こつばんこっせつ

骨盤骨折

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

骨盤骨折は、骨盤部に外から力が加わることによって骨盤の連続性が断たれてしまうか、あるいは股関節部(寛骨臼)の骨が折れてしまう状態のことです。

骨盤は、恥骨、坐骨、腸骨、仙骨で構成され一つの輪(骨盤輪)を呈しています。骨折全体のうち骨盤骨折が占める割合は少ないです。しかし骨盤内側には消化管、泌尿器、子宮卵巣などの重要な臓器のほか、内腸骨動脈や子宮動脈などの血管が存在しているため、骨折により血管損傷からの出血性ショックや、各種臓器の機能障害などを起こすことがあり、死に至ることもあります。骨盤骨折は交通事故や転落がきっかけで生じることが多いです。骨盤骨折の治療では、重症度を適切に判断したうえで、血管内治療、輸血、および手術療法などが必要になります。

原因

骨盤は、恥骨、坐骨、腸骨、仙骨で構成されています。各骨は別々に分かれていますが、小児期から成人にかけて成長するにつれて、恥骨、坐骨、腸骨は骨盤としての一つの骨(寛骨)を形作ることになります。

骨盤は体幹を支える基になって起立歩行に重要な役割を担っており、また内部の腹部臓器を守っています。骨盤内に位置する臓器としては消化管(S状結腸や直腸など)、泌尿器系臓器(膀胱など)、生殖系臓器(子宮や卵巣など)、動静脈(内腸骨動脈など)や神経があります。非常に丈夫かつ重要な働きを担っている骨盤ですが、大きな交通事故や転落、転倒などで折れてしまうことがあります。特に高齢者は骨粗しょう症を併発していることが多いため、軽く転倒しただけで骨盤骨折を起こすことがあります。

骨盤骨折は「安定型」と「不安定型」に分類されます。通常、安定型骨盤骨折は骨盤を構成する骨の一か所で骨の連続性が断たれている状態を指し、転倒などの低エネルギー外傷で生じることが多いです。安定型骨盤骨折には腸骨翼骨折、仙骨骨折と呼ばれるタイプが含まれます。

一方の不安定型骨盤骨折では複数箇所で骨の連続性が断たれ、骨折部がずれやすい点が特徴です。不安定型骨折は高所からの落下や交通事故といった高エネルギー外傷をきっかけに生じることが多く、マルゲーニュ骨折と呼ばれるタイプのものがあります。

症状

骨盤骨折を起こすと、骨折を発症した部位にとても強い痛みが生じるようになります。痛みは骨盤を動かすことでさらに増強しますが、ある一定の体位を取ると軽減することがあります。

骨盤骨折によって骨盤内の血管や臓器が損傷されると出血斑や血尿・血便のほか低血圧や意識障害などの症状を呈したり、骨盤を構成する骨の位置がずれることで両下肢の長さが異なったりすることもあります。

検査・診断

骨盤骨折は交通事故や高所からの転落などで生じることが多いため、腰だけでなく全身のレントゲン撮影を実施して、腰以外の部位も骨折していないか、急なエネルギーが加わったことで気胸を起こしていないか調べます。

また、CTを実施して骨折形態の詳細、骨盤内臓器や血管などの損傷の有無を調べ、異常が見つかればその損傷内容に応じた検査を追加します。

治療

骨盤骨折では、血圧、意識状態、骨折のタイプや骨のずれ具合、臓器損傷の有無などを調べたうえで治療方針を決定します。

骨折による損傷部位が少なく骨のズレも殆どない場合には、保存的な治療方法(手術を行わず安静にして治癒を図る方法)を実施することが多いです。骨盤骨折では呼吸や血圧が不安定になることも多いため、人工呼吸管理や輸液・輸血などの処置が必要になることもあります。動脈の損傷により血圧が不安定な場合には、出血部位に塞栓術と呼ばれる処置を実施することもあります。

また骨のずれが著しい場合、ずれを戻して金属製のスクリューやプレートなどで固定する手術的治療法を実施することもあります。

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