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Lung
薬剤性肺炎
薬剤性肺炎とは薬剤を投与中に薬剤が原因となり、薬剤本来の効能以外の予期せぬ有害な反応が生じて起こる肺炎のことを指します。通常は投与開始後2~3週間から2~3か月で発症するものが多いですが、投与開...
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肺
更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

薬剤性肺炎とは薬剤を投与中に薬剤が原因となり、薬剤本来の効能以外の予期せぬ有害な反応が生じて起こる肺炎のことを指します。通常は投与開始後2~3週間から2~3か月で発症するものが多いですが、投与開始後数年を経て発症するものもあり、多様です。薬剤性肺炎の正確な発症頻度は定かではありませんが、近年の調査では2000年以降にその報告が増加してきている傾向にあります。

原因

すべての薬剤が薬剤性肺炎を引き起こす可能性があり、また医師が処方した薬剤だけではなく、市販薬や漢方薬、サプリメントや健康食品などでも発症する可能性があります。代表的な原因薬剤として、分子標的薬を含む抗悪性腫瘍薬(抗癌剤)や生物学的製剤を含む抗リウマチ薬が多く報告されていますが、一般的な抗生物質(抗菌薬や抗真菌薬)、消炎鎮痛薬なども少なからず報告されています。

またリスク因子としては高齢(60歳以上)であることや、もともと間質性肺炎などの肺病変を有していること、低肺機能であることなどが知られています。

症状

軽度であれば特に自覚症状なく、胸部レントゲンなどで発見されることもありますが、代表的な自覚症状としては息切れや呼吸困難、乾性咳嗽(痰を伴わない咳)、血痰、発熱、倦怠感(体のだるさ)などがあげられ、重症の場合には呼吸不全に至ることもあります。他覚的な症状としては経皮的動脈血酸素分圧が低下することや胸部聴診で乾性ラ音を聴取することがあります。

検査・診断

薬剤性肺炎の診断は症状や身体所見、薬剤摂取歴や既往歴、血液検査所見や画像所見などを総合して行います。前述のようにすべての薬剤が薬剤性肺炎を起こす可能性があり、投与中のみならず投与終了後でも発症する可能性があることを念頭に置かなければなりません。診断のためにまずは、薬剤摂取歴に関する問診が非常に重要になります。疑われる薬剤の摂取歴(どんな薬剤をいつから使用しているか)を明確にすることが大切です。上記のような症状のため病院を受診する際は、お薬手帳を持参することで処方薬などの確認が素早く行えます。

薬剤性肺炎の診断に直結する血液検査は存在しませんが、診断の補助となることがあり、また、他疾患を除外するために必要となります。CRPやLDH(乳酸脱水素酵素)などの非特異的な炎症反応や、KL-6やSP-A、SP-Dなどの間質性肺炎のマーカーなどを調べることが多いです。

薬剤性肺炎の画像診断には胸部レントゲン検査や胸部CT検査が用いられます。胸部CT検査ではすりガラス影や浸潤影が見られることが多いですが、画像所見のみでは一般的な感染性肺炎や肺水腫などとの鑑別は困難です。

また治療反応性の予測や他感染症の除外のために気管支鏡検査による気管支肺胞洗浄(BAL)を行うこともあります。病態や病理組織所見を推測できる情報が得られる可能性もあり、薬剤性肺炎においては重要な検査のひとつです。

治療

薬剤性肺炎の治療としてまず行わなければならないことは被疑薬(原因として疑われる薬剤)を速やかに中止することです。軽症の場合は中止するだけで改善することもあります。もともとの疾患に対して必要な薬剤であった場合は、ほかの種類の薬剤に変更する必要があります。原因となった薬剤は原則再度使用するべきではありません。しかし、どうしても使用しなければならない場合は薬剤によっては再度使用する場合もありますが、薬剤性肺炎が再燃することもあり注意が必要です。

中等症以上もしくは被疑薬の中止のみでは改善しない場合はステロイドを用いることが一般的です。重症になるとステロイドを大量に用いるステロイドパルス療法を行い、その後ステロイドの内服治療(後療法)に移行することが多いです。比較的ステロイドへの反応性は良好といわれますが、障害が強いパターンではステロイド抵抗性となることもあります。また低酸素血症を伴っている場合は酸素吸入も必要です。