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鎖肛
鎖肛とは、生まれつき肛門の形成がうまくいかなかった病気を指します。完全に肛門が閉鎖していることもあれば、直腸が尿道や膣など本来つながるべきではない位置と交通しているなど様々なタイプのものが含まれ...
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お尻・肛門

鎖肛(さこう)

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

鎖肛とは、生まれつき肛門の形成がうまくいかなかった病気を指します。完全に肛門が閉鎖していることもあれば、直腸が尿道や膣など本来つながるべきではない位置と交通しているなど様々なタイプのものが含まれています。鎖肛は5,000人に1人程度の発生率であると報告されており、先天的な消化器系疾患としては最も頻度が高いものです。

鎖肛は、糞便の排泄という日常生活の基本的な行動に関わる病気であり、新生児期早期から問題になることが多い疾患です。中には、便秘や便が細いなどの症状から、幼児期以降に鎖肛が診断されることもあります。

鎖肛の治療では手術が行われることになります。手術の方法については肛門の開いている部位によって異なります。新生児早期の段階で根治術を行うこともあれば、新生児期には一時的に人工肛門を作ることで対処し、身体の成長を待ってから根治術を行うこともあります。

原因

胎児期の消化管の発生において、直腸や肛門は一時的に膀胱などと空間的なつながりを持っている時期があります。胎児がお母さんのお腹の中で成長するに従って、こうした空間的なつながりは断絶されることになります。女児の場合には尿道と直腸の間に子宮、膣が位置するように発生が進みます。しかし、こうした空間的な断絶過程が適切に進行しない場合に、鎖肛が発症することになります。

肛門は便を排泄されるに際してとても重要な役割を果たしていますが、恥骨直腸筋を代表とする筋肉が主要な役割を担っています。鎖肛の治療や重症度を考える上で、消化管が閉鎖している部位と恥骨直腸筋との位置関係が重要であり、鎖肛は両者の位置関係に応じて高位、中間位、低位の三つに分類されています。

鎖肛が生じるかどうかは、基本的にランダムなイベントであることが多く、必ずしも生活習慣や遺伝性疾患としての側面を持つ訳ではありません。しかし、複数の遺伝子異常が積み重なることから鎖肛が発生すると考える研究者もおり、鎖肛の発生は様々な因子が複雑に関与していると考えられています。

また、「VACTER症候群」と呼ばれる複雑奇形の一症状として鎖肛を見ることもあります。難病指定を受けている疾患の一つであり、日本における正確な頻度は不明ですが、海外の報告からは5,000人に1人ほどの発生率であると報告されています。VACTER症候群では、鎖肛以外に椎体異常、気管食道瘻、橈骨奇形、腎奇形といった奇形が複合的に見られることになります。

 

症状

鎖肛は、出生後間もなくに肛門を指摘できないことから診断されることになります。出生後には肛門から体温計を挿入することで体温を測定することもありますが、この際に体温計を挿入することができません。肛門が完全に閉鎖していることもあり、排便を全く認めることが出来ません。したがって、母乳やミルクなどを飲むにも関わらず便を排泄できないことになるので、嘔吐や腹部膨満などを来すようになります。

肛門は閉鎖していることもあれば、本来ある位置とは異なる部位に開口することもあります。直腸が陰嚢に開いていることもあれば、膣や膀胱、尿道などの排尿器官・生殖器官に関連した臓器に間違ってつながっていることがあります。そのため、糞便が膣から出てくることもありますし、尿中に糞便が混入することもあります。

出生後間もなくに病気を指摘されることの多い鎖肛ですが、幼児期以降に始めて病気を指摘されることもあります。この場合には、便が細い(排便の出口が狭いため)、便秘気味という症状を認めることになり、精査の過程で鎖肛が指摘されることになります。

検査・診断

鎖肛が疑われる際には、レントゲン写真や造影剤を用いた画像検査、超音波エコーやCTなどの検査がその後の治療方針決定に重要です。特に、直腸の開口と恥骨直腸筋との位置関係を把握することが重要になります。

口から嚥下された空気は、時間経過と共に胃、小腸、大腸へと移動し、最終的にガスとして肛門から体外に排泄されることになります。しかし、鎖肛があると、大腸がどこかの段階で行き止まりになっているため、空気が行き止まり部位以上には進むことができません。このことを確認するために、患児を逆さまにした段階でレントゲン写真撮影を行います。この検査を通して、直腸の盲端部位と恥骨直腸筋の位置関係を推定することが可能です。

また、造影剤検査もどこに直腸が開口しているのかを観察するのに有効な検査です。膀胱に開いている鎖肛であれば、直腸に造影剤を入れることで同時に膀胱にも造影剤が混入することになります。

さらに、骨盤部CTを撮影して、恥骨直腸筋の発達具合を観察することもされます。鎖肛のお子さんは肛門を占める筋力が弱いことが多いため、筋力の発達具合を正確に評価することは、手術のタイミングを決定するにあたり重要な情報となります。

治療

鎖肛の治療は、正常な排便機能の確立を目的として行われます。直腸の盲端が皮膚に近い位置にある低位型の鎖肛であれば、新生児期早期の段階で外表面から孔をあけ排便の通り道を形成します。その後、早い段階で肛門の形成術を行うことになります。

一方、直腸の盲端部位が高い位置にある中間位や高位型の場合は、適切な排便機能に重要である筋肉の発達が乏しく、早期の手術では正常な排便機能の確立を行うことが難しいです。そのため新生児期の間は、人工肛門を増設して便の排泄を促す通り道を形成します。身体の成長、体重増加と共に筋肉が付くようになるため、その時期を見計らって根治的な肛門形成術を行うことになります。

鎖肛の治療においては、手術を行った後も排便習慣を確立するような訓練が必要になります。浣腸を適宜行いつつ便意を感じたらトイレに行く、といった習慣を確立することになります。