有病率は、小児の人口10万人あたり約10〜15人といわれています。全身型では発症に性差はありませんが、少関節炎型や多関節炎型では女児優位です。発症年齢のピークは全身型で1~5歳と報告されています。

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原因

若年性特発性関節炎の根本的な原因は現在のところわかっていません。体内の炎症の調節を司る免疫機能が適切に働かないために、炎症が治まらずに続いている状態であると考えられています。特に、免疫細胞であるT細胞やマクロファージや、炎症性サイトカインと呼ばれる炎症物質(TNF-α、IL-1β、IL-6 、IL-18など)が過剰に産生され、病気に至ると考えられています。

実際に若年性特発性関節炎患者では、血清中や関節液中にこれらの炎症性サイトカインが高濃度に存在し、病気の勢いと相関することが報告されています。過剰にされる炎症性サイトカインのパターンは病型により若干異なり、全身型ではマクロファージの活性化に伴い産生されるIL-6、IL-1β、IL-18が、関節型ではTNF-αがそれぞれの病気の成り立ちに特に重要であると考えられています。

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症状

ILAR分類では7つの病型に分けられますが、発熱や皮疹を伴う全身型、関節炎が4箇所以下の小関節炎型、関節炎が5箇所以上の多関節炎型(リウマトイド因子陽性ないし陰性)で全体の90%以上を占めます。どのタイプにも共通して認められる症状としては、慢性的な関節の炎症が挙げられます。炎症のために関節が、痛む・赤くなる(発赤)・腫れる・熱をもつ・動かしにくいなどの症状がみられます。関節炎が長期に及ぶと関節の変形や体全体の成長障害が引き起こされることもあります。

全身型の特徴としては、急な発熱 (弛張熱または間欠熱) と発疹があります。熱は寒気を伴い急上昇し、40℃を越えることもありますが、解熱剤などを使わなくとも一過性に解熱します。典型的な発疹はサーモンピンク疹といわれ、発熱時に薄紅色の皮疹が出現し、解熱すると消退するのが特徴です。その他、胸膜炎や心膜炎、肝脾腫を伴うこともあります。

また、全身型の場合には重症化すると、免疫細胞の一種であるマクロファージが活性化することにより「サイトカインストーム」といわれるいろいろな炎症性サイトカインが過剰に産生される状態(マクロファージ活性化症候群)が生じます。この状態では白血球や血小板が減少し、血液が血管内で異常に固まりやすくなり、全身の様々な臓器に障害が生じ、生命の危険にさらされる合併症を起こす可能性があるため注意が必要です。

関節炎は指の小さい関節から手や膝などの大きな関節にも起こりますが、関節炎型の中でも小関節炎の場合、膝などの下肢の大きな関節に炎症が起きやすい傾向があり 、虹彩毛様体炎といわれる眼病変の合併がときにみられます。一方、多関節炎の場合、左右対称に同じ関節で炎症がみられることが多く 、手や指の小さな関節をはじめ、肘・足・膝に加え首や顎の関節でも炎症が認められます。リウマトイド因子陽性の多関節炎では、関節の可動域制限や変形を認める頻度が高くなります。また、微熱・倦怠感・食欲不振などの全身症状を伴うこともあります。

検査・診断

若年性特発性関節炎は、さまざまなタイプの異なる病型に分類される疾患であるため、特定の検査で診断がつくということはありません。感染性関節炎、他の膠原病に伴う関節炎などの他の疾患を除外していき、総合的に診断を行います。実施される検査としては、まず血液検査が挙げられます。血液検査において、炎症反応、リウマトイド因子、抗核抗体の有無など、さまざまな項目を調べます。また、炎症を起こしている関節の状態をくわしく調べます。具体的には、単純X線撮影、関節エコー検査、造影MRI検査などが挙げられます。

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治療

若年性特発性関節炎では、病型により治療が異なります。

全身型の場合には、ステロイドの全身投与によって炎症を鎮めることが治療の中心となります。初期は大量のステロイド投与が必要となりますが、治療にともない症状の改善が認められれば、徐々に薬を減量していきます。ステロイド薬で効果が十分に得られない場合には、トシリズマブというお薬が用いられます。トシリズマブは日本で開発された薬で、IL-6の機能を阻害する薬です。海外では、炎症性サイトカインであるIL-1を阻害するアナキンラやカナキヌマブというお薬を使用することもあります。

全身型以外の関節炎に対しては、非ステロイド抗炎症薬 (NSAIDs)で治療を開始しますが、効果が乏しい例や多関節型の症例ではメトトレキセート (MTX) の投与が行われます。さらに、MTXで効果不十分の場合にはエタネルセプトやアダリムマブといった炎症性サイトカインであるTNF-αを阻害するお薬(TNF阻害薬)やトシリズマブによる治療を検討する必要があります。少関節炎型で見られる眼病変の重症例にもTNF阻害薬が選択肢にあげられます。

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