概要

限局性強皮症は、皮膚に、周囲との境界がはっきりとした硬い部分(病変部)が複数出現する病気です。

病変部の外観や広がり方、経過は多彩で、数年で病気の活動性がなくなり治ったかのようにみえる人もいますが、再発して段階的に病変が広がっていく人もいます。男女比は1:2〜4程度と女性に多く、小児期のうちに発症する人が多い傾向にあります。

よく似た名前の病気に“全身性強皮症”がありますが、この2つはまったく異なる病気です。限局性強皮症は皮膚のみに症状が現れることが一般的ですが、全身性強皮症は皮膚だけでなく内臓まで病気が進行する“膠原病(こうげんびょう)”の1つです。そのため、限局性強皮症から全身性強皮症へ移行することはありません。

種類

限局性強皮症は“斑状強皮症”“線状強皮症”“汎発型限局性強皮症(はんぱつがたげんきょくせいきょうひしょう)”の3つに分類されます。

斑状強皮症

成人に多いタイプで、円や楕円のような形の病変が生じます。病変の個数は1つから複数個までさまざまで、手足や体幹によくあらわれます。

線状強皮症

小児と若年者に多いタイプで、線や帯のような形状の病変が生じます。頭頸部(とうけいぶ)(脳と目を除いた首から上の領域)や手足によくあらわれ、特に額に生じた線状強皮症のことを“剣創状強皮症(けんそうじょうきょうひしょう)”と呼ぶことがあります。線状強皮症は皮膚だけでなく、より深部(皮下脂肪・筋など)にも広がりやすいという特徴があります。

汎発性限局性強皮症

皮膚症状が斑状強皮症か線状強皮症かにかかわらず、病変が体幹や四肢の広い範囲にあらわれます。

原因

限局性強皮症の発症原因は、まだよく分かっていません。血液中に自己抗体*が検出される確率が高いことから、自己免疫が発症に関わっているのではないかと考えられています。

*自己抗体:自分の体の成分を異物とみなして攻撃する分子

症状

限局性強皮症の主な症状は、周辺との境界が明確な硬い病変が皮膚にあらわれることです。

特徴として、病気の勢い(活動性)があるときとないときがあり、治ったと思っても再び症状が現れることもあります。時に病変が皮膚の下にある脂肪組織、筋膜、筋肉、腱、骨、関節、神経などに広がることもありますが、内臓に広がることはありません。

皮膚の症状

皮膚症状としては、頭や顔、手足、体幹など全身の皮膚にさまざまな形状の硬化が生じます。病変は円形や楕円形の場合もあれば、線や帯のような形状の場合もあります。また、病変の大きさも数cmから数10cmまでさまざまです。頭や眉毛など毛の生える部分に病変が生じると、その部分の毛は抜けてしまうことがあります。

病変の表面は硬く、やや光沢があり、黄色味を帯びていることが典型的ですが、中には皮膚の萎縮によって表面が薄くなったように感じる場合や、色が濃くなって茶色っぽくなったり、反対に色素が抜けて白っぽくなったりするケースもあります。炎症が生じている際には、その病変の周辺が赤みを帯び、火照ったような感覚を感じることもあります。

また、病変部分の皮膚に何も触れていなくても痛みを感じる人、洋服などが擦れることにより痛みを感じる人もいますが、特に何も感じないという人もいます。

その他の症状

限局性強皮症のほとんどは皮膚症状のみにとどまりますが、線状強皮症を中心に時に病変が皮膚の下まで広がることもあります。

たとえば、皮膚の下の脂肪組織に広がった場合、外から見たときに皮膚の一部がへこんだようにみえたり、筋肉や関節などに広がると関節を動かしにくくなったりすることがあります。

また、まれに頭頸部に病変が広がることもあり、てんかん発作などの脳の病気や、ぶどう膜炎などの目の病気、歯並びの悪化などの口腔内のトラブルを引き起こすこともあります。

検査・診断

限局性強皮症が疑われる場合、血液検査と画像検査を行います。

血液検査

限局性強皮症に特徴的な血液検査項目はありませんが、約半数で“抗一本鎖DNA抗体”が陽性になることがあります。また、“抗核抗体”“リウマトイド因子”が陽性となることも少なくありません。

画像検査

病変の広がりを確認する目的で、造影剤を用いたMRI検査や超音波検査が検討されることがあります。また、剣創状強皮症の場合には、脳の病気が起こりやすいためCT検査やMRI検査なども検討されます。

治療

病気に活動性がある場合には、局所療法(外用療法や光線療法)や全身療法(グルココルチコイドや免疫抑制薬の内服)が検討されます。

斑状強皮症の場合

外用薬としてグルココルチコイドや免疫抑制薬であるタクロリムスが用いられるほか、光線療法も検討されます。

難治性の斑状強皮症、線状強皮症、汎発型限局性強皮症の場合

グルココルチコイドや免疫抑制薬の内服薬が用いられます。

病気の活動性がみられない場合でも、病変が皮下まで及び関節の動く範囲(可動域)が狭くなることがあります。運動機能の維持や改善を目的にリハビリテーションが行われることもあります。また、美容面に影響が及んでいる場合は、症状が固定した後に美容外科的手術などの治療が行われることもあります。

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