こうけつあつせいのうしょう

高血圧性脳症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

高血圧性脳症とは、急激な異常高血圧によって引き起こされる脳への障害を指します。慢性的な高血圧、腎不全妊娠高血圧症候群など、高血圧をもたらす基礎疾患(もともと持っている病気)が原因となりえます。

高血圧性脳症を発症すると、脳へのダメージを反映して、頭痛、吐き気、嘔吐、意識障害、けいれんなどの中枢神経症状を呈するようになります。影響は脳に限らず、腎臓や循環器系にも及びます。その関連性から、高血圧性脳症では腎不全や胸痛、呼吸困難などが現れることもあります。脳のなかでは後頭葉を好発部位とし、頭部MRIにて病変が確認されます。

治療が適切に行われないと治療不可能な脳障害を生じ、最悪の場合、死に至ることもあります。そのため急激な異常高血圧が生じた際には、できるかぎり速やかな血圧管理が必要です。また、集中治療室での集学的な治療が必要となることも少なくありません。しかし、急激な血圧の下降は症状を悪化させる危険もあり、慎重な血圧管理が重要です。

原因

脳に血液が過不足なく供給されるように、脳の血圧は一定レベルの変動範囲に調整されています。しかしあるレベル以上に血圧が上昇すると、脳の血圧調整機能は破綻し、異常な血圧負担が脳へとかかることになります。その結果、脳の浮腫(ふしゅ)(むくみ)が生じ、脳症の症状が出現することになります。

具体的には、収縮期血圧180mmHg以上(正常値[正常高値含む]139mmHgまで)、拡張期血圧110mmHg以上(正常値[正常高値含む]89mmHgまで)といった急激かつ高度な高血圧の状態において脳症が引き起こされます。

高血圧性脳症は、血圧上昇を引きおこす病気が原因となって発症することが多く、具体的な病態としては、慢性的な高血圧、腎不全妊娠高血圧症候群褐色細胞腫クッシング症候群膠原病SLE全身性エリテマトーデスなど)、薬物(シクロスポリンやコカイン、アンフェタミンなど)の使用、頭部外傷等が挙げられます。

症状

頭痛や吐き気、嘔吐、けいれん、意識障害、半身麻痺(まひ)、感覚障害など脳の浮腫・頭蓋内圧の亢進による症状が現れます。血圧が上昇することで目の網膜に血液を供給する血管や、視力を司る神経細胞が障害されるため、視力障害を認めることがあります。また、眼底出血につながることもあります。さらに、血圧が異常に高くなる病態であるため、脳出血を発症することがあります。高血圧性脳症では、胸痛や呼吸困難、腎障害など循環器系やその他の臓器障害を認めることもあります。

検査・診断

高血圧性脳症では血圧検査が重要であり、180/110mmHg以上の異常高血圧を呈します。症状が現れるかどうかは血圧の値そのものだけで決まるわけではなく、それまでの血圧管理の状況や、どれほど急激に血圧が上がったのか、なども関係します。

診断には、頭部CTやMRIが重要です。こうした画像検査を行うことで、脳の浮腫の状況を正確に把握することが可能となるためです。特にMRIでは脳のなかでもどの部位に、どの細胞で有意に障害が生じているのかを正確に判定することができるため、高血圧性脳症の診断に際しては必要不可欠な検査項目といえます。

高血圧性脳症では、後頭葉を中心とした脳において障害を認めやすいです。後頭葉は視力形成にも重要な役割を担っていることから、視力障害の原因病巣として特定することが可能な場合もあります。

脳以外の臓器に障害が及ぶこともあるため、腎機能障害の評価のための血液検査や尿検査、循環器系障害の評価のための心電図検査や胸部単純レントゲン写真などを行うこともあります。

治療

無治療のまま異常高血圧を放置すると、治すことのできない中枢神経障害が生じる危険性があります。したがって、できるだけ速やかな血圧管理が必要不可欠です。しかしながら急激に正常血圧まで血圧を低下させると脳障害を起こす可能性もあるため、集中治療室等でのカルシウム拮抗薬(ニカルジピンなど)等を用いた慎重な血圧管理が求められます。

高血圧性脳症では脳浮腫を伴うため、脳浮腫を軽減させるために脳圧降下剤の点滴が行われます。また、けいれん発作を起こした場合には、抗けいれん薬の使用も欠かすことができない治療となります。

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