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Spleen
褐色細胞腫
褐色細胞腫とは、腎臓の上にある副腎(ふくじん)という小さな臓器から発生する腫瘍です。副腎は構造的により表面に近い皮質と、副腎の中心に位置する髄質(ずいしつ)の二つに分かれています。褐色細胞腫はそ...
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副腎・脾臓

褐色細胞腫かっしょくさいぼうしゅ

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

褐色細胞腫とは、腎臓の上にある副腎(ふくじん)という小さな臓器から発生する腫瘍です。副腎は構造的により表面に近い皮質と、副腎の中心に位置する髄質(ずいしつ)の二つに分かれています。褐色細胞腫はそのうち髄質から発生する腫瘍です。

褐色細胞腫のうち10%ほどで悪性のものがあり、また10%ほどの割合で副腎以外の臓器(頸部(けいぶ)・胸部・膀胱(ぼうこう)付近などの傍神経節)にも褐色細胞腫が発生します。さらに家族性の発生や、両側性副腎での発生がそれぞれ約10%みられます。

疫学的に男女差はなく、発症年齢は20代〜40代が多くなっています。現在(2017年現在)日本における褐色細胞腫の患者数は約2,000人で、そのうち約10%にあたる200人が悪性の褐色細胞腫を有する患者さんであると推定されています。

原因

副腎の皮質と髄質では、それぞれ異なるホルモンを分泌して血圧や電解質、糖などを調節しており、副腎は体の恒常性を保つために重要な役割を果たしています。

副腎髄質はクロム親和性細胞という細胞から構成されており、カテコールアミンと呼ばれるホルモンを分泌しています。カテコールアミンとは、アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミンなどの神経伝達物質やホルモンとしてはたらく化学物質の総称です。カテコールアミンは心臓の収縮力を増加させたり、全身の血管を収縮させたりするはたらきによって、脳や腎臓などの重要な臓器へ血流が滞りなくいきわたるようにしています。血圧を保つために重要なホルモンともいえます。

褐色細胞腫は、カテコールアミンを産生する性質を持つクロム親和性細胞から発生する腫瘍です。多くの場合は良性腫瘍としての性格を有していますが、ホルモン産生に関係したさまざまな障害を呈するようになります。

褐色細胞腫の発生には、遺伝子の変異が関係することもあります。たとえば、SDHB・SDHD・VHL・RET・NF1と呼ばれる遺伝子をはじめとし、現在(2017年時点)では10種類以上の遺伝子の異常が明らかになっています。なかでもSDHB遺伝子が変異している場合、褐色細胞腫は悪性で転移が多いことが報告されています。

症状

褐色細胞腫では、血圧上昇に深く関わるカテコールアミンが過剰に産生されることになるため、高血圧を呈するようになります。また血圧が非常に変動しやすくなります。
具体的な症状としては以下が挙げられます。

  • 頭痛
  • 動悸
  • 吐き気
  • 異常な発汗
  • 不安感 など

その他にも、脈が速くなる(頻脈)、脈が乱れる(不整脈)、立ち上がるときにめまいがする(起立性低血圧)、過呼吸になる、皮膚が冷たいのに湿っている、胸が苦しい、みぞおち付近が痛む、呼吸困難感、便秘といった多彩な症状が現れます。

褐色細胞腫に関連した高血圧が残ると、長期的な合併症を引き起こすことも知られています。具体的には、心不全や動脈硬化、心筋梗塞、脳血管障害といった疾患を生じ得ます。

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検査・診断

褐色細胞腫はカテコールアミンを大量に産生する腫瘍であるため、血液検査や尿検査にて過剰なカテコールアミンを検索することになります。また、褐色細胞腫は副腎などに腫瘍性病変を呈する病気でもあります。

そのため、CTやMRIといった画像検査を行い副腎に存在する腫瘍を確認します。また、放射性医薬品を用いて褐色細胞腫のある箇所を明確にする方法が行われることもあります。具体的には、MIBGと呼ばれる化合物を静脈に入れ、注射後一定期間後に体の画像撮影を行います。

褐色細胞腫を合併しやすい疾患(たとえば多発性内分泌腫瘍Ⅱ型など)が疑われる場合はその疾患の診断に必要な検査も追加されることになります。

褐色細胞腫の診断がついた後は良性か悪性かを調べる必要があります。通常は手術後に病理診断にて腫瘍細胞の特徴を観察することにより、悪性かどうかを判断します。しかし褐色細胞腫は病理診断では良性・悪性の判断が難しいとされており、他の臓器への転移が出現して初めて悪性であることが明らかになることもあります。

治療

褐色細胞腫では、血圧のコントロールを行うことが重要であり、α遮断薬および必要に応じてβ遮断薬という薬を使用しますが、褐色細胞腫の根治療法は手術療法です。ただし、褐色細胞腫の手術中は血圧変動が著しく、危険な状況に陥ることもあります。手術中の血圧変動のリスクを考慮して、カテコールアミンの作用を抑制する薬を一定期間服用してから手術を行うことになります。

手術は、腫瘍の大きさにもよりますが、多くの場合は腹腔鏡下副腎摘出術が選択されます。腫瘍が大きい場合は、お腹を大きく切る開腹手術を行うことも考えます。約90%のケースでは片方のみに腫瘍が発生するため、通常は全摘出を行います。両側性に腫瘍がある、あるいは将来、反対側にも腫瘍ができる可能性がある場合は部分摘出も検討されます。

すでに多臓器に転移がみられる悪性褐色細胞腫に対しては、現在CVD療法(3種類の抗がん剤を併用する治療)という抗がん剤治療が行われています。また、131I-MIBGを点滴で静脈注射するという方法もあります。治療効果は高く、生活の質の低下をきたすことなく実施できる治療として期待されています。

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