こうざんびょう

高山病

最終更新日:
2022年11月21日
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2022/11/21
更新しました
2020/08/31
更新しました
2017/04/25
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概要

高山病とは、山登りなどで気圧が低く酸素濃度の低い高所へ行くことで、体が環境の変化に追いつかずに吐き気、嘔吐、だるさ、脱力感、立ちくらみ、めまいなどの症状が引き起こされる病気のことです。重症化すると、肺に水がたまって呼吸困難になったり、脳にむくみが生じて意識を失ったりするなど命に関わるケースも少なくありません。

根本的な治療は、低地へ降りるなど高度を下げることや体を休めることですが、重症な場合には低地へ移動しながら酸素吸入などを行うこともあります。

高山病は発症を予防することが大切であり、登山をする場合は一日に上がる高度に制限を設ける、睡眠不足や脱水などを防いで体のコンディションを整えることに注意が必要です。

原因

高山病は、登山や標高が高い場所への旅行などで普段生活する場所よりも気圧が低く、酸素が少ない場所へ行くことで、体が環境の変化に順応できなくなることが原因で発症する病気です。標高2,500m以上の高地では約20%、3,000m以上では約40%の人が高山病を発症するとされています。

また、高山病は急激に高度を上げること、特に航空機で高所にある観光地を訪問する場合や高地において無理な運動をすることなどを引き金に発症するケースが多いとされています。過去に高山病になったことがある人は発症リスクが高いことも知られているため注意が必要です。

症状

高山病は軽症なものから命の危険を伴う重症なものまでさまざまな症状があります。

もっとも一般的な症状としては、頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、脱力感、ふらつき、めまいなどが挙げられ、いわゆる“二日酔い”のような症状であり「山酔い」などと称されます。これらの症状は高度を上げて6~10時間ほどで現れることが多いですが、多くは高度を下げることで自然に改善していきます。

一方、重症な高山病では肺の中に水がたまる“高地肺水腫”や脳がむくむ“高地脳浮腫”を引き起こすこともあります。高地肺水腫は標高2,500m以上に登った際に起こることが知られており、発症すると動作時の息切れ、咳、動悸などの症状が現れます。進行すると安静にしていても症状が出るようになり、唇や爪が青紫になるチアノーゼがみられたり、呼吸困難に陥ったりすることがあり、急速に進行するケースも少なくありません。

高地脳浮腫を発症した場合は強い頭痛や吐き気のほか、まっすぐに歩行できない、錯乱状態になるなどの神経症状が現れ、早急に治療を行わないと命を落とすこともあります。

検査・診断

高山病は発症時の状況や症状などから特別な検査をせずに診断をつけることができます。

しかし、上で述べた高地肺水腫や高地脳浮腫が疑われるようなケース、低地に降りても症状が改善しないケースでは以下のような検査を行うことがあります。

酸素濃度測定

血液中の酸素濃度を測定する検査です。簡易的には指に挟んで測定できる「パルスオキシメーター」が使用されますが、詳しい状態を評価するためには動脈から血液を採取して測定する検査が必要になります。

画像検査

高地肺水腫や高地脳浮腫が疑われる場合は、肺や脳の状態を評価するためにX線やCTなどを用いた画像検査が行われます。

血液検査

炎症や貧血の有無など全身の状態を把握する目的で血液検査を行うこともあります。

治療

高山病の根本的な治療は、高度を下げて酸素濃度が高い場所へ移動し、十分な休息を取ることです。多くは高度が下がるにつれて症状は改善していきます。

しかし、高度を下げても症状が改善しない場合や重度な症状がみられる場合は酸素吸入を行います。また、高山病の症状を改善するとされている鎮痛剤やアセタゾラミドと呼ばれる炭酸脱水素酵素抑制剤などを用いた薬物療法を行うことがあります。

予防

高山病は発症を防ぐことが大切です。

標高3,000m以上の場所に行く場合は一日で高度を300m以上上げないように注意し、適度に休息日を設けることが大切です。また、一緒に登る人が自身のペースに合わない場合は無理をせず、ゆっくり歩くこと、休息を取ること、水分を十分に取ることを心がけましょう。

高山病はアルコール、睡眠薬、安定剤など睡眠中の呼吸に影響を与えるようなものを口にすると発症するリスクが高くなりますので、高所では控えましょう。アセタゾラミド*という高山病予防薬もありますので、トラベルクリニックなど高山病に詳しい医療機関にご相談ください。

*本来は利尿薬であり高山病には保険適用外

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