けつせいえきしょう

血精液症

最終更新日:
2023年03月28日
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2023/03/28
更新しました
2017/04/25
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概要

血精液症とは、精液に血液が混じることで精液が赤くなる状態を指します。

精子は精巣(睾丸(こうがん))で作られ、精巣から精巣上体、精管を経て移動し、精嚢(せいのう)と前立腺の分泌物に混じって射出されます。精液の液状成分の多くは精嚢と前立腺の分泌物であるため、出血部位は精嚢または前立腺が多くを占めます。

出血の原因はさまざまですが、多くの症例では検査を行っても異常を認めません。原因が特定できないものを特発性血精液症といい、この場合には通常数日から数か月で自然に改善するため、無治療で経過観察をします。感染による炎症を認めた場合には、抗生物質や抗炎症薬による治療が行われます。

血精液症は20〜60歳代に発症し、40歳代にもっとも多いとされています。

原因

血精液症はその多くが原因不明です。実際、原因疾患が判明するのは36~52%とされています。特に40歳未満の血精液症で原因が判明するのは20%程度です。リスク因子として精嚢炎、前立腺炎、精嚢結石、精嚢憩室、精嚢腫瘍、前立腺結核前立腺肥大症前立腺がんなどがあります。

そのほかの特殊な原因としては、前立腺生検によるものがあります。前立腺生検は前立腺がんの疑いがある場合に前立腺に針を刺して組織を採取し、顕微鏡で確認する検査です。針を刺すことで細かい静脈が切れるため、前立腺生検後に数週間ほど精液に血液が混じることがあります。

また、精管切除手術(パイプカット)の手術後にも血精液症が生じることがありますが、このような検査や治療に伴う血精液症は自然に起こってしまうため、特に心配はないといわれています。

血液が止まりにくい人や、血管がもろくなっている場合には、通常よりも出血しやすい状態にあるため、射精時のいきみによって精嚢の微小血管が破れ、出血することがあります。

症状

血精液症では射精時に血液が混じった精液が出るようになります。色調としては鮮血色~黒色で、出血の時期が新しいと鮮血色になり、出血の時期が古いと黒っぽくなります。

一般的な症状は精液が赤くなるのみで、痛みといったほかの症状を伴うことは少ないとされています。

射精時に痛みを伴う場合には、精嚢や前立腺などに炎症が生じている可能性が考えられます。炎症は細菌感染によって生じることもあり、性交によってパートナーに感染することもあるため、痛みを伴う場合には特にパートナーとの性交を控えるようにしましょう。また、随伴症状として排尿困難、頻尿、排尿時痛、会陰部不快感があります。その際は前立腺の炎症を考えます。

検査・診断

血精液症の診断には、まず外陰部を見たり触ったりして診察し、次に直腸診(肛門(こうもん)から指を入れて内部を調べる検査)で精嚢や前立腺に異常がないかを確認します。

また、尿、前立腺分泌液、精液の検鏡、尿細菌培養、PCR法によるクラミジアの検索を行います。

中高年以上の方で感染症が明らかでない場合は、前立腺がんの有無を調べるために採血を行い、PSAという腫瘍マーカーの値を測定する場合もあります。より詳細に調べるためにCT検査やMRI検査が行われることもあります。

治療

原因が特定できない特発性血精液症であれば通常は自然に改善するため、治療をせずに経過観察を行います。多くの場合、精嚢にたまった古い血液が全て排出されるまで時間がかかり、完全に血液が排出するまでに1~2か月程度かかる場合もあります。

明らかな原因がある場合には、その原因に対する治療が行われます。たとえば精嚢や前立腺などに炎症が起きている場合は、抗生物質や抗炎症薬を用いて治療します。

前立腺生検や精管切除手術に伴う血精液症でも、出血が数週間ほど続く場合があります。基本的に自然に改善するため特に心配はいりませんが、対処療法としてカルバゾクロムスルホン酸ナトリウム水和物、トラネキサム酸などの止血剤を投与することもあります。

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