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薬物依存症
薬物依存症とは、覚せい剤や麻薬などを繰り返し使ったことにより、心身に何らかの変化が生じている状態のことです。薬物をやめており、体内に原因薬物が存在しない状態になっていても、ことあるごとに薬物への...
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薬物依存症やくぶついぞんしょう

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更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

薬物依存症とは、覚せい剤や麻薬などを繰り返し使ったことにより、心身に何らかの変化が生じている状態のことです。薬物をやめており、体内に原因薬物が存在しない状態になっていても、ことあるごとに薬物への欲求や葛藤が生じることがあります。

また、以前薬物を使った場所に訪れると、過去に薬物を使用したときに起こった心拍数の増加や発汗などの変化が、本人の欲求や意思に関わらず現れることがあります。薬物の乱用を繰り返すことで、原因薬物をやめても幻覚や妄想などの症状が続く場合もあります。

依存性を持つ薬物としては、覚せい剤や麻薬(コカイン、ヘロイン)などが知られています。このうち、日本では覚せい剤による薬物依存症患者数が最も多くなっています 。

薬物依存症は完治する病気とは異なります。しかし、専門的な治療や支援を受けることで、回復と健全な社会生活を目指すことは可能です。

薬物依存症に対する治療の考え方は、糖尿病のような慢性疾患に対する治療の在り方とよく似ているといわれます。単に薬物の使用を中止するだけでなく、ご本人が薬物の使用に至った原因(経済的なことや人間関係のことなど)を整理していくことや、自分自身のコントロールも必要です。

患者さんお一人の力で薬物依存症を克服することは難しく、医療従事者、相談所の所員や自助活動グループの仲間など、新たな関わりをつくっていくことが大切です。また、薬物依存症の患者さんをもつご家族に対しての支援も重要です。

原因

薬物の使用を始めるきっかけは多様です。一例として、人間関係や金銭関係の悩み、ストレスや「やせたい」といった感情、置かれた環境、仲間からの誘い、「一度だけなら」という好奇心などが挙げられます。

このようなきっかけで依存性のある薬物を摂取してしまうと、脳内報酬系と呼ばれるA10神経系に異常が起こります。A10神経系は、欲求が満たされたときなどに活性化し、気分の高揚や陶酔感をもたらすドパミン(神経伝達物質)を放出する神経経路です。この快感が条件刺激となり、「再び快感を得たい」、「さらなる快感を得たい」という欲求が生じ、薬物依存症が形成されていきます。

このように薬物は脳に作用するため、本人の意思に反して、一度だけで終わらせることができないのです。また薬物依存症の患者さんが、ご家族や仕事などよりも薬物を優先するようになり、使用する前とは別人のように変わってしまう原因も薬物の持つ作用にあります。

症状

薬物依存症の本質は、「渇望」といわれる強い欲求を引き起こす精神依存です。精神依存とは、薬物への欲求を抑えきれず、自分をコントロールできなくなる脳の障害です。これにより、生活の中心は薬物にかわり、薬物入手のために手段を選ばない行動に出てしまうことがあります。

薬物依存症の原因薬物として、日本で最も大きな割合を占めている覚せい剤には、強力な精神依存性があります。また強い耐性があるため、使用量は増えていく傾向にあります。このようにして乱用を繰り返してしまうと、覚せい剤精神病とも呼ばれる幻覚や妄想などの症状が現れます。これらの症状は、薬物をやめてもどんどん悪化していくことがあります。

なお、薬物のなかには、ベンゾジアゼピン系薬物のように精神依存性だけでなく身体依存性を持つものもあります。身体依存性を持つ薬物の使用を中止したり減薬したりすると、不眠などの睡眠障害、不安、焦燥といった症状が現れます。離脱症状の苦痛が、渇望(精神依存)を強めている側面もあります。

薬物依存症が生み出す二次的な問題

薬物依存症と呼ばれる状態になると、1日のほとんどを薬物の入手・使用・回復に使ってしまう薬物中心の生活に陥ります。薬物を手に入れるために、何件もの病院や薬局をわたり歩くこともあります。また、所持や自己使用を禁止されている薬物を求め、犯罪を起こしたり、借金をしたりするケースもあります。

検査・診断

治療が必要な状態かどうかを判断するためには、身体依存の有無ではなく、その方の生活や人生がどれほど薬物にとらわれているかという点や、薬物のために逸脱的な行動を引き起こしているかという点をみていくことが大切です。

このような観点から診断をつけられるよう、過去には「薬物依存」「薬物中毒」という言葉で区別されていた診断時のカテゴリーは、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)で「物質関連障害」として一本化されました。専門機関では、物質関連障害の診断基準を用いて、薬物に対する渇望や強い欲求の有無などを確認していきます。

症状が強く、患者さんご本人からの聴き取りが難しい場合には、ご家族やご友人から薬物の使用状況などを聞くこともあります。

検査項目は、原因薬物や患者さんの状況などにより変わります。問診や触診、尿検査や血液検査などのほかに、肝機能検査や脳波検査などが行われることもあります。

治療

薬物依存症の治療は、ご家族など周囲の方による相談から始まります。まずはお住まいの都道府県や政令指定都市の「精神保健福祉センター」に相談してください。多くの精神保健福祉センターは、専門病院を受診するための橋渡し役となるだけでなく、薬物依存症の患者さんを抱えるご家族を対象とした相談窓口や家族教室などを開設しています。

また、精神保健福祉センターでは、お住まいの地域の依存症専門医療機関や他の社会資源、さらには薬物依存症者家族の会などに関する情報も受け取ることができます。なかには、患者さん本人向けの回復プログラムを提供しているところもあります。

なお、精神保健福祉センターや依存症専門医療機関は薬物を「やめるきっかけ」をつかむ場所です。薬物依存症からの長期的な回復のためには、「やめ続ける」ための場所が必要です。それには、薬物使用と関係していたさまざまな問題を整理・精算することに加え、薬物を使わない新たな仲間をつくることが大切です。

その新たな仲間は、かつて自身も薬物に手を染めながら、今は薬物をやめ続けようとしている方たちがよいでしょう。そのような方々とは、薬物依存症の自助グループ「ナルコティックス・アノニマス」や、国内各地にあるダルクなどの民間依存症回復施設に行けば出会うことができます。そこは、「薬物をやりたい/やってしまった/やめられない」といった本音を安心して話せる場です。薬物依存症からの回復には、そのような正直になれる場が欠かせません。

薬物依存症は、治癒を目指すことができる病気とは異なり、あえていえば一種の慢性疾患です。治療経過中には当然再び薬物に手を出してしまうこともあります。それでも、諦めずに治療や回復のためのプログラムを受けたり、自助グループに参加し続けたりしてセルフケアを心がけることにより、薬物によって失った健康や自分らしさ、そして周囲からの信頼を取り戻すことは十分に可能です。

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