こつずいせんいしょう

骨髄線維症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

骨髄線維症とは、赤血球や白血球、血小板といった血液成分を産生する工場に当たる「骨髄」が線維化してしまう病気です。髄が線維化すると、工場としての正常なはたらきが阻害され、貧血や易感染性(感染症にかかりやすい状態)、出血などを生じます。また、骨髄線維症では代わりに脾臓で造血が行われるため脾臓が著明に大きくなることから、腹痛や腹部膨満感を自覚することもあります。骨髄線維症は、原発性骨髄線維症と二次性骨髄線維症に分けられます。

骨髄線維症では、JAK2遺伝子に異常が生じていることが多いです。そのため、JAK2の異常を調整する薬剤が使用されることがあります。また、骨髄線維症の根治的治療法は造血幹細胞移植になります。ただし、造血幹細胞移植は全身にかかる負担が大きく、実際に行うかどうかは、年齢、病状などを参考に慎重に判断することになります。

原因

血液中には白血球・赤血球・血小板の三種類の細胞が存在しています。これらの細胞は、血液中に入り込んだ病原体と闘う、酸素や二酸化炭素を全身臓器に適切に運搬する、血液を固める、などそれぞれ異なった役割を担っています。しかし、これらはすべて、造血幹細胞と呼ばれる細胞から産生されています(「骨髄造血」といいます)。

造血幹細胞は、骨の中にある「骨髄」と呼ばれる空間に存在している細胞です。この細胞が正常に育ち、白血球、赤血球、血小板へと変わるためには、骨髄が適度な環境を保っていることが必要です。骨髄線維症では、骨髄が広範囲に線維化(主にはコラーゲンが大量に作られてしまう状態)してしまいます。そのため、造血幹細胞は正常に育つことができなくなってしまいます。

骨髄線維症は、造血幹細胞そのものに異常が起こることで線維化が進む「原発性骨髄線維症」、真性多血症などの骨髄増殖性腫瘍骨髄異形成症候群などの別の疾患が原因となって発症する「二次性骨髄線維症」に大きく分類されています。骨髄線維症で生じる線維化は、造血幹細胞がもつ遺伝子に異常が起こることを原因として起こると考えられています。これまでにいくつもの遺伝子異常が報告されています。

骨髄線維症では正常な骨髄造血ができなくなるため、その代償として脾臓や肝臓で造血が行われるようになります(「髄外造血」と呼びます)。胎児期なら健康な状態でも髄外造血がみられます。しかし、成人にはみられません。

症状

無症状の段階で発見される患者さんもいますが、多くは何かしらの症状を呈してから見つかります。たとえば動悸や息切れなど貧血による症状をきっかけに見つかることが多いです。

また、髄外造血では脾臓が腫れるため、腹部膨満やお腹の痛みなどを呈することもあります。その他には、体重減少、発熱、寝汗を伴うことも多いですし、また血小板減少に関連した紫斑や歯肉出血をみることもあります。

検査・診断

骨髄線維症の病気の中心は、骨髄にあります。そのため、骨髄を詳細に評価することが大切であり、骨髄検査と呼ばれる検査が行われます。この検査では、骨髄から細胞を採取して細胞の形態を評価したり、染色体検査、遺伝子異常の特定を行ったりします。特に骨髄線維症においては、JAK2遺伝子の異常が関与していることが多いため、これを検出します。その他、CALRやMPLなどの遺伝子異常の検索も重要です。

ただし、骨髄線維症では正常な造血活動が低下し骨髄が線維で置き換わっているため、血液を吸引しようとしてもうまく採取できないことが多いです。この場合には、やや太い針を骨に刺し「生検」と呼ばれる検査が行われることになります。

骨髄線維症では貧血や血小板の異常を伴うことも多いため、血液検査も重要です。さらにLDHと呼ばれる検査項目の異常を検出することもあります。また、髄外造血を反映して脾臓が大きくなることも多く、これを確認するための画像検査も行います。

治療

骨髄線維症の治療は、症状や重症度に応じて治療方針が決定されます。選択されうる治療としては、薬物療法、輸血療法、放射線療法、脾臓摘出、骨髄移植があります。

薬物療法として、JAK2阻害薬が使用されることがあります。骨髄線維症では、JAK2遺伝子の異常を伴うことが多いためです。これにより全身症状や脾腫の改善を期待することができます。また、骨髄線維症では白血球や血小板の増加をみることもあり、抗がん剤の一種を投与することで血球数のコントロールをはかることもあります。骨髄線維症では、貧血や血小板減少などをみることもあるため、輸血療法は対症療法として重要です。

骨髄線維症の根治療法としては、造血幹細胞移植があります。ただし、造血幹細胞移植における治療強度は強く、副作用や合併症を発症することもまれではありません。そのため、実際に造血幹細胞移植を行うかどうかは、年齢、病状などを考慮し慎重に判断することになります。

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